株式会社リクルート エンジニアコース新人研修の内容を公開します!(2024年度版)
山本凪人
はじめに
こんにちは!
2024年度新卒エンジニアの山本です!
株式会社リクルートの新卒エンジニアは部署配属される前にBootCampと呼ばれる研修を受けることになります。
今年は約3ヶ月間の研修があり、実際に受講した立場から講座の共有や紹介を行っていきたいと思います。
研修概要
研修では、配属後で活かせるエンジニアリング技術を体系的に学ぶことができるだけでなく、ヒューマンスキル育成や事業理解といったプログラムも準備されているため、エンジニアとして様々な観点から成長できる機会になっています。
エンジニアリング技術に関しては、フロントエンド、バックエンド、モバイルアプリ、インフラ、セキュリティなど幅広い講座が用意されています。講座によっては、チーム開発や競技形式での手を動かして学ぶ講座も用意されており、より理解を深められるような講座になっています。
ヒューマンスキル育成に関しては、ロジカルシンキングの方法や会社で第一線で活躍されている先輩方の事例と学びの共有などの、配属後にすぐに活かせるような考え方を学ぶ講座があります。
事業理解に関しては、リクルートの主要ビジネスモデルであるリボンモデルの説明から、ビジネスが紙からネットに移行した歴史、リクルートの成長戦略といった、今後会社を担う上で必要な知識を学ぶ講座になっています。
本年度の開催形式としては、昨年から引き続き出社・リモートのハイブリット形式となっています。
また、自分のスキルに応じた講座を受講できる制度により、自分の成長スピードに応じた講座を受けたり、チーム形式で開発をしていく講座により、同期と仲良くなりつつ、得意な技術領域を把握したりすることができました。
研修内容・資料
実際の研修の内容と、資料の一部を公開いたします。
ぜひ、参考になさってください。
No. | 講座名 | 資料公開 | 資料リンク | 備考情報 |
1 | 導入研修 | ✕ | ― | |
2 | リクルートの事業理解 | ✕ | ― | |
3 | 配属前導入研修 | ✕ | ― | |
4 | エンジニアの心構え | ◯ | ソフトウェアエンジニアとしての姿勢と心構え | |
5 | テスト駆動開発 | ◯ | 見てわかるテスト駆動開発 | |
6 | 自己学習力講座 | ✕ | ― | |
7 | 基礎学習ガイダンス | ✕ | ― | |
8 | アウトプット講座 | ✕ | ― | |
9 | JavaScript | ◯ | JavaScript研修 |
今年からは https://github.com/recruit-tech/javascripting を利用した内容がメインとなっています。 |
10 | TypeScript | ◯ | TypeScript入門2024 | |
11 | React(内製版) | ◯ | ||
12 | Next.js | ◯ | App Routerパートは今回初開催です。 | |
13 | 実践オブジェクト指向設計 | ◯ |
①『実践オブジェクト指向設計』および『実践データベース設計』事前課題 ②実践オブジェクト指向設計 〜Javaで学ぶオブジェクト指向(応⽤)〜 |
昨年度版と題材を変え、資料も「サブ資料①:オブジェクト指向の基礎」以外はほぼリプレイスされています。 |
14 | スピードハッカソン | ✕ | ― | |
15 | アプリ開発概論 | ✕ | ― | |
16 | 現代的システム開発概論 | ◯ | 現代的システム開発概論 2024 | 不確実性と複雑さにフォーカスし、それらについてより解像度高く、体系的に学べるようになりました。 |
17 | 攻撃と防御で実践するプロダクトセキュリティ演習 | ◯ | 脆弱性のあるアプリケーションを受講者全員で触ってもらい、攻撃をされる怖さをお互いに体験できる作りとしました。 | |
18 | ブラウザ | ◯ | Browser | |
19 | WEBアクセシビリティ入門 | ◯ | Webアクセシビリティ入門2024 | |
20 | パフォーマンス系演習 | ✕ | ― | |
21 | 実践データベース設計 | ◯ | 初開講 | |
22 | テキスト生成AI活用 | ◯ | テキスト生成AI活用 | 初開講 |
23 | A/Bテスト | ◯ | A/Bテスト概論 | |
24 | 全社検索基盤 | ◯ | 検索結果の品質向上 | |
25 | 事業価値とエンジニアリング | ◯ | 事業価値と Engineering 2024年版 | |
26 | 制約理論(TOC)入門 | ◯ | 制約理論(ToC)入門 | |
27 | TPS入門 | ◯ | トヨタ生産方式(TPS)入門 | |
28 | セキュリティ研修 | ✕ | ― | |
29 | Java 基礎(OOP/コレクション/例外処理等) | ✕ | ― | |
30 | SQL基礎 | ✕ | ― | |
31 | React講座 | ✕ | ― | |
32 | 要件定義講座 | ✕ | ― | ウォーターフォール開発講座1日目 |
33 | 基本設計講座 | ✕ | ― | ウォーターフォール開発講座2日目 |
34 | 詳細設計講座 | ✕ | ― | ウォーターフォール開発講座3日目 |
35 | ユニットテスト講座 | ✕ | ― | ウォーターフォール開発講座4日目 |
36 | 連結・総合テスト講座 | ✕ | ― | ウォーターフォール開発講座5日目 |
37 | WEBアプリケーション総合研修 ガイダンス | ✕ | ― | |
38 | アーキテクチャ講座 | ✕ | ― | |
39 | システム開発(MVC/SpringBoot) | ✕ | ― | |
40 | チーム開発講座 | ✕ | ― | |
41 | Linux講座 | ✕ | ― | |
42 | Git/GitHub講座 | ✕ | ― | |
43 | Docker講座 | ✕ | ― | |
44 | AWS講座 | ✕ | ― | |
45 | Java 追加学習 | ✕ | ― | |
46 | データベースSQL(追加学習) | ✕ | ― | |
47 | フロントエンド基礎 HTML/CSS | ✕ | ― | |
48 | フロントエンド基礎 JavaScript 基礎(OOP/コレクション/例外処理等) | ✕ | ― | |
49 | フロントエンド基礎 DOM 基礎・通信 | ✕ | ― | |
50 | ヒューマンスキル育成 | ✕ | ― | |
51 | 自己理解研修 | ✕ | ― |
去年度との差分
今年度の研修からは、「実践データベース設計」と「テキスト生成AI活用(※資料は近日公開予定)」の講座が追加されました。
「実践データベース設計」では、事前課題としてDB設計をしておいた上で、講座でドメイン設計開発について詳細に学びます。講座内では、具体的なデータベースの設計方法や、実際の開発プロセスを実践的に教えてもらえるため、理論だけでなく実践力も身につけることができます。
「テキスト生成AI活用」では、現場での生成AIの活用事例や現場への導入ハードルについて学びます。エンジニアは生成AIを身近に感じている人が多いように思いますが、違う職種になるとハードルが大きい人もいらっしゃるため、どう仕事に活かしていくのか考えるきっかけになりました。
印象に残った講座 3選
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1. ソフトウェアエンジニアとしての姿勢と心構え
エンジニアの同期たちと受講した最初の講座になります。技術顧問である@twadaさんが講座を担当してくださっており、タイトル通りエンジニアがこれからどうやって学んでいくのかを解説してくださっています。
この講座の目的は「技術を学ぶこと」ではなく「技術の学び方を学ぶこと」でした。エンジニアの第一線として活躍されている方の学び方を聞くことで、今後の自分の学び方を考えるきっかけになったり、自分を奮い立たせる良いきっかけになりました。
僕はこの講座の資料には目を通したことがあったのですが、実際に話を聞くことでスライドからでは見えてこない情報もありました。
可能であれば、動画として公開して欲しいくらいです!
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2. 攻撃と防御で実践するプロダクトセキュリティ演習
この講座はチームでコードの脆弱性を見つけて(攻撃)、脆弱性のあるコードを修正する(防御)演習形式の講座になっています。
私が今まで開発していく時にはあまりセキュリティを意識したことが無かったこともあり、セキュリティを意識した開発の大切さを痛感するとともに、攻撃できたら〇〇pt,防御できたら〇〇ptというようなゲーム形式だったので、チームごとの戦術性も見えてきて、非常に楽しく学べました。
また、演習前後では解説パートも充実しており、セキュリティに詳しくないエンジニアも体系的に学べるような内容になっていました。
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3. ウォーターフォール開発講座(5days)
この講座では、5日間でウォーターフォール開発について実践形式で学ぶ講座となっています。
ウォーターフォール開発は、計画性と一貫性の2つが強みだと感じました。完璧に設計ができていれば、プロジェクトは非常にスムーズに進行します。特に、大規模なプロジェクトや要件が明確に定義されている場合には、その堅牢さが大いに役立ちます。しかし、設計の段階で抜け漏れが発生した場合や、急な機能追加や変更が要求された場合には、それが大きなリスクとなることも改めて実感しました。
さらに、ウォーターフォール開発とアジャイル開発の違いも明確に理解できました。ウォーターフォール開発が計画通りに進むことを重視する一方で、アジャイル開発は変化に柔軟に対応することを重視します。これにより、プロジェクトの特性に応じてどちらの手法が適しているかを適切に判断するための基準を学ぶことができました。
エンジニアとしてはアジャイルの柔軟性が魅力的に見えていましたが、プロジェクトによる使い分けの必要性を深く学ぶ良い機会になりました。
終わりに
今回の研修では、自分がこれまでほとんど意識してこなかったセキュリティやパフォーマンスに触れることができたのが印象的でした。
システムが大規模になればなるほど「ただ動くもの」ではなく「安全安心で素早く動くもの」が求められているのをひしひしと痛感しました。
研修内容は現場で活かせる知識が非常に多く、配属されて間もないですが、早速学んだことを活かしていきたいです。
この記事を読んで興味を持たれた方は公開しているスライドを読んだり、リクルートへの入社を考えていただけますと嬉しい限りです。
あっという間の3ヶ月間の研修でしたが、研修の内容は毎年アップデートされておりますので、来年もご期待ください!!!