本業×副業が広げる、プロダクトマネジメントの可能性
リクルート プロダクトデザイン室

こんにちは!リクルートのプロダクトデザイン室の中村真也と申します。
『ホットペッパービューティー』でサロン来店時に現金やカードの受け渡しをせずに支払いができるサービスである『スマート支払い』でプロダクトマネージャー(以下、PdM)を 担当しています。
趣味は立ち飲み・サウナ・山登り、というミーハー人間です。休日は美味しいやきとんとホッピーを探しに街に出かけています。
今日は、『本業×副業が広げる、プロダクトマネジメントの可能性』と題し、本業と副業の両立による相乗効果について、私の経験を共有させていただきます。
「本業と副業、両立させるのって難しくないの?」
「本業と副業、両立させるのって難しくないの?」と聞かれることもあります。確かに時間管理は重要ですし、チャレンジングな部分もありますが、私の場合は異なる環境で得た経験が相互に影響し合うことで、むしろ両方を面白く感じられているように思います。
私はリクルートでPdMを務めながら、別のベンチャー企業のプロダクト改善やデータ活用に携わる副業にも取り組んでいます。これまでにリクルートでの本業ではtoC向けプロダクトの『SUUMO』とtoB向けプロダクトの『SALON BOARD』 の二つのプロダクトを経験し、副業先では小規模チームの手触りを味わう――こうした掛け合わせによって生まれる学びや発想の幅は、想像以上に広がるものだと感じています。
『SUUMO』から『SALON BOARD』へ
私がリクルートに転職したのは2022年。最初に担当したのは『SUUMO』の新築分譲マンション領域における個人ユーザー向けの大規模メディアでした。
年間100を超えるUI改善や新機能追加を通じて家探しをより便利にし、メディアの価値を最大化することがミッション。複数の施策を並行しながらデータ分析・A/Bテストを繰り返し、スピーディーな判断が求められる環境でした。豊富なアクセスデータを活用し、UXを磨く経験はPdMとして非常にエキサイティングな経験でした。
2024年からは『ホットペッパービューティー』のサロン向け業務支援SaaS『SALON BOARD』を担当。予約時決済サービス『スマート支払い』の企画を進め、サロンの決済オペレーション負担を軽減しつつ、お客さまの体験価値向上に取り組んでいます。 業務支援ツールとしての利便性を追求する一方で、画面設計が現場の運用に与える影響も考慮が必要です。
『SUUMO』で培った個人ユーザー視点と、『SALON BOARD』の業務支援視点を組み合わせることで、プロダクト全体を立体的に捉えられるようになりました。
toCのユーザー視点とtoBの業務構造を両立する難しさはありますが、PdMとしての面白さはまさにそこにあると感じています。
ベンチャー企業での副業経験から得た気づき
リクルートでのPdM業務と並行して、比較的小規模な組織でサービス運営を行うベンチャー企業に副業として参画 しています。
まず取り組んだのは、データの取得・分析基盤の整備でした。単にデータを集めるだけでなく、効果的なモニタリング体制やKPI設計を構築し、施策の効果検証を確実に行える環境を整えることが最初の挑戦となりました。大企業とは異なり、標準ツールや社内インフラが潤沢にあるわけではないため、一つひとつのプロセスを地道に整備しながら進めていく必要があります。
データ基盤が整うと、そこから得られる情報をもとに仮説を立て、施策を試すことができるようになります。ただ、小規模なチームでは意思決定のスピードが速い一方で、リソースには限りがあるため、優先順位の見極めがさらに重要です。大規模なリリースを一気に仕掛けるのではなく、小さく試しては効果を測定し、改善を重ねるスタイルが基本で、そのぶん攻めと守りのバランスを状況に応じて調整する必要があると感じています。
私がこの副業を始めたのは、リクルートとはまったく違う組織規模や開発速度の世界を体験したかったからというのも大きいですが、実際に取り組んでみると予想以上に学びがあります。少人数ならではの一体感や、メンバーの意見がスピーディーに形になっていく過程を間近で見られるのは新鮮です。異なる環境のなかで、自分の知識やスキルをどう活かせばより早く結果に結びつくのかを常に考えるようになりました。環境が違えば求められる役割や動き方も変わりますが、それぞれの特性を活かしながら価値を生み出していくことに大きなやりがいを感じています。
副業先でも成果を出し、事業に貢献していくことが第一ですが、それだけでなく、この経験がPdMとしての視野を広げてくれる貴重な機会にもなっています。
複数の視点がもたらす相乗効果
副業で培ったノウハウがリクルートのPdM業務にそのまま直結することばかりではありませんが、本業・副業の双方での経験が生み出す相乗効果もあると感じます。例えば、小規模チームで実践しているスモールスタートや柔軟な実験的アプローチを、大規模プロダクトでも部分的に取り入れてみる。逆に、本業で培ったデータ分析の手法やUI/UX設計の知見を、副業先のサービス改善に活かす――こうした相互作用が、プロダクトマネジメントの可能性を大きく広げてくれます。
スピード重視と綿密な事前検証の両方を経験
「まず動かしてみて、ユーザーの反応を見てから修正する」というスピード感は、これまでも意識してきましたが、副業先ではそれをよりダイレクトに実践する機会が増えました。ただ、大規模なサービスにそのまま適用するのは難しい部分もあります。しかし、全体を大きく変えずとも、小さな領域で試せることは意外に多い。『SUUMO』でも、要素ごとにA/Bテストを回しながら細かな実験を継続していたため、その感覚を改めて思い出すきっかけになりました。
一方、本業では大規模なサービスを扱う分、多くのステークホルダーが関与し、数々の論点を事前にクリアにしながら施策によって得られるリターンを見極めるプロセスが重視されています。副業先では合意形成のプロセスが比較的シンプルでスピードは出しやすいものの、十分な議論や調整を重ねることでプロダクトの完成度を高められるという利点も再認識しました。
速さと計画性、それぞれが求められる環境を両方経験することで、状況に応じた“最適なやり方”を柔軟に見極める力がより磨かれていると感じています。
toCとtoBの両面を意識することの強み
さらに私の場合、『SUUMO』(toC)と『SALON BOARD』(toB)の二つを経験できたことが大きな財産です。toCではユーザーがつまずきやすい箇所を深く想定し、UXを細部まで追求する必要があります。対してtoBでは、日常の業務フローに落とし込めるかどうかが肝要で、サロンスタッフやオーナーの立場から必要な機能を考える視点が不可欠です。
そうした両面に加え、副業先での取り組みを通じてさまざまな規模やスピード感にも触れることで、プロダクトが成長するフェーズや組織のリソース状況に合わせて、どの戦略が適切なのかを見極めることが重要であるという気づきも得られました。大規模か小規模か、toCかtoBか――そのいずれかに偏ることなく多方面を経験することで、PdMとしての総合力が自然と底上げされていると感じています。
幅広い学びを活かして、さらなる挑戦を
私は今後も、toCとtoBの両視点、そして本業と副業で培ったスキルを掛け合わせながら、PdMとしての戦略的な思考力と推進力をさらに磨いていきたいと考えています。リクルートには多様な事業領域があり、個人のキャリア志向を尊重する風土があるため、新たな挑戦の機会には恵まれやすいと感じます。副業においても、単なる経験の場としてではなく、成果を出して事業の成長に挑戦しながら、自分自身も進化し続けたいです。
これまでの経験を通じて、一つの枠にとどまるのではなく、異なる領域やアプローチを横断することで新たな発想が生まれることを実感しています。例えば、本業で培った緻密なユーザーインサイトの分析を、副業先のクイックな施策検証に活かすことで、スピードと精度の両立を目指す、といった“境界を超えた組み合わせ”こそが大きな価値を生むと感じています。
こうした複合的な経験が積み重なれば、将来的には新たな形のサービス開発や事業創出にも柔軟に対応できるのではないか――そんな可能性にワクワクしながら、PdMとしてのキャリアをこれからも切り拓いていきたいです。
※社員の所属部署および役職は、記事公開時点の情報です。
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