リクルートテクノロジーズのオフショア開発について

リクルートテクノロジーズのオフショア開発について

こんにちは。オフショア開発を担当している信太です。
リクルートテクノロジーズは2012年よりベトナムでのオフショア開発にチャレンジしています。
数々の試行錯誤を経て、独自の形に進化させ、
LaRueスキーム (Lead & advance the Recruit universal engineering) という名前を付けています。
今回は、このLaRueスキームの特徴と、実際のオフショアの現場で感じることについて書きたいと思います。

LaRueスキームって?~委託ではなく、伴走するオフショア

まずは、LaRueスキームの特徴を5つ、ご説明します。

1. 伴走モデル
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LaRueスキームの一番大きな特徴は、「伴走モデル」です。
一般的なオフショア開発は海外に下流工程を委託し、完成物を納品してもらうという形式をとりますが、
LaRueスキームでは、

・(必要に応じて)ベトナムの開発メンバーを日本に呼び、要件定義から参画してもらう
・我々がベトナムに飛んで基本設計から結合テストまでを一緒に実施

といった開発のほとんどの工程をベトナム人メンバーと一緒に過ごしながらやり遂げるというモデルになっています。毎日こまめに進捗を確認し、日々起こる課題を現場で共有・解決することで、スピーディに開発を進められ、手戻りもないので高い品質を保つことができます。

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2. ホワイトボックス化
委託という形でよくありがちなのが、現地に開発を丸投げしてしまう「ブラックボックス化」。経験されたことのあるエンジニアの方も多いのではないでしょうか?

LaRueスキームでは、我々が事業の企画担当者と一体となって要件定義を行う中で仕様の各論を押さえます。その後の基本設計からはベトナム人メンバーに伴走し、毎日コミュニケーションをとることで、システム仕様や設計内容に齟齬が生まれないようになっています。
このように、仕様を正確におさえたメンバーが現地の開発者と伴走することでブラックボックス化を防ぎ、高い品質を担保しています。

3. 距離を感じないコミュニケーション
LaRueスキームでは、数十台のTV会議システムを通じていつでも日本・ベトナム間のコミュニケーションが取れる環境を整備しています。
これを利用して、定常的な会議以外でも、気になったことがあればすぐにTV会議で会話をしています。
発生した課題などをリアルタイムに共有することができるので、プロジェクトをスムーズに運営することができます。
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4. 単価差を利用して要件定義の体制を強化
ご存知の通り、日本とベトナムには単価差が存在します。
一般的なオフショアではこの単価差を利用してオフショア先のコーダーやテスターを増強しますが、LaRueスキームではそれに加えて、要件定義を行う日本人メンバーも増員します。その結果、仕様の伝達など、現地メンバーと密なコミュニケーションをとるための工数が確保でき、上流工程の品質担保につながります。

5. 社内の開発スキームをオフショアに伝承
リクルートテクノロジーズでは、大規模プロジェクトを推進する開発スキームを策定し、これまで様々な実績を残してきました。このスキームの特徴の一つとして、途中からプロジェクトに入っても状況が理解しやすいように整備されていることがあげられます。LaRueスキームはこの開発スキームを継承・拡張しており、オフショア以外の他部署と連携したプロジェクトでも進める上で矛盾が起きないようになっています。

初めは業務システムの開発からスタートしたオフショア開発も、今ではリクルートグループの主要サービスを担当するまでに拡大しています。開発拠点もベトナム第三の都市ダナンのみでしたが、2015年4月からは新たに首都ハノイの開発現場も立ち上げており、既に複数プロジェクトの開発を行っています。

LaRueオフショアで鍛えられたこと

上述したスキームの中で、上流工程から下流工程までを一通り経験することができるのですが、その中で、スキル上特に鍛えられたことが2つあります。

1. マネジメント力
2. 技術力

この2点について、詳しく書いていきたいと思います。

その1. マネジメント力
LaRueスキームでは、プロジェクトの工程を完全委託するのではなく、常にベトナムメンバーと一体となって仕事を行います。一般的にマネジメント力というと、「プロジェクトの成功=いかにQCDを達成するか」、という点を重視しますが、ベトナムメンバーとチームとして成果を上げるためには、プロジェクトの進捗管理だけでなく、メンバー一人ひとりをよく見ることが必要だと考えるようになりました。
各メンバーの得意なことや苦手なこと、性格やキャリア志向まで踏まえてポジションのアサインやタスクのコントロールをすることで、彼らのモチベーションも上がりますし、それに伴って組織としてのパフォーマンスも上がります。そうなれば、よりスムーズにプロジェクトを運営することができるからです。
このように、いわゆるQCDを達成するプロジェクトマネジメント力から一歩踏み込んだ、「人」に対する マネジメントを学ぶ機会になりました。

その2. 技術力
ベトナムのソフトウェアエンジニアはレベルが高く、しかも向上心も吸収力も非常に高いです。彼ら自身、新しいことを覚えては遠慮無くどんどん質問をしてきます。誰かの質問に答える、というのは本質を理解できていないとできないことで、自分の理解度も否応なく思い知ることになります。そのため、彼らの質問に答えるために、自分も必死になって勉強する習慣がつきました。ちなみに、レベルの高いメンバーは日本人と比べても格段にスキルレベルが高く、彼らから新たに学ぶことも非常に多いです。それも私にとってとてもいい刺激になっていて、お互いに切磋琢磨する、よい関係でいられるのを実感しています。

壁を感じたこと

とはいっても、悩むポイントもあります。
ベトナムは国民全体の年齢が若く(なんと平均年齢27歳)、オフショア開発のメンバーも20代が中心なので社会人経験が短いメンバーが多いです。また、日本とはやはり文化やキャリアに関する考え方も大きく違います。そのため、日本のサービスに求められる品質を実現するために、時として仕事への取り組み方やスタンスについて厳しいオーダーをするというシチュエーションが出てきます。

そういったとき、モチベーション低下によりプロジェクトに影響を出さないよう、各メンバーのモチベーションやチームの雰囲気などを踏まえたうえで、「的確なタイミングで正確なコミュニケーションをとる」というのを心がけるようになりました。

オフショアのやりがい

LaRueスキームでのオフショア開発では、上流~下流までの工程を一通り経験することができます。
さらに、何十人ものベトナム人メンバーと毎日 接することで、先に書いたようなマネジメント力や技術力といった、エンジニアとして一番コアになる力を短期間で磨くことができます。それは自分のキャリアを広げることにもなり、実際に、リクルートテクノロジーズでは、オフショアを経験したのちに大規模開発の上流工程をきわめる部署へ異動するメンバーや、アーキテクトとしてのキャリアを突き詰めていくメンバーもいます。

さらに、日々仕事をしていてよく感じるのは、ベトナム人メンバーは自分も含め日本メンバーのことを良く見ているなということです。そして、彼らのすることは自分がしたことの鏡だなと感じています。
自分が手を抜いた資料共有やコミュニケーションを行うと、決まって彼らのアウトプットの品質が悪くなり、逆に自分が彼らのことを考えながら作成した資料をインプットすると想像を上回る高品質なアウトプットが出てきます。また、自分のモチベーションが下がった状態で仕事をしていると、決まってベトナムメンバーのモチベーションも下がります。逆に、自分がモチベーションを高く保って彼らと接していると、彼らのモチベーションも上がっていくのが表情からもわかったりします。

親日で純粋なメンバーが多いので、時には私のことを気遣い、フォローしてくれ、その優しさに感動することも多々ありました。こんな風に、オフショアの、いつでも「ベトナム人メンバーに見られている」という意識が、日々自分の成長意欲を刺激してくれています。

おまけ:ベトナムメンバーとのコミュニケーション

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チームビルディングという飲み会をよく行います。
LaRueスキームの名前の由来でもある、ビールで 飲みかわします!