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こんにちは!
2025年5月、サンフランシスコで行われたイベント「Config 2025」に、デザインマネジメントユニットから13名が参加しました。
私たちは、リクルートのデザインを統括する社内横断組織に所属しており、参加したメンバーはそれぞれ異なる領域のサービスを担当しています。組織の詳細についてはこちらをご覧ください。
今回は「Config 2025」で得られた学びと、それを踏まえてリクルートのデザイナーとして今後チャレンジしたいことをシェアさせていただきます。
Configとは
ConfigとはFigma, Inc.が主催する年に1度のグローバルイベントです。今年度は、サンフランシスコ(モスコーニ・センター)にて2025年5月6日〜8日の3日間にわたり開催されました。50以上のセッション、75人以上のスピーカーが登壇し、マルチトラック構成・Maker Space・展示など多彩な体験が提供されました!



オフィスツアー:創造性を刺激する「仕掛け」の数々
Figma社のオフィスツアーに参加してきました!
サンフランシスコのクラシックなビルに一歩足を踏み入れると、そこは驚くほどアーティスティックで活気に満ちた空間。会議室には著名デザイナーの名前が冠され、遊び心あふれるデザインが随所に散りばめられています。
Figmaのプロダクトと同様にFigma社のオフィスもユーザーとの共創、クリエイティビティ、そしてこだわりのデザインで成り立っていると感じました
また、休憩スペースや出張カフェに並ぶ社員たちの姿からは、リラックスした会話が自然と生まれている様子が伺えました。偶発的なコミュニケーションから次のイノベーションを生み出すための「意図的な仕掛け」を感じずにはいられません。
日本オフィスから輸入された提灯が飾られているのも、グローバルな絆を感じる胸が熱くなるポイント。歴史ある建物の味わいと、最先端の思想が融合したこの場所は、まさにFigmaの哲学そのものでした。
Japan happy hour
夜は「SPIN San Francisco」でJapan happy hour!卓球台を兼ねたテーブルが並ぶおしゃれな空間に思わずテンションが上がります。
懇親会が始まると、いろいろな企業の方と交流が生まれ、まるでデザインを中心に世界が一つになるような瞬間でした。普段出会えないバックグラウンドの人と語り合えるのは本当に刺激的で、カジュアルで楽しい雰囲気の中で築かれるネットワークは、デザイナーとしての視野を広げるだけでなく、一緒に働いてみたい!と思える大切な体験でした。

セッションについて
ここからは特に印象的だったセッションについて、各参加メンバーからご紹介していきます。
Keynote「 AIは創造的パートナーになりうるか? (担当:宮武 珠希) 」
AIは「なんでもやってくれる便利な道具」ではなく、「自分のやりたいことを実現するためのパートナー」だ—— Anthropic 社のHead of Product Design at Anthropic を務めるJoel Lewenstein 氏のプレゼンを聞いて、私はそう受け取りました。印象的だったのは「新しいテクノロジーを理解するには、既知のものを介したメタファーが不可欠」というメッセージです。

ヘンリー・フォードが自動車を「優れた馬車」として広めた例のように、新しい概念を既存の理解に繋げることの重要性を改めて感じました。

さらにJoel氏は、AIを単なるツールではなく、“創造のパートナー”として提示しました。AIは「自分を知ってくれる(Knows you)」「一緒に作ってくれる(Creates with you)」「共に成長してくれる(Grows with you)」存在です。たとえばChatGPTは、会話を通じてユーザーの文体や好みを学び、次の執筆時にはその特徴を自然に反映します。
また、アイデアの下書き生成からトーン調整、文章の推敲まで対話を重ねながら共同で仕上げていくプロセスは、まさに“共創”そのものといえるでしょう。

このプレゼンを通して、AIを“使う”だけでなく“共に育つ”姿勢の大切さに気づきました。AIとの関係をどう築くかが、これからの創造のあり方を左右するのだと思います。
Keynote 「書くことはデザインである」(担当:Lee Sola)
「言葉」がデザインにどれだけ影響しているか、考えたことはありますか?コンテンツデザイナーのアンディ氏は「言語はデザインの一部であり、UX全体を形づくる要素だ」と強調していました。
印象的だったのは、画面からテキストを消すデモ。アンディ氏は言葉がなくなると「ここで何ができるのか」が分からなくなると説明していました。テキストは飾りではなく重要な設計素材なので、ボタンラベルひとつを決める際も、全体的な体験を考慮して設計をする必要があると語っていました。
試しに、リクルートの『ゼクシィ縁結び』のマイページにあるテキストを消去してみると、どこに何の要素があるのかわからなくなります。ラベルの要素が大きい影響をあたえることがわかります。

さらに、アンディ氏によると、「ライティングもシステム化できる」そうです。Foundation(基盤)=声やトーンの指針、Elements(要素)=用語集などの素材、Components(部品)=実際の文言パターンとして整理できると説明しました。このように体系化することで、プロダクト全体で一貫した体験を設計できるようになります。

こうして言葉をデザインに組み込むことで、プロダクトは単なる機能を超え、ユーザーに一貫した体験と信頼を届けられるのです。
混沌としたブランド共創の最前線(担当:井上 賢治)
「The Wild West of Collaborative Brand Design」。登壇したのは、フィラデルフィアを拠点とするデザインスタジオ「Smith & Diction」のMike氏とCara氏。夫婦でブランド設計を手がける彼らが語ったのは、「ブランドデザインのこれからは“コラボレーション”がすべてだ」というメッセージでした。

彼らは自社のデザインプロセスを、Figma上でほぼすべて公開しています。ムードボード、提案、修正の履歴まで、1500人がリアルタイムで閲覧する“カオス”な状態に。それでも、そこから得られた共感や信頼が次の仕事につながったと言います。

印象的だったのは、彼らの姿勢です。「完璧なプロセスは存在しない」「早く固めない勇気を持つ」。チーム全員が直感で意見を出せるよう、「Red Light / Green Light」という手法で匿名投票を行うなど、判断の“フラット化”も工夫していました。
ブランドづくりは、孤独な職人技ではなくチームスポーツ。思考過程を見せ合いながら、進化を止めないことこそがブランドの力になる。そんな彼らのメッセージに、これからのデザインチームの在り方を考えさせられました。

終わりに

ここまで読んでいただきありがとうございました。
日常ではなかなか気付けない、長期的・俯瞰的な視点で、デザイナーとしての自分達の立ち位置や在り方を考えるきっかけとなり、よい刺激をたくさんもらうことができました。
今回のイベントで学んだことを糧に、これからもデザイン業務に励みたいと思います。