1ヶ月間、他社の戦略戦術を本気で考えてみて ~Product Leaders Training 2025参加レポート~

こんにちは、『Airペイ』のプロダクトマネージャー(以下、PdM)を担当している尾台です。リクルートでは業務支援や経営支援サービスとして「Air ビジネスツールズ」を提供しており、中でも『Airペイ』は、クレジットカード・電子マネー・QRコード・ポイントも使えるお店の決済サービスとして利用されています。

…と、サービスの紹介をしましたが、今回は、そんな『Airペイ』とは全く別のお話を書こうと思います。

リクルートのPdMが集まるサービスデザイン室では、「手上げ研修」という、社員が自ら希望した外部研修・カンファレンスに会社の経費で参加できる制度があります。

今回はこの制度で「Product Leaders Training 2025」に参加してきました!
このトレーニングのレポートになります。

「Product Leaders Training 2025」参加レポート

「Product Leaders Training 2025」とは

「Product Leaders Training 2025」とは、一般社団法人日本CPO協会が主催する、CPO( Chief Product Officer )やVPoP( Vice President of Product )など、これからProduct Leaderを目指す人のためのトレーニング講座です。

2025年度は、Day1に講義・ワーク、その後チームでケーススタディに取り組み、Day2にプレゼンテーションとフィードバックを受ける流れで、1ヶ月にわたり開催されました。

特徴
・CPOやVPoPを目指す人のためのトレーニング講座
・講義とワークの組み合わせで実践的な学びを得ることができる
・日本CPO理事陣が講師を務め、参加者に対して
 直接的なティーチングとフィードバックを提供する

背景
・日本においてプロダクトマネージャーのニーズは高まるばかりです
・一方で、プロダクトマネージャーになりたい人向けの資料や講座は
 多くありますが、シニア層を育成するプログラムはまだ少ないと考え
 ています
・世界で通用する日本のProduct Leadersを増やしたい日本CPO協会として
 は、これまでカンファレンスを通じてノウハウを広く伝えてきましたが、
 より直接的な育成にも取り組むべく、本講座を立ち上げました

トレーニング内容
・プロダクトビジョンや戦略の策定方法、それに連動する戦術の策定、
 そして戦略と戦術に対応した組織作りなどを体系立てて学習します
・Day1に講義・ワークの後、実際に取り組むケーススタディの説明を行い
 ます
・Day2に向けてチームでケースに取り組み、Day2当日では理事や協力企業
 に向けてプレゼンテーションを行い、講評・フィードバックを受けます

Product Leaders Training 2025

サラッと書いてあるのですが、このケーススタディがめちゃめちゃ大変でした!笑

Day1前から当日

Day1での講義の一コマ

まずDay1前に参加者が集まったSlackワークスペースが開設され、notionで情報が公開され始めました。
当日のタイムテーブルやメンバー構成などを見ながら、ちょっとテンションが上がったことを覚えています。

Day1当日は、座学+ディスカッションという形で行われました。

・Ken (ワカマツ ケン)さん(株式会社LayerX)
・宮田 善孝さん(CEO, Zen & Company)
・中出 昌哉さん(テックタッチ株式会社)
・西岡 悠平さん(ファストドクター株式会社)
・松栄 友希さん(株式会社SmartHR)
・西場 正浩さん(Sansan株式会社)

この6名による「プロダクトビジョンと戦略」や「戦略に魂を吹き込む」、「PdMキャリアラダーとマネジメントと実践」では、実体験に富んだエピソードを聞くことができました。それぞれ内容が実践的なものばかりで、非常に有益だと感じました。

ポイントごとにディスカッションの時間もあり、単なる基調講演に留まらない点も良かったです。

個人的には、「プロダクトビジョンの考え方」「良いロードマップとは」「PdMのキャリアラダーの考え方と各社の実態」の話が、実際にケーススタディに取り組むワークの中で「どういうプロダクトに進化させるのか?」「その登り方はどういうものか?」と議論を行う際に、大変参考になりました

そして、Day2に向けてチームごとにお題となる企業を提示され、「この企業のCPOになったつもりで、戦略戦術・ロードマップを作ってきてください」というワークに取り組みました。

お題となった企業は、株式会社タイミー、Ubie株式会社、株式会社ログラスで、私は株式会社ログラスの担当になりました。

Day1後からDay2前

ここからチームごとに分かれて、戦略戦術・ロードマップの作り込みワークが始まりました。

チーム構成は、社員数100名規模から数万規模の企業、toB/toC、AI系プロダクト、業務支援SaaS担当者など、かなりバラエティに富んだメンバーです。

そこから週2回の打ち合わせを4週間重ねて、ワークを行っていきました。

まず着手するのは担当企業・競合・市場のリサーチで、オーソドックスな3C分析に基づきプランを練り上げていきます。

各チームにはメンターがつき、2回までは壁打ちができるという条件だったため、10日ほどでドラフトを作成した段階で、メンターである松栄 友希さん(株式会社SmartHR)に壁打ちをお願いすることに。

「これは戦略というより、戦術が並んでいるだけになっていて、もったいないね」
「"いま"のことは見えているけど、未来の競合や今後の"事業の在り方"はどうかな」

この言葉を受け、チームメンバー一同で全てを作り直し始めました。

担当企業が「将来どのような世界/事業をつくりたいのか?」と徹底的に議論していき、その過程で、現在とは異なる競合はどこになるのか?どうすれば優位に立てるのか?を考えていきます。

結果的に、最終段階では週4回の打ち合わせを実施。それ以外にも個別に調査・検討・資料作成を進め、ほぼ毎日ワークのための時間を使いながら、提出期限15分前に資料が出来上がるというギリギリの状況を迎えました。

Day2当日

Day2でプレゼンを聞く審査員の一コマ

Day2当日は、チームごとにプレゼンと質疑応答を行い、講評を受けました。
トレーニングではなく、実務として考えている方々へのプレゼンは、なかなか骨が折れるものです。

質疑応答では、「この戦術を実行する場合、3年後の組織図・体制はどうなっているのでしょうか?」「プロダクトを世に出す順番がこうなっているのは、どのような狙いがあるのでしょうか?」など、絵に描いた餅にならないよう、実行に移すための質問が出てきました。

その後、各チームの発表に続き、お題となった企業の方々とのクローズドディスカッションの時間が設けられ、1ヶ月間考えてきたことに対して「僕たちは実際にはこう考えている」というシェアをいただくことに。

その後、「自分たちで考えたことと違う点は、なぜなのか?」「同じ部分については、どのように実行しようとしているのか?」「組織としての意思決定プロセスはどうなっているのか?」といった点を質問できました。

最後には懇親会が開かれ、チームメンバーと考え方をシェアしたり、お題企業の方と個別に意見を交わしたりと、非常に有意義な時間だったと思います。

1ヶ月間参加してみて

通常業務もある中で、かなり濃密な1ヶ月でしたが、様々な刺激がありました。

普段とは異なる筋肉を使ったこと
目指す方向性を決めたり、追いかけるべきNorth Star Metric(企業がビジネスの成長を目指すために設定する重要指標)を考えたり、 将来の競合を見極めて対策を練ったり、"いま推進している案件を世に出すための動き"とは異なる取り組みは新鮮でした。

どこまで考え抜けるか、に向き合えたこと
ビジネスにおいて実行力(エグゼキューション)が大事という認識は当たり前にあるものの、実際にどこまで考え抜けているかという点で、複眼的な捉え方・一つひとつの掘り下げの深さ・リスクに対する備え方など、自分に足りない点が数多く見つかりました。

答え合わせをすることで、解釈に幅をもたせられたこと
1ヶ月という短い期間ですが、ワークとして考えたことに対して「実際にはこう考えている」という話を聞けたことで、通常のカンファレンスで聞く基調講演などよりも、個人的にはリアリティを感じられました。

チームメンバーとさまざまな会話をしたこと

現在のリクルートとは競合に対する考え方や戦い方も異なる中で、各社が行っている仕事の話を聞いたり、異なる物事の見方を教えてもらったりしました。

ワーク以外も日頃の業務の話をする中で、プロダクトが異なれば大変だと感じるポイントや悩むポイントが違い、「今いる環境の当たり前は当たり前ではない」ということを改めて認識しました。

最後に

個人で参加するにはハードルが高い研修であったため、サービスデザイン室の「手上げ制度」に活用参加してみてよかったなぁと実感しています。

また、会社でトレーニングの話をすると面白がって聞いてくれるメンバーも多く、このような学びの機会を受け止めてくれる土壌があるのがリクルートの良いところだなと改めて認識しました。


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