Kinectで店員を呼ぶ装置:インスタレーションのためのプロジェクタ選び

客員研究員のテライです。

3/27のレストランでの技術紹介イベントでは、私はMicrosoft(マイクロソフト社)のKinect(キネクト)を使って「お客さんが店員さんを呼ぶ」ための装置を制作いたします。この案件ではプロジェクタを使うため、まずはインスタレーションにおけるプロジェクタについて調べました。

最近のプロジェクタはハイビジョン画質や3D対応などの新機能がどんどん搭載されていますが、ことインスタレーション用途では、主に以下にまとめた項目に注目すればよいのかと思います。

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今回、私の手元にはBenQのニューモデルであるMW824STと、EPSONの2年前ぐらいの機種であるEH-TW400という性格の異なる2機種がありますので、実際に投影しながらプロジェクタ使用の勘所を調べたいと思います。

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注:写真左がEPSONのEH-TW400、右がBenQのMW824ST

短焦点(焦点距離)

単ではなく短焦点です。
例えば100インチの映像を映写したい場合に、プロジェクタを何m(メートル)の場所におけば実現できるかということです。4mの位置に置く必要がある機種よりも、2mの位置に置けば100インチになる機種の方が「短焦点」であり、置き場の制約を受けやすいレストラン店内などでのKinectインスタレーションでは短焦点機種の方が何かと便利です。

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写真左が、より短焦点のMW824STのプロジェクタ。どちらも壁から1mの距離にプロジェクタを置いていますが、画角の違いで表示サイズがこれぐらい差があります。例えば天井に投影したい場合、天井高は一般的に2.5mぐらいでしょうから、短焦点であればあるほど、天井に映像を大きく映写できることになります。

※TW400はそもそも短焦点プロジェクタではないので、比較すると投影面が明るく見えます。

最高輝度(ルーメン)

インスタレーションで使うプロジェクタは、会場が暗ければ暗いほど奇麗に投影できます。一方今回は、会場がレストランですので、当然メインは料理、その料理をおいしそうに見せるために、レストランの照明器具は考えられて取り付けられており、安直に真っ暗にはできません。よって、明るい場所でもプロジェクタ映像がよく見えるような「投影面」「投影機機(プロジェクタ)」とを検討することが大事です。

投影面
レストランを下見した結果、Kinect(キネクト)インスタレーションの投影場所の候補として、壁面ガラス、壁面、天井、テーブル、オブジェクトにプロジェクションマッピング、のどれかにしようと考えました。お客さんに驚きを与えられそうなのは、ガラス壁面への投影かなぁと思い、ガラスに網戸(アミッドスクリーン)か農業用ポリビニール(ポリッドスクリーン)を貼付けることで、ガラス上に映像が浮かび上がる表現ができないかを検討しました。しかし検討の結果、会場の明るさを考え、ガラス投影案は今回は見送りました。(このあたりの検証は別エントリでご紹介します)

現状としては、天井に投影することになりそうです。

投影機機(プロジェクタ)
明るい場所でプロジェクションする場合は、プロジェクタの輝度は高い(明るい)ほどよく見えます。輝度とともにコントラスト比もプロジェクタ選びの指標となるのですが、家電量販店の店員さんに聞いたところ「コントラスト比はそこまではあてにならない」と教えてくださいました。ネットにもそういった書き込みがあるようですね。ちなみにMW824STは3200ルーメン、TW400は2600ルーメンの明るめのプロジェクタを調達しました。

台形変形・鏡像反転

会場のレイアウトの都合、プロジェクタを置く場所も検討項目となります。投影面に対して真っ正面から投影できることはそうそうありません。最近のプロジェクタには上下の角度調整(台形変形)機能が付いていますし、機種によっては左右変形機能も付いています。

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注:短焦点ではないTW400も、距離を離せば大画面プロジェクションはもちろんできますし、こちらの機種にのみ左右台形調節機能が付いているので、プロジェクタ本体を斜めから投影することもできます。

また、リアプロジェクション機能があれば、前述のようなアミッドスクリーン、ポリッドスクリーンなどを使って背面から投影する時にはもちろん、リアプロとはつまりは左右反転表示ですので、プロジェクタの映像を鏡に反射させて投影する場合にも役に立ちます。

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TW400の前に鏡を置き、反射した映像を天井にプロジェクション。鏡に反射させると鏡像反転するため、プロジェクタのリアプロ機能を使えば正しく表示されます。ちなみにもう一方のMW824STは、短焦点で広角なので相当大きな鏡を用意しないと映像が鏡から漏れてしまいます。

openFrameworks Tips:今回はopenFrameworksでインスタ用のアプリケーションを制作します。

openFrameworksには「ofxQuadWarp」というアドオンがあり、表示させる映像の各コーナーを移動させることで変形や反転させて投影対象にぴったり合わせることができます。

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今回の制作では考慮しませんでしたが、インスタレーションのプロジェクタについては、以下の手法もみられます。

複数台のプロジェクタで投影する

同じ映像が流れる複数台のプロジェクタを同一面に映写する手法もあり、膨大な輝度が必要な屋外インスタレーション等ではよく用いられています。映像を配信する側のパソコンに相応の描画負荷がかかることと、台数に比例してプロジェクタの騒音や発熱も大きくなるリスクはありますが、輝度は倍増できますので、予算も規模も大きいインスタレーションイベントなどではよく使われています。

まとめ

今回、新旧2機種のプロジェクタを使ってテストしてみましたが、一方が必ずしもオールマイティーというわけではなく、インスタレーション会場の環境に応じてそれぞれ使い勝手の向き不向きがあるものだと思います。ここで書いたようなプロジェクタの特徴を念頭にしつつ、現地の下見を早くやっておくのが大切なのですね。

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