ベルリンのオフィス紹介 - Life in Berlin vol.3
別府多久哉
こんにちは、ATLの別府です。
今日は仕事をしているベルリンのオフィスを紹介します。
私がジョインしているHigh Mobilityのオフィスは、ベルリンにあるhub:raumというインキュベーションセンターの中にあります。
hub:raum とは
hub:raumは欧州最大の電気通信事業者であるドイツテレコムが運営している起業家支援プログラムの名称でもあります。
ドイツテレコムといえば数年前にソフトバンクが買収しようとしたT-mobileの親会社でもあります。
このプログラムは、ドイツテレコムの豊富なリソースを活用し、スタートアップに対してファイナンスやメンタリングなどのサポートを提供しており、欧州の12ヶ国で展開されています。
また、ベルリンにあるような、各地域のハブとなる拠点の施設は3つあり、ベルリン以外にはポーランドのクラクフ、イスラエルのテルアビブに開設されています。
この各ハブとなる拠点にあるコワーキングオフィスに、いくつものスタートアップが入居しており、High Mobilityもそのうちの一社です。
施設紹介
ベルリンの施設は2フロアになっており、1階はカフェを併設したイベントスペース、2階がコワーキングスペースです。
イベントスペースでは毎日のようにミートアップなどのイベントが開催されていて賑わっています。
(上:イベントスペース 下:カフェ)
オフィスの様子です。
(上:オフィスエリア 下:ミーティングルーム)
ミーティングルームの壁はホワイトボードです。定番ですね。
書いても消されていないことが多く、次の利用者が消すのがhub:raumスタイルです。
バナナとリンゴは食べ放題です。毎週月曜日に補充されるのですが、バナナはすぐになくなります。
ベルリンの人々はリンゴを丸かじりで食べます。リンゴをかじっている音がよく聞こえてきます。
キッズスペースも用意されています。子どもを連れて出社する人をよくみかけます。
ミーティングルームがすべて利用されている時には、仕方なくこの可愛らしいキッズスペースでミーティングをします。強面のエンジニアもこの部屋に入る時はいつも笑顔になります。
入居企業紹介
せっかくなので、他の入居企業もいくつかご紹介します。
M2MGO
プログラミング知識が無くても、簡単にIoTを利用したスマート・アプリケーションを作成できるCMSのようなサービスを展開しています。
ウェブのプログラミングの知識が無い人でもWordpressによって簡単にウェブサイトやブログを開設できるように、同様なことをスマートデバイスの世界でも実現させていくことを目指しています。センサーをデバイスに組み込んだ上で、プラットフォームに事前に用意されている機能を適用すると、ユーザーのニーズに合わせてセンサーを作動させるアプリケーションが作成できます。例えば、工場における機械設備のエネルギー消費最適化アプリケーションなどの作成が可能になります。
余談ですが、こちらのチームのデスクにはレゴが置いてあって楽しそうです。
TERAKI
IoTデバイスのセンシングデータ量を削減するためのソフトウェアを提供しています。
独自のアルゴリズムによって、センシングデータを圧縮して送信し、サーバで受信後に復元することで通信するデータ量を減らして。これから確実にIoTの領域が拡大していくにあたりデバイスからのセンシングデータ量を削減させることはビジネスの高効率化につながります。デバイスからの送信データを削減することは、消費電力の低減や通信効率の向上にもつながります。
また、専用のデータ解析プラットフォームも提供しており、これを利用することで、自社のビジネスに必要なデータのみを効率的に抽出できるようになります。CEO曰く、「データ・アナリストは、関連する事実や数字を大きなデータセットをフィルタリングするために自分の仕事の60%を費やしている」とのことで、IoT/ビッグデータビジネスにおける人間の時間とデバイスのリソースを効率化させるためのソリューションを提供しています。
flexperto
企業が顧客と簡単にオンラインのビデオコミュニケーションが出来るようにするソリューションを提供しています。
1000ウェブベースのサービスとなっており、クライアントは、ビデオによるコンサルティングを提供したい銀行・保険・通訳などの事業会社や教育分野が主となっているようです。ウェブベースのサービスとなっており、クライアントは、ビデオによるコンサルティングを提供したい銀行・保険・通訳などの事業会社や教育分野が主となっているようです。相談やコンサルティングという行為はいまだ対面で行われることが多いですが、これをオンラインでも実施できるようにすることで、ビジネスの効率化はもちろんのこと、従来ではサービスへのアクセスが困難な農村部の人たちや高齢者に対しても、企業がサービスを提供できるようにする、という世界を目指しています。
その他はこちらから >> hub:raum PORTFOLIO
ベルリンの施設には、トータルで10社ほど入居していますが、ドイツテレコムの事業と親和性の高いIoTやビッグデータ、B2B関連のスタートアップが多いです。
ドイツレコムは通信事業者ですが、通信事業者間の競争は年々激しくなってきており、端末や通信速度での差別化が難しくなってきています。利用者のライフタイムバリューを意識した価値提案を考えると、新しい領域への挑戦が必要になってきます。しかしながらサービス、ソフトウェアに関しては、これまでの経験値が少ないため、通信事業社の内部だけで取り組んでいくには限界があります。また、通信事業社でなくとも、大企業では既存の事業計画の着実な実行に重点が置かれているため、そこから非連続な新規事業を生み出すためには、社内に、既存の事業運営とは別の、エコシステムを用意する必要があります。
こうした背景から、ドイツテレコムはスタートアップを支援するアクセラレーションプログラムを開始し、スタートアップとの関わり合いの中から、新しい領域への経験値やノウハウを高めていこうとしています。サポートしているスタートアップの事業が大きくなれば、ドイツテレコムの顧客に展開し、新しい価値を提供できるようになってきます。
もちろんスタートアップへの金銭的な投資によるキャピタルゲインを得ることも目的の一つですが、金銭的なリターンには重点を置いていないようです。
スタートアップ間の交流もさかん
また、入居しているスタートアップ同士の交流ができるような工夫も施されています。月に1度、入居しているスタートアップにフリーランチが提供され、ランチを食べながらお互いの進捗や業界の動向などを共有し合います。それぞれの事業ドメインが似ている部分もあったりするので、情報共有やディスカッションが出来る時間は有意義です。企業において競争も重要ですが、特にスタートアップは新しいマーケットを切り開いていく存在です。そのため、スタートアップ同士でお互いに協力・切磋琢磨しあいながら、共にマーケットを拡大させていく仲間として、日々仕事に励んでいくことも重要です。