カギは社内事例にあり!?システム効率化を超えて運用ミスを激減させた件
はじめに
こんにちは、ICT統括室の梶です。
印刷会社で営業兼デザイナーとして経験を積み、システムエンジニアに転身しました。その後、システムを活用した業務の効率化や改善に取り組むことに魅力を感じ、リクルートに入社して現在に至ります。
ICTのお仕事は、企業によってさまざまで、想像しにくいですよね。リクルートのICTではシステムだけでなく、業務設計から関わることができたりと、幅広い活動が可能です。システムやツールの効率化だけでなく、ルールから見直すようなお仕事もありますよ、という一例になればと思い、今回は私が担当している「ビルセキュリティ」の事例を1つ、ご紹介させていただきます。
セキュリティ扉の運用チームは疲弊していた…
セキュリティ扉の運用とは、リクルートのオフィスに導入しているセキュリティ扉の設置や、そこを通行する人の権限管理を指します。リクルートグループのオフィスは現在、大小含めて全国に約500拠点あり、新規獲得や撤退、人の移動が断続的に発生します。それに伴い、セキュリティ扉の設置や権限変更も毎月という頻度で発生します。
上記の、頻繁に発生する工事や権限変更において、設定ミスにより通行できないなどのトラブルが度々発生しており、運用チームは疲弊していました。
都度振り返りと再発防止策を実施していたのですが、例えばダブルチェックのような、対処療法的なアプローチでは日々業務が複雑になるばかりで、根本的な改善には至っていませんでした。
根本改善スタート!最初は基本的な業務パターンを見える化しよう!
根本改善をするためには、まず土台作りから!と思い、理解を深める為に業務の見える化からスタートしたのですが…さっそく担当者へのヒアリングで失敗しました。上流工程から順番に業務の全容を聞き出そうとしたのですが、至る所で分岐が多発し、いつまで進めても業務の全容が見えてこなかったのです。
「この業務には時期や条件によって複数の分岐があって~」
「特定の依頼元からの入館証発行は別の業務パターンが~」などなど
辛うじてわかったことは”想像を絶する量の分岐ポイントがあること”でした。
このままでは効率的に進められないと感じ悩んでいたところ、リクルートには定期的に社内の成功事例のナレッジを共有するイベントがある事を思い出しました。当時その中で紹介されていた”小さく始めて、まずは成功体験を得る”という手法からヒントを得て、まずは「一番基本的なパターン」1つを整理することを関係者全員と合意形成し、仕切り直すことにしました。
(「この業務には複数のパターンがあって…」などの分岐パターンが出てきても、一旦全て無視していきます!)
「一番基本的なパターン」が完成してから分岐パターンの見える化を進めていくと、分岐のスタート地点が明確になり、今どの部分を会話しているのか?の認識が担当者間でズレなくなりました。最終的には分岐を含めたすべての業務の見える化を完成させると同時に、類似パターンを統合しシンプル化も実施することができました。
小さく始めて成功体験を得ることって大事だなーと再認識しました。
システムの効率化だけでなく、運用ルールから見直す!
業務の見える化が完了するとともに、トラブル撲滅に向けて3つの課題が見えてきました。
- 案件推進には必要な情報量が多くて、伝達が漏れやすいこと
- 大量の案件が同時進行しており、案件毎に関係者へ五月雨に依頼をしていた為、抜け漏れが発生していること
- 案件は随時追加されており、その度に他案件との影響確認を行っているが追いついていないこと
1つ目の「案件推進に必要な情報量が多い」課題の解消として、必要な情報を伝達するためのフォーマットを作成しました。
これは事前に業務パターンは整理できていたので必要な情報は明確であり、特に大きな苦労なく業務への組込みまで行うことができました。
悩んだのは2つ目の「大量の同時進行案件」と3つ目の「随時追加される案件の影響確認」の課題でした。当初の私の改善原案では、この2つの現状課題が解決できていないとして、組織内のレビューでなかなかOKをもらえませんでした。これまでは都度申請が当たり前で、一括で案件を受領できないので、業務が複雑になるのはしょうがないという考えから中々抜け出すことができなかったのです。
関係者を巻き込んで何度も議論を重ねていく中、課題をクリアーするキッカケは、またしても社内の成功事例「月刊誌の記事納品スケジュール運用」を真似することでした。
月刊誌の記事納品スケジュール運用とは、月次で〆切を事前に設定し、エントリー制で受け付けを行う運用ルールを設けることで、大量の記事納品を遅延やミスを抑制して成功させている、というものです。
ここから、セキュリティ扉運用も複数の領域から依頼が来るのを待つのではなく、案件があれば〆切までに申請してください、という申請のサイクルを変更する発想に至り、年間スケジュールを作成して〆切日までに案件をエントリーしてもらう方式に変更しました。
運用ルールを見直した結果、「随時案件に追われる毎日」から「案件を決められたタイミングにこちらから追いかける毎日」に変わり、急な案件追加に怯えることない健全な運用が実現しました。
最後に
実はここまで、システムの効率化は一切行っていませんね。
でも、業務全体の見える化とスタンスを変えることで、業務の複雑さ解消と、関係者を含めた疲弊から脱却し、全体で非常に高い効率化を実現しました。
そしてもちろん、変更した業務にフィットするようにシステム改修を行い、このプロジェクトは成功を納めることが出来ました。
・複雑な業務を把握するには、まず幹である基本パターンを押さえること。
・それを起点に枝葉であるイレギュラーパターンを考えると整理しやすいということ。
・課題解決で悩んだら、色々な成功事例に目を向けて良い所をパクっていくということ。
言われてみると当たり前のような事なのですが、なかなか自分事に当てはめられないことってあるんじゃないかなあと思います。
そんな時に、粘り強く整理や検討に付き合ってくれた関係者のみなさまがいてくれたからこそ、今回走り切ることが出来ました。
リクルートのICT担当はシステムのことしかさせてもらえない…なんてことはなくて、必要な領域であればどこにでも関わっていくことができます。
また、気軽に相談したり、新しい事に挑戦したりしやすい風通しの良い風土があります。
意欲のある方には必ず合う仕事と仲間が見つかると思いますので、是非ご応募お待ちしています。
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