非エンジニアが自らローコードツールを開発して業務効率化!? 従業員自身が自走できる環境を目指して...

はじめに

こんにちは、リクルート ICT統括室の岩間と申します。
普段は Microsoft 365 や Microsoft Copilot(以下、Copilot) の企画・導入・管理、Microsoft Power Platform (以下、Power Platform) を活用した業務効率化の推進を担当しています。

リクルートでは、Power Platform や Google AppSheet、Kintone など様々なローコードツールを従業員自身が活用して、業務効率化を図る取り組みが進んでいます。

この記事では、当社で実施している業務効率化施策の一つである Power Platform の利活用推進についてお話しします。

そもそも Power Platform って何?

Power Platform とは、Microsoft社が提供するローコード開発プラットフォームです。
”ローコード” なので Java や Python などのプログラミング言語の知識が無くても、簡単に業務アプリの作成や業務タスクの自動化、データ分析などが行えます。
最近では生成AI機能も組み込むことができるようになってきており、日々進化しています。
詳しくは、以下のMicrosoft社公式サイトをご覧ください。

AI 搭載ローコード ツール | Microsoft Power Platform

 

業務効率化への取り組み

さて、本題に入ります。
リクルートでは、2010年代後半から Office 365 (現在の Microsoft 365 )を導入し、組織のコラボレーションや生産性の向上に取り組んでいます。
導入当初よりユーザーの利活用を支援する業務IT推進チームをつくり、以下のような世界観を目指して従業員自身が自走できるように様々な施策を実施してきました。


Microsoft 365 に含まれているサービス SharePoint / OneDrive / Teams の普及からスタートし、コロナ禍以前より実施しているリモートワークの推進も相まって、全従業員が利用できる状態にまで普及しました。
現在は Microsoft 365 に加えて、 Power Platform の普及に注力しています。

前述の通り、Power Platform はローコード開発が可能なため、一般的なシステム開発に比べると高度かつ専門的な知識はそれほど要しません。
ただし、あくまでも ”それほど要しない” だけですので、システム開発における基本的な考え方(システム用語やアルゴリズム、ロジック)や Power Platform 特有の知識、癖は知っておく必要があります。
Power Platform の一つである Microsoft Power Automate を一例とすると、以下のような用語が出現します。

  • 変数の初期化(プログラミング言語によっては変数の宣言とも言いますね)
  • JSON(普段の生活ではあまり使わないデータフォーマットですね)
  • For Each(直訳すると、それぞれに...)

このような用語や仕組みの存在を知らないと、開発途中で挫折したり、何とかツールは開発できたものの従業員自身で保守・運用ができず、業務が止まってしまったり......💭果たして我々は何のために開発したのか......となってしまいます。

業務IT推進チームでは、Power Platform を利用する従業員が「果たして我々は...」とならないように、そして Power Platform を従業員が自主的に活用(自走)できることを目指して以下のようなロードマップを策定し、施策を用意しました。


施策を続けて約3年、各事業組織に Power Platform のアンバサダー的な存在の従業員が増え始め、Step 4 に至るまでしっかりと根を張り始めてきました。
また、一つの組織で始まった業務効率化施策が組織を超えて横展開される事例も続々と登場し、施策をリードした従業員が各事業組織内で表彰されるような事例も増えてきました。
表彰された施策で私たちがお手伝いした部分はほんの少しだけですが、本当に嬉しいですね!
このような状況から、「もっと業務効率化したい!」「自組織でもやってみたい!」という声もいただき、アドバイザリー支援件数も年々増加しています。
皆さん改善への取り組みに前のめりで我々としては大変忙しいですが、有難い限りです。

 



業務IT推進チームの一員として考えたこと

ここまで業務IT推進チームの取り組みの概要をお話ししてきましたが、

ほんの少しだけ、私個人の経験と考えたこともお話ししたいと思います。

 

大学は文系学部を卒業し、新卒でSIerに入社しました。社会人になるまでプログラミングは未経験で、前提知識も全くない状態です。
既に予想がついている方もいらっしゃることでしょう。プログラミングが分からず、”しっかり”挫折します。特にコーディングは地獄でした。C# も Python も全く理解できず、毎日腕を組んで終わる状態です。
当時の上司や先輩に支えられ、どうにか今もエンジニアの世界で生きています(本当に感謝です...)。
挫折時の私の気持ちはこんな感じです。

 

  • 横文字が多すぎる!(仕方ありません、そうゆうものですから...)

  • 何が分からないのかすら分からない!(そして周りを見渡すと同期のみんなはできている...)

 

過去の話を少し振り返りましたが、私も元々は非エンジニアです。プログラミング経験がなく、エンジニアが本業ではない従業員が感じるハードルは、想像に難くありません。



コミュニケーションで大切なことを忠実に

 

Power Platform に関する問い合わせ対応をしている時に、こんなことを言われたことがあります。

💭何を言っているか全く理解できなかった...
💭知識が無くて申し訳ございません...
💭手間を掛けてしまって...


「全く理解できなかった」に関しては私の説明が下手だったせいですが、
マイナスの言葉をいただくことがありました。
振り返ってみると、エンジニアとして丁寧な説明は心掛けていましたが、あまり言葉を嚙み砕かずにお伝えしていたことで、理解ができなかったり高圧的な印象を与えてしまったりすることもあったのかなと推察します。

 

さて、どうしようか...前段でお話しした私の挫折時のことを思い出します。

 


「横文字が多すぎる!」と感じたあの時、あまりにも”アグレッシブな”専門用語が多すぎてスタート地点にすら立てなかった記憶があります。聞いたこともないような言葉が並ぶことは、人によっては超えるのが難しい壁のように感じるかもしれません。これは年次を重ねても、忘れてはならない感覚ですね。相手との共通言語(共通項)を見定め、目線を合わせる努力は欠かせません。

一方で、分かりやすい言葉にするだけではなく、しっかり従業員自身で自走できるように、Google や Yahoo! で検索したら引っかかるような正しい用語(キーワード)とイメージもお伝えするように心掛けました。
例えば、APIについて説明が必要だった時は、「API(サービスAとサービスBで情報のやり取りをするための窓口のようなもので、合言葉を投げかけると欲しい情報をくれる存在)」とお伝えするようにしました。

 

そして、「何が分からないのかすら分からない!」となることも決して悪いことではありません。そこで諦めなくても良いような安心感を感じてもらえるような雰囲気と関係性の構築は大切なのだと思います。
そのために、私自身の経験を伝えることや相手のことも聞いてみること、いつでも質問してほしいことを意識的に伝えるようにしました。

 

この考えをベースに取り組むようになってから、「こんなに親身に対応してもらえるとは思っていなかった」「ホスピタリティに感謝します」など前向きな声もいただくようになり、一定効果はあるのではないかと想像しています。

 

実際にやってみたことは何も難しいことはありません。そして、ITの仕事に限らず、どの職種やどのポジションでも共通している話で「そんなの当たり前では?」と思われる方も多いと思います。

コミュニケーションも教育も最初は時間というコストがかかりますが、仕組みをやり続けることに加えて、どう寄り添うかを忘れなければ結果につながるのかなと考えます(いや、単に私がそう思い込んでいるだけかもしれません...)。



最後に

我々業務IT推進チームは、今後も様々な施策を行い、より自走できる従業員が増えて会社全体で業務効率化を進めていきたいと思います。また、その先に従業員同士が困り事や改善施策についてアドバイスし合うような世界(プラットフォーム)を築きたいと考えています。
既にコミュニティ活動は開始しておりますが、まだまだこれからです。
さらに、Copilot や Gemini for GoogleWorkspace、ChatGPT Enterprise、Graffer AI Solution などの生成AIの活用もさらに進めて、より先進的な業務効率化にも取り組んでいきたいと思います。





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