目次
はじめに
こんにちは! 2026年度新卒エンジニアの山口です! 株式会社リクルート/株式会社インディードリクルートテクノロジーズに配属される新卒エンジニアは、部署配属が行われる前に約4ヶ月間のBootCampと呼ばれる新卒研修に参加します。 今回は2026年度の研修の内容と、実際に受講した立場から講座の中身や自身の学びを紹介いたします。
研修の概要
研修は、配属後速やかに業務に取り組める状態になることを目指し 、以下3点を目的として行われました。
- 様々な技術領域の講座を受け、興味関心を広げながら、エンジニアとして成長する土台を獲得すること
- 配属後、現場で求められる「仕事への取り組みスタンス」をつかむこと
- 気軽に相談できる仲間を作ること
これらの目的の通り、配属先の技術スタックに依らず、幅広いエンジニアリング知識を体系的に学ぶほか、Slackでのテキストコミュニケーションのあり方などヒューマンスキルに関する講座も用意されていました。
エンジニアリング研修については、入社前に行われたスキルアセスメントテストの結果を踏まえ、受講者の習熟度・理解度に合わせたクラス分けが行われていたため、開発経験が全くなかった私でも自身のレベルに合った講座を受けることができました。
研修は聴講型の講義だけでなく、ハンズオン形式で実際に手を動かす演習や、グループワークなどバランスよく設計されており、能動的な学習に繋げることができました。
また、各研修では「競争ではない」という方針が共有されており、周りの優秀な同期に刺激は受けつつも、あくまで自身のエンジニアリングに対する理解を最優先し、安心して自分のペースで課題を進められる環境でした。
研修内容・資料
実際の研修の内容と、資料の一部を公開いたします。
ぜひ、参考になさってください。
| No | 講座名 | 資料公開 | 資料リンク | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 導入研修 | × | ||
| 2 | エンジニアの心構え | ○ | ソフトウェアエンジニア人生サバイバルガイド | |
| 3 | つくって納得、つかって実感!大規模言語モデルことはじめ | ○ | つくって納得、つかって実感! 大規模言語モデルことはじめ ver2.0 | |
| 4 | QA・テスト講座 | × | 初開講 | |
| 5 | テスト駆動開発 | ○ | AI時代のTDD / TDD in AI Era 202604 Edition | |
| 6 | observability研修 | × | 初開講 | |
| 7 | 情報セキュリティ研修 | × | ||
| 8 | ブラウザ | ○ | ブラウザ研修 2026 | |
| 9 | 開発プロセス | ○ | 事業価値と Engineering 2026年度版 | |
| 10 | ○ | 制約理論(ToC)入門 2026版 | ||
| 11 | ○ | トヨタ⽣産⽅式(TPS)⼊⾨ | ||
| 12 | JavaScript研修 | ○ | JavaScript 研修 (2026) | |
| 13 | Typescript研修 | ○ | TypeScript入門 2026 | |
| 14 | モダンフロントエンド研修 | ○ | モダンフロントエンド 開発研修 | |
| 15 | スピードハッカソン | × | ||
| 16 | 実践データベース設計 DAY1 | × | ||
| 17 | 実践データベース設計 DAY2 | × | ||
| 18 |
実践アプリケーション設計 DAY1
〜Javaで学ぶオブジェクト指向(応用)〜
|
× | ||
| 19 |
実践アプリケーション設計 DAY2
〜Javaで学ぶオブジェクト指向(応用)〜
|
× | ||
| 20 |
|
○ | Webアクセシビリティ入門 2026 | |
| 21 | 攻撃と防御で学ぶAI時代のプロダクトセキュリティ演習 | ○ | 攻撃と防御で学ぶAI時代のプロダクトセキュリティ演習 | |
| 22 | アプリ開発の概論 | ○ | モバイルアプリ開発概論2026 | |
| 23 | 配属前導入研修 | × |
印象に残った講座3選
エンジニアの心構え
和田卓人(@t_wada)さんによるこの講義は、単なる技術習得にとどまらず「エンジニアとして人生数十年をどう生き抜くか」という長期的視点に立ったものでした。受講当時はエンジニアという職業に対する解像度が低く講義の真意を咀嚼しきれていませんでしたが、研修で実際に手を動かし、エンジニアの学習サイクルを曲がりなりにも掴んでいくにつれ、語られていた言葉の意味が実感として深く腑に落ちるようになりました。
本研修で特に学びが深かったのは、「リスク分散・学習の仕組み化・AIの活用」という3つのサバイバル戦略です。 長期的なリスク分散として「10年かけてジャンルの離れた3つの専門性の柱」を立てること、そしてそれを支えるために「やる気に依存しない継続的な学習の仕組み」を作ることの重要性を痛感しました。 また、「労力は外注できても、能力は外注できない」という言葉の通り、AIを作業の代行にとどめず、自身の理解力やデバッグ力を高める増幅器として活用していく姿勢を学びました。
研修で得たこの気づきを原点に、AIを自己成長の糧としながら主体的に学びを重ね、変化を前向きに楽しめる息の長いエンジニアを目指したいです。
開発プロセス
開発プロセス講座では、「事業価値とEngineering」「制約理論(TOC)入門」「トヨタ生産方式(TPS)入門」という3つの連続講義の構成で行われ、事業価値とエンジニアリングがどのようにつながるのかを体系的に深く理解することができました。
最も印象的だったのは、企業のゴールは「事業価値を生み出し、社会に貢献し続けること」であり、システムの「生産」そのものではないという大前提です。つまり、コードを大量に書くことや機能を高速でリリースすること自体が価値なのではなく、それが市場で利用され、意味を持って初めて事業価値の面積が積み上がるという構造を学び、目的を見失った開発がいかに無意味であるかを痛感しました。この事業と技術を結びつける視点は、すべてのエンジニアが持ち続けるべき思考だと感じました。
また、AIの登場によってソフトウェア開発のパラダイムがどう変化するのかという講義内容は非常に衝撃的でした。AIによる開発の自動化で「作る」コストが激減する結果、今まで採算が合わなかったニッチな需要が解放されるという点は興味深かったです。一方で、総コストの比率が変わり、未来のシステムのボトルネックが「開発」から「維持保守(事後コスト)」へ完全にシフトしていくという構造的変化には非常に納得しました。さらに、開発プロセスがV字型からI字型へと変化し、AIを使って素早くモックを作り事前検証を行うことで、ニーズから的確に引き出すことが容易になるという視点も得られました。AIを武器にして「作り過ぎのムダ」をいち早く防ぐという現代ならではの開発思想は、今後のプロダクト開発に活かせる大きな学びでした。
今後のプロダクト開発では、単にコードを書くことを目的化せず、常に「事業価値の最大化」を意識して取り組んでいこうと思いました。
攻撃と防御で実践するプロダクトセキュリティ演習
この研修では、アプリケーションの脆弱性を突いて「フラグ」を取得するCTF形式の攻撃演習と、その修正を行う防御演習を体験しました。 脆弱性診断ツールやブラウザの開発者ツールを用いてHTML要素を確認・改ざんしたり、リクエストのパラメータやIDを書き換えて送信したり、さまざまなアプローチを学ぶことができました。
演習を通して、システムの裏側を熟知して脆弱性を突くハッカーは、まさにWeb開発のプロなのだと痛感しました。同時に、AIが生成したコードに潜むリスクや、AIが作業上の詳細な指示に従うあまりビジネス上の目的を見失い、脆弱性あるコードを出力するといった、現在のAIの限界もリアルに体感できました。
チームに分かれてスコアを競い合う形式はゲーム性が高く、夢中になって楽しむことができました。仮説検証をたくさん行ったことで、実践的なセキュリティスキルを身につけられました。今後のプロダクト開発において常に高いセキュリティ意識を持ち続けようと、身の引き締まる思いです。
終わりに
研修を通して、大きく三つの学びがありました。
① エンジニアの学びは積み上げ式
どんな職業も経験の積み重ねによって見えてくるものがありますが、エンジニアは特に知識や経験の蓄積がバリューに直結する職業だと感じました。積み上がった分だけできることが増え、思考の幅が広がるからこそイノベーションも起きやすくなります。日々の小さな学びの積み重ねが、将来大きな武器になると確信しました。私も生涯学び続ける姿勢を持ち、年輪を重ねるようにできることを増やしていきたいです。
② 三人寄れば文殊の知恵は本当にそう
一人では理解が難しかった仕様も、同期からのちょっとした助言で一気に視界が開けた経験がありました。ここで実感したのが、自分の思考プロセスを周囲に開示しながら進める「Working Out Loud」の重要性です。研修中、各自がSlackのオープンチャンネルで作業状況を発信したり、ハドルミーティングを開いたりすることで、同期同士が自然と助け合える環境ができていました。
③ 学びにおいて、AIは付き合い方がとにかく大事
今回の研修のゴールは「単なる効率化」ではなく「自身の学びの最大化」でした。その観点で見ると、AIは最短で答えをくれる親切な存在である一方、「優しくはあるけれど自分にとって挑戦的な課題をやらせてくれない上司」のような一面もあります。対話を通じて理解を深める局所的な使い方は有効ですが、最初から頼り切ってAIに伴走してもらうやり方では、自身の成長につながりにくいと感じました。取り組んでいる作業の目的を常に見極めた上で、AIを活用していきたいです。
文系学部卒・エンジニア未経験の自分にとって、この研修期間は不安を自信に変えてくれるものでした。未経験でも安心して学べる充実したカリキュラムのおかげで、エンジニアリングの基礎知識をしっかりと習得できました。そして何より、互いに高め合える同期に出会えたことで、学習中の壁も何度も乗り越えることができました。これからのリクルートでの業務が楽しみです!