SIerからリクルートへ中途入社。PdMに転身して見えてきた、SIer出身ならではの強みとは?

リクルートのプロダクトデザイン室には、さまざまな業界・職種からの転職組も数多く在籍しています。なかでも、最近増えているのがITコンサルタントやSIerのSEなどからPdMに転身するケース。現在、『ゼクシィ』のクライアント側のソリューション開発に関わる佐藤慎祐もその一人で、前職のSIerでは、インフラ企業のシステム開発をPMOとして推進していました。
PMOとしてできることに限界を感じ、リクルートに転職したという佐藤。前職で培った経験やスキルが現在の仕事に生かしながら、新しいチャレンジを続けています。直属の上司であるマネージャー(以下GM)の加藤奈々美とともに、転身に至る経緯や思い、入社から1年半が経った現在地について聞きました。


佐藤慎祐/リクルート プロダクト統括本部 プロダクトデザイン・マーケティング統括室 プロダクトデザイン室 販促領域プロダクトデザイン2ユニット(マリッジ&ファミリー・自動車) マリッジ&ファミリー・自動車領域プロダクトデザイン部 マリッジ&ファミリープロダクトデザイン2グループ


加藤奈々美/リクルート プロダクト統括本部 プロダクトデザイン・マーケティング統括室 プロダクトデザイン室 販促領域プロダクトデザイン2ユニット(マリッジ&ファミリー・自動車) マリッジ&ファミリー・自動車領域プロダクトデザイン部 マリッジ&ファミリープロダクトデザイン2グループ

インフラ系企業のシステム開発推進担当を経て、リクルートのPdMに

――佐藤さんは前職がSIerで、リクルート入社後にPdMに転身されたとお聞きしています。これまでの経歴と、リクルートでの現在の仕事内容を教えてください。

佐藤:新卒で入った総合コンサルタント企業、前職のSIerを経て、2023年1月にリクルートへ転職しました。前職では3年ほど働き、メインで携わっていたのはとあるインフラ企業のシステム開発です。顧客管理や計算管理を行うシステムを刷新する10人ほどのプロジェクトで、僕は要件定義からリリースまでの一連の流れと、システム開発全般を管理するPMOのような立場でした。そのプロジェクトは僕がPMOとして入った段階で遅れが生じていたため、クライアントの会社に常駐し、事業部と開発担当の間に立って互いの認識の齟齬を解消しながら何とかリリースまで持ち込んだという、なかなか大変な案件でしたね。

リクルート入社後は、『ゼクシィ』のクライアントである結婚式場のプランナーの方が使う、業務支援ツールの開発や機能改善を担当しています。主な役割は、現場の業務の効率化につながるプロダクトの開発や、それをより使いやすくする新機能や改善策を考え、開発の方とやりとりをしてリリースまで持っていくこと。さらに、リリース後もクライアントがそのツールをしっかり活用していけるよう、新機能の周知や運用周りの調整なども行なっています。

――加藤さんは佐藤さんが所属するチームのGMで直属の上司にあたりますが、具体的にどのような役割ですか?

加藤:GMになったのは2024年の4月からなので、まだ3ヶ月ほどです(※取材時)。私の組織では、一言でプロダクトと言っても、結婚式場がカップル集客のために使うもの、ゼクシィ営業が効果集計に使うものなど、その管轄は様々な業務に渡るので、GMとしての私の役割はその一つひとつをディレクションするのではなく、チーム全体の動きを見ること。各プロダクトの担当者がどんな動き方をしているか、方向性が間違っていないか、業務が偏っていないかなどを注視し、チームを回していくのが主な役割です。

ちなみに、私も前職では佐藤さんと似た仕事をしていて、主にプロジェクト型のクライアントワークに携わり、コンサルタントとして開発のディクレクションを担当していました。


もっと主体的に仕事を動かしたかった

――佐藤さんはなぜ、リクルートに転職しようと思われたのでしょうか?

佐藤:前職では一つのクライアントのシステム開発に外部のPMOという立場で携わっていたこともあり、社内の稟議や調整といった部分は基本的にお客さんにお任せしていました。ストレートに言えば、「間をつなぐだけ」の役割で、自分で何かを決めたり、プロジェクトの流れを変えたりするほどのことはできなかった。もっと自分が主体となって仕事を動かしていきたいという思いが強くなっていましたし、それをやってみたときに、自分がどこでつまずくのかを知りたい気持ちもありました。そこで、受託のクライアントワークではなく、自社でWebサービスやプロダクトを手がけていて、それを中から動かすことができそうな会社への転職を考え始めたんです。

そんな時、たまたま大学の同期の結婚式で再会した知人がリクルートで働いていて、色んな話を聞く機会を得ました。社内の様子や文化について詳しく聞き、自分が入ったらどうなるかというところまで明確にイメージできたこともあり、転職を決めたという経緯ですね。


――その時点で、PdMという職種についても具体的にイメージできていたのでしょうか?

佐藤:じつは、そこまでしっかりとは掴めていませんでした。SIerにはPdMという職種は存在しませんから。僕も名前だけは知っていましたが、具体的な仕事内容まではわかっていなくて。前職での役割と比較すると、より上流の企画に近い立場で要求を詰めたり形にしたりというところにフォーカスしているのかな、というくらいのイメージでしたね。Slerではどちらかというと、それよりも後工程の開発に近い立場だったので。

――ある意味、新しいチャレンジになりますよね。

佐藤:そうですね。ただ、システムやサービスを開発する大まかな流れや工程自体は、SIerでのクライアントワークも、自社サービスの開発も、大きくは変わりません。そういう意味ではPMOの仕事もPdMの仕事も連続性はありますし、PdMにジョブチェンジするにあたって前職で開発に近い工程を経験したことは、大きなアドバンテージになるのではないかと考えていました。
ただ、PdMといっても世の中の人に使ってもらうプロダクトやサービスをつくる人と、表には出ないクライアント側のソリューションをつくる人がいて、僕の場合は後者になります。仕事内容としては前職に近い部分もあるので、わりとスムーズに入れたのかなと思います。

――それは、クライアントワークに従事していきたこれまでの経験を活かせるということで、ご自身で希望されたのですか?

佐藤:いえ、面接の過程で、会社側から提案されました。キャリアの延長として、まずはこれまでやってきたことと親和性の高いところからスタートするほうが馴染みやすいだろうという判断だと思います。ただ、面接時に「最初はクライアント側のソリューションから入って、そこからカップル向けのプロダクトをつくるPdMにシフトすることも可能だよ」と、将来的なキャリア像についても説明してもらえたので、納得して入ることができました。

SIerでの経験やスキルは無駄ではなかった

――佐藤さんはリクルートのPdMになって1年半が経ちましたが、前職のスキルや経験を生かせていると感じる部分はありますか?

佐藤:前職ではインフラ系のシステムをつくっていたこともあり、クライアントの要求をきちんと満たすこと、カチッとした間違いのないものを出すことが求められていました。そこで経験を積んだこともあり、システム開発全般における精度の高さみたいなものは、僕が出せるバリューの一つかなと思います。ただ、前職は基本的に「言われたものをどう作るか」という仕事だったのに対して、今は何も形がないところから自分で新たな価値を生み出していかなければいけない仕事。ある意味、真逆です。「こんな効果を出すために、この施策をやりたい」といった具合に、自分のなかでストーリーを持っていないと通用しない世界なので、そこは難しくもあり面白さでもあると思います。

――では、上司である加藤さんの目から見た、佐藤さんの強みや武器はどこにあると思いますか?

加藤:やはり前職のSIerで培った経験やスキルのベースがあるのは、大きな強みだと思います。こちらが何かをオーダーしたときも必ず分かりやすく綺麗なアウトプットが出てきますし、システム開発における前提理解があるから話も早い。また、「この人には、この見せ方で」「あの人には、この情報を」といった具合に、相手によって伝え方を変えることもできる。実際、私やチームのメンバー、エンジニアなどプロジェクトに関わる全ての人とスムーズにコミュニケーションが取れていて、それはやはり、クライアントワークの中でタフなプロジェクトを回してきたからこそなんだろうなと。また、エンジニアに近いところで仕事をしてきたことで、開発側の考え方や目線を理解していることも大きいですね。サービスをつくる側のPdMと開発側のエンジニアって、お互いの理解不足からずっと平行線のような状態に陥り仕事が進まない、みたいなことが起こりがちなんですけど、佐藤さんの場合はエンジニアの思考や特性をふまえ、PdM側の考えを翻訳して伝えることができる人なのではないかと思います。

――佐藤さんのようなSIer出身のPdM人材は、ある意味で貴重な存在なのでしょうか?

加藤:貴重ですね。プロダクトデザイン室全体で見てもあまりないキャリアですし、チームを預かる立場としてはもちろん頼もしい存在です。特に、短期で一気に効果を出したい施策や、時間的な制約があるプロダクトの場合、SIer出身者は即戦力として重宝されるはずです。最初はPdMの業務について不安があるかもしれませんが、分からないことは周囲に聞けば何でも教えてもらえる環境ですし、仕事をしていればそこは自然と身についてくると思います。

――最後に、佐藤さんと同じようにSIerからの転職を考えている人に対して、お二人からメッセージをいただけますか?

加藤:リクルートって超ボトムアップで「これをやりたい」という強烈な意志を持ち、自ら価値を生み出せる人じゃないとやっていけないみたいなイメージもあると思いますが、必ずしもそうではありません。私自身の話をすると、前職では完全な受け身タイプの人間で、自分からガツガツ行くことは皆無でした。会社自体も完全トップダウンだったので、与えられたミッションに対して120%の結果を出す、リスクを冒さず、ゴールに向けて安定推進していく、みたいなやり方が染み付いていたんです。

そんな私がこの会社でやっていけるか最初は不安もありましたが、逆にいえば、プロジェクトを滞りなく推進できることは自分の強みでもあるんじゃないかと。少しずつそう考えられるようになりましたし、自分の武器が必要とされる場所もちゃんとありました。ですから、いま迷われている方もあまりイメージにとらわれず、飛び込んできてもらいたいなと思います。

佐藤:以前の僕のように、SIerでの仕事に限界を感じている人にとって、リクルートはすごく良い職場だと思います。PdMの業務には制約がなく、むしろ何でもできて迷ってしまうくらい。そのなかで色んなことを経験しながら、システム開発のプロセスのなかで自分がどこを伸ばしていきたいか、何をやりたいかが見つかっていくのではないでしょうか。実際、周囲のメンバーを見ていると、同じPdMでも開発側の知見がある人、リサーチに強みがある人、デザインができる人など、自分の軸や武器を持っている人が多いです。また、もともと軸を持っている人は、それを生かしやすい環境でもある。僕自身も、SIerで培った経験が武器になっていますから。

あとは、PdMの仕事に対してイメージが湧かない人も多いと思いますが、そこについてはあまり心配する必要はない気がします。調整業務の幅が広がるだけであって、SIerでの仕事もPdMもやり方自体は変わりません。それまでの仕事の型をベースにしつつ、主体的にプロジェクトを動かすことの楽しさを感じられるのではないかと思います。


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