欧州最大級のテクノロジーカンファレンス Web Summit 2019 をご存じでしょうか?
伊豆原大也
こんにちは。アドバンスドテクノロジーラボの伊豆原です。
今回は、11月4日から行われた欧州最大級のテクノロジーカンファレンス Web Summit 2019について全3回に渡りレポートしたいと思います。
第1回目となる今回は、カンファレンスの概要を紹介します。
このイベントは、米Forbes誌が"The best technology conference on the planet"と称するほど、規模、クオリティー共に高いカンファレンスです。
しかし日本ではそれほど知名度は高くないようで、日本からの参加企業や参加者は意外に少ないように思います。実際現地でも、日本の方とすれ違う機会はあまりありませんでした。
■代表的なカンファレンスと、その規模を比較してみましょう。
開催地 | 来場者数 | 展示社数 | 講演者数 | CEOクラスの参加 | |
CES2019 | ラスベガス | 17.5万人以上 | 4,500社以上 | 1,000人以上 | 18,000人以上 |
Mobile World Congress 2019 |
バルセロナ | 10.9万人以上 | 2,400社以上 | -(※) | 7,900人以上 |
Web Summit 2018 | リスボン | 7万人以上 | -(※) | 1,200人以上 | 11,000人以上 |
RISE (アジア最大級) |
香港 | 1.6万人以上 | -(※) | 350人以上 | -(※) |
※公式発表の資料からは、数字が拾えなかった箇所
CESの集客力は圧倒的で敵いませんが、講演者数やCEOクラスの参加数では、部分的にCESやMWCを抜いています。実際、Center Stageでの講演は秀逸でした。
今年のCenter Stageオープニングの様子です。
Web Summitとはどういうイベントなのか
最初は、2009年にPaddy Cosgrave、David Kelly、Daire Hickeyによってアイルランドのダブリンで開催されました。
その後2016年までダブリンで行われていましたが、2017年よりポルトガルのリスボンに場所を移し、それが契機となり、より大きなイベントへと発展を遂げたようです。
Web Summit 2019では、全体で24のトラックが設けられ、各トラックとCenter Stage での講演により、カンファレンスが進んでいきます。
カンファレンス以外にも、大規模な展示会が開かれ、講演会場を利用したPitch大会もあり、本当に充実している印象です。
何よりメインとなるCenter Stage では、各社のCEO,CTOを初め、欧州委員会メンバーや、元国家元首クラスの講演などがあり、他にはない講演が見られます。
さてこのイベントですが、ITの業界では、「欧州最大のスタートアップカンファレンス」としてつとに知られています。展示会側には非常に多くのスタートアップがブースを開き、全体を通して、スタートアップ応援イベントという印象です。
代表的なトラックを、いくつかご紹介
■Auto/Tech
自動運転や、その周辺技術を中心に紹介するトラックです。
それだけに限らず、Uberなどの移動手段も含めた、モビリティ全般に関するトピックを扱っています。
■Binate.i(o)
データサイエンス系のトラックです。
いわゆるAIや機械学習といったテーマを扱い、ディープな議論が交わされています。
■CORPORATE INNOVATION SUMMIT
ビジネス系の話が中心となり、話者にCEOクラスの人達が登場します。
パネルディスカッションも多いコーナーでした。
■FULLSTK
こちらは、フルスタックというトラックになり、エンジニア向けと言えます。
開発エンジニアなら是非足を運んでいただきたいところです。
■HealthConf
ヘルスケア分野のトラックになります。
この分野はまだまだスタートアップ系が多いので、展示会エリアで数多く見ることができますし、やはり伸びしろの多い分野と感じます。
■MONEYCONF
いまだ、フィンテックの勢いは健在のようです。
このトラックに加え、スタートアップブースには「FinTech」と記載されたブースが多数並んでおり、センターステージでも、FacebookやUberなどがプラットフォームとしてフィンテックを取り込もうとしているという旨の講演を行っていました。
■planet:tech
地球環境について語るコーナーです。環境保護は、今後欧州のカンファレンスでは欠かせない話題だと思います。
今回も、トラックとして独立して運営されていましたし、各企業は環境をこれまで以上に意識せざるを得ない局面にきているのだと感じました。
■SPORTS TRADE
唯一のエンタメ系トラックです。eスポーツ、バイオメトリクスなどを扱い、計測や解析系の会社も登場します。
個人的には一番楽しめたトラックで、サッカーのロナウジーニョも登場していました。
■STARTUP UNIVERSITY
実は、これがトラックの目玉と言えるかもしれません。
スタートアップ向けの講義が行われているトラックで、常に盛況です。Googleなどもこれを実施していました。
これら各トラックの紹介は、公式サイトでも見ることができます。
いかがでしょうか。
これを読んで、興味を持って頂けたら幸いです。
次回は、メインコンテンツであるCenter Stageの講演をレポートしたいと思います。