切断患者へリアルタイムの感覚を与えるバイオニックハンド
ATL調査隊
こんにちは。ATL調査隊です。
切断患者へリアルタイムの感覚を与えるバイオニックハンド
ワイヤーを通した神経伝達信号によって、装着者に手に持ったものの感覚を味あわせることのできる義手を開発。
ロボットアームを義手として利用する際に問題となることは、神経が通っていない故、握ったモノの硬さがわからないという点だ。しかしながら、その問題は近々解消される見通しだ。
クリーブランド退役軍人メディカルセンターとケース・ウェスタン・リザーブ大学による昨年の共同研究、そして明かされたばかりの研究結果によると、切断患者が義手により「感覚を得る」日は近そうだ。
装着者へ握ったものの感触を得ることを可能にするロボットの義手を開発したのは
スイスのEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)及び、イタリアのSSSA(サンターナ高等研究所)の研究員達。指揮を務めたのはEPFLのシルベストロ・ミセラ氏だ。
36歳のデンマーク人、デニス・アボ・ソエンスンは9年前、休暇中のある日、花火の扱いを誤り、左手を失った。シルベストロ博士とその医療チームは2013年2月、イタリアのジェメッリ病院にてパオロ・マリア・ロッシーニ博士監督の下行った試作義手のテストを目的とした臨床試験の被験者としてソエンスン氏を選んだ。同週、発表された結果によると、試験は成功とのことだった。
昨年1月26日、外科医と神経内科医のグループがソエンスン氏の体に対し、尺骨への経ニューロン性電極と左腕への正中神経移植手術を行った。これらは微弱な電気信号を直接神経系へリレーさせることのできる超極薄かつ精密な電極を繋げるための処置だ。
これらの電極は義手の先端と繋がり、指の動きのコントロールを可能とする人工腱で緊張を調整し、手で触れたものの感覚を伝達する役目を担う。
この動きにより得られた情報は電流へ変換され、アルゴリズムを使用し、神経系が認識可能な刺激へと次々に変換されていく構造である。
臨床研究の一環として、ソエンスン氏は目隠しと耳栓をした状態で様々な物質を握る試験を行った。それにより、形や硬さの異なる物質に対してどれくらいの強さで握るべきかがわかるようになった。
ソエンスン氏は声明で「この感覚フィードバックは出来は信じられない程だ。」と述べている。
「この9年間味わえなかった感覚を、今感じることができるんだ。物をつかむと、それが柔らかいのか硬いのか、丸いのか角張っているのかわかるんだよ。」
この研究の全文は先端医療科学のオンラインページからご覧になれます。
動く義手の映像はこちらから。