独自の業務運用によりデータ欠損が発生… 独自運用をつぶして、データをきれいにした話

はじめに

はじめまして、ICT統括室の吉田と申します!

社内システムの運用や、社内ユーザとの調整窓口等の業務を担当しています。

 

社内異動でICT統括室に配属されたときは

「ゴリゴリのIT部署で、非エンジニアの私にできることはあるのだろうか…」

と心配しましたが、(恥ずかしながら)最近ようやく、求められていることや動き方がわかってきて、面白みを感じながら業務に取り組めています。

非エンジニアでも、できることはたくさんあるし、やりがいもありますよ!

 

今日は、システムやデータを見つめるのではなく、「業務」と向き合って改善することで、データをきれいにできたよ! という話をご紹介します。

 

「権限データに欠損が!」クリーニングができない

リクルートには、全社で利用されるさまざまなシステムやツールの、アクセス権・権限・IDの情報を一元管理し、クリーニングする仕組みがあります。

 

私はそのクリーニングシステムの運用を担当しているのですが… 

ある日、ある社内システムの権限データが正しく連携されず、「これではクリーニングができない!」とわかりました。

 

データ連携元システムの管理者に確認したところ、「ある部署のユーザが、独自のツールを使って権限付与しているから、データに欠損がある」とのこと。

 

ううむ… じゃあどうする?





POINT1:最上流から修正することに

問題の対処方法は3つありました。

①最上流の独自運用を廃止し、欠損データをそもそも作らないようにする

②欠損ありのデータを、システム管理者にて除外する

③欠損ありのデータを、クリーニングシステムにて除外する

 

②と③は、上流の独自運用で発生した欠損を、独自運用で除外します。

独自運用がさらなる独自運用をつくり、負債が積みあがっていきます。

 

これは、選択したくありませんでした。

 

②か③を選択しても…、

何年かたったら「なんでこのデータ除外してるんだっけ?」と目的を見失い、「こんな運用ありましたっけ?」と存在を忘れられ、システム改修時に考慮が漏れて障害の原因になったり、軽率に除外を中止してデータ欠損が再表出したり… と、ほんの5秒思いを馳せるだけでも、気が重い未来が複数パターン待っています。

 

お手軽にできる(ように見える)「いったん運用でデータ除外しとけばいいじゃん」は、悪魔のささやきです。

その「いったん」は、皆に忘れられて、平気で5年10年継続します。

未来に負債を残してはいけない。

 

手間はかかりますが、①が一番筋が良いです。

欠損データは、そもそも発生させない! これで決まりです。

 


POINT2:独自運用廃止のためにやったこと

というわけで私は、

独自ツールを使って独自運用をしている部署に、運用を修正してもらう!

と決めて、活動を行いました。

 

この独自運用…、掘れば掘るほど、いろいろ出てきました!

 

・独自運用は7年続いていた

・(よくある話ですが)7年の間に複雑化&形骸化が進み、「何のために何をやっているのか」が部署内でもわからなくなっていた

・(これもよくある話ですが)ひとつひとつの作業の目的を見失うと、「わからないから現状維持」と、基本構造に手を入れずにツギハギで運用の追加変更を重ねることになる。この結果、プロセスがさらに複雑化し、ますます目的を見失っていた

・(これも超よくある話ですが)複雑化した独自運用は「手間がかかるが改善できない」運用となっていた

 

ということで、こういう独自運用を廃止するには…

「ひとつひとつの手順と目的を見える化する」「目的に対して手順を仕立て直す」

しかありません。

 

どうにかズルできないか試したこともあったのですが(なんでも一応試します)、どんなに面倒でも、正攻法以外に道はなかったです。

 

具体的には、こんなことを地道にやっていきました。

 

・運用内容をヒアリング

・ヒアリングした内容をお絵描きして、該当部署と認識合わせ

・運用内容の目的を確認

 

…という手順を何度も何度も繰り返して、「やりたいこと(目的)」を設定し、それに対して「どうやるか(手順)」を作り直しました。

 

こうして、独自運用を廃止し、目的の「欠損データを発生させない」状態を無事に実現。

権限クリーニングを、全社一律標準化した形で実施できるようになりました。

 

独自運用を廃止したおかげで、こんな効果も…

実は、権限付与に使う「標準ツール」は、リプレイスが予定されていました。

 

独自ツールと標準ツールを複雑に組み合わせて構築された独自運用は、リプレイスのハードルにもなっていました。

単純に、標準ツールを別ツールに置き換えることができないからです。

 

標準ツールのみを使った運用に統合したことで、該当部署でも、他組織と同様に一律で別ツールに置き換えができました。

(標準ツール担当者によるヒアリング時には「そんなツールは使ってない」と回答を得たそうですが… 把握できていなかっただけでした… 独自運用あるあるです)

 

独自運用を放置すると、ツールのリプレイスも容易ではなくなります。

 

独自運用って、運用の目的も内容も見失われがちなので、その影響範囲を把握できなくなることが大きなリスクですよね…

そしてその影響範囲は、たいていの場合、想像以上に大きいです。

 

最後に

欠損データの除外を、一生懸命がんばるルートを選ばなくてよかったです。

それは「仕事のための仕事」です。

仕事のための仕事をがんばるより、そんな仕事をなくすために、最上流から業務改善しにいくべき!

これは、今も日々の業務の中で強く意識しています。

 

また、今回の例は小さな事例でしたが…、

システム間でデータを連携・参照し合って、広く深くデータを活用することは、今後も必要性を増し、どんどん広がっていきます。

 

データ活用の前に、まずは業務をシンプルにすることが大切だと思っています。

業務をシンプルにしないと、データも汚くなります。

非エンジニアのがんばりどころは、地道な積み重ねで実現する、業務のシンプル化なのではないでしょうか。

 

根性いるけど、結果にちゃんとつながります。けっこう楽しいですよ!



 

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