【密着取材】第15弾 コンサルから事業会社への転職(開発ディレクター)
宮﨑萌子
「本当にクライアントや世のためになっているのか」、30歳を目前に、自分の価値について考えた山根。
なぜ現職での昇給を捨ててでも、リクルートへの入社を決意したのか。その理由と、開発ディレクターとしての現在の仕事内容に迫ります。
本当にクライアントや世の中のためになっているのか
――前職はITコンサルで働かれていたとのことで。そこではどのような仕事をされていたんですか?
就活時は漠然と、自分の付加価値を最大限に高められる環境に行きたいと思っていて、ITコンサルに入社しました。
自動車や医療機器などのメーカー、そして百貨店や総合スーパーなどの小売り業のお客様を中心に、基幹システムの導入支援、運用業務のアウトソーシング支援等を行っていました。
しかし入社して6年、30歳を目前にするタイミングで、「自分の仕事は本当にクライアントや世の中のためになっているのか」と思い、自分の価値が分からなくなったんです。それなりに良い給与や評価をもらっていましたが、成長実感もあまり得られなくなっていました。
あくまで一部分の話ではありますが、プロジェクトによっては、これが本当にお客様の求めているシステムなのか?と考えると自信がなくなることもありました。納品したらすぐ他のプロジェクトにアサインされ、成果物のその後の評価が分からない、といったことにもモヤモヤしていました。せっかくハードワークをするなら、お客様に心から喜んでもらえるシステムを作りたいですよね。
そんな仕事の進め方に疑問を感じて、他の会社ではどんな仕事の進め方をしているのか、また自分がどういう評価を受けるのか、一度自分の市場価値を確かめる目的で転職活動を始めてみたんです。
――そんなモヤモヤがあったのですね。そこからどのような軸で会社選びをされたのですか?
もっと事業と一体となり、「システム開発を通じて世の中にどう価値提供していくか」を突き詰めて考えることが自分の本当にやりたいことなのではないか、と思ったんです。
そのうえで、下記3点を軸にしていました。
1)ビジョンに共感できること
2)IT部門と企画部門の関係性がフラットな会社であること
3)ワークライフバランスがしっかり取れること
1つ目ですが、せっかく携わるなら心から共感できるものの方がいいですよね。いろいろな企業を見ましたが、リクルート住まいカンパニーの「幸せな個人や家族をもっと増やす」というビジョンに惹かれましたし、いちユーザーとしてもよく『SUUMO』を使っていたので、サービスに対して興味を持てたことは大きかったです。
2つ目は、営業や企画部門の権力が強すぎる環境で、言われたことだけをそのまま具体化していくだけの組織では面白みもないし、コンサルやSIerと大きく変わらないな、と思っていました。御用聞きではなく、自らの意見を発信できる環境がよいと考えました。
3つ目のワークライフバランスですが、ちょうど結婚と転職が同じタイミングだったということもあって、意識しはじめました。コンサルに入社した時は、ある程度の激務も覚悟していたし、給与も良かったので不満はなかったんです。しかし結婚や子どもの誕生に合わせ、自分ひとりの身でなくなったタイミングで重視するようになりました。
――なるほど。それでリクルートへの入社を決めたのですね?
いや・・・実は、内定をもらった後に、そのままコンサルに残るかどうかでかなりの期間悩みました。
――ぜひその経緯も教えてください。
新卒で入社してアナリスト2年、コンサルタント3年を経たタイミングで、早ければマネージャーに昇進するタイミングでした。実際に、リクルートに内定をもらった翌月に昇進することが決まり、身に余る評価をいただいたことへの恩義を強く感じたのと、ポジションが上がることで何か見え方が変わるかもという期待感から、この環境でもう少し頑張ってみることを決めました。
ただ結果的には、最初に感じていた「本当にクライアントや世の中のためになっているのか?」というモヤモヤが払拭できなかったんです。役職が上がれば上がるほど、より自社の売り上げや利益のことも考えなくてはいけない。ここで出世を続けても、この悩みは払拭できないと感じて転職を決めました。
悩んでいる間は、経歴の似た社員と面談をセットしてもらったり、それでも決めきれない私を本当に我慢強く待っていただいたりしました。会社として懐の深さがあるなと思いましたね(笑)。
――ご活躍されていたからこその悩みですね‥。そのような熱い思いを抱いてご入社された後は、どのような仕事をされてきたんですか?
『SUUMO』の開発ディレクションを担当しています。志田の仕事内容の紹介記事にもありましたが、領域内での異動も比較的多く、自分の場合は、賃貸を1年半→注文住宅を2年→戸建て流通(中古)を1年と、3領域を経験させてもらっています。
その中でも、特に印象に残っているプロジェクトについてお話ししますね。
共通の大目標「カスタマーの不に立ち向かう」という原点にチーム一丸となって立ち向かう
注文住宅を検討するカスタマーと、クライアントである工務店やハウスメーカーをマッチングさせる『SUUMO注文住宅』のサイト。注文住宅は、間取りや外観、仕様といった全ての事柄において自由度が高く、オンリーワンの住宅が作れる一方、価格や建築会社の強みが分かりづらいことが原因で、注文住宅の購入をあきらめてしまう人もいる状況でした。そんなユーザーを減らしたい思いで、サイトリニューアルの検討が始まりました。
その中で、私は開発側のチームリーダーを担うことになりました。今回のプロジェクトはアプリ開発工数300人月の大規模プロジェクトであると同時に、改修画面数約25ページ、検索条件の大幅見直し、新商品5商品ローンチなどを含むまさに「フル」リニューアルと言える大プロジェクト。実はこれ、住まいカンパニーの中でも大規模高難易度、かつ投入工数に対する開発期間が最も短いプロジェクトでした。
その中でも特に大変だったのは、いまだかつてない規模の量のデータをどのように移行するか、そしてシステムをいかに安定的にリリースするか、を考えることでした。
今回のリニューアルでローンチした商品には、不動産会社様の紹介ページや建築実例の情報などが含まれます。これらのデータ量は、リリース前に受注し制作された分だけでも、延べ740万文字(原稿用紙18,500枚分)に加えて数万点の画像という、膨大なものとなりました。
これらをリリースまでに全て投入しきる必要があるわけですが、大量データの不備をどう検知し修正するかというプロセスやツールの設計、移行の所要時間見立てや入稿システムの閉塞調整など、検討事項は大小さまざま、多岐に渡りました。求められる納期や予算などのプロジェクト特性から、自らの意思で最適解を見出し実行に移すことができるので、責任も大きい分やりがいがありましたね。
また、万が一システムの切り替えがうまくいかなかった時への備え(コンティンジェンシープラン)もかなり綿密に計画しました。例えば、リリースを事前に延期する場合と当日失敗して切り戻した場合とでは、ビジネスへの影響度が大きく違ってくるんです。そこで、営業部とともにいくつかのシナリオに沿って影響範囲を試算し、それぞれのタイミングで被害を最小限にとどめる動き方をあらかじめ計画しました。これによって、失敗パターンまで計画に織り込み、プロジェクト全体として不確実性に備えました。
プロジェクトを進めていく中で、事業企画担当とシステム担当とでは利害が相反することもあるがゆえ、対立することもあったんです。大きなプロジェクトゆえに、課題が部門横断的に発生することが多く、解決には多大な時間と労力がかかる場合もありました。そんな時は都度目的に立ち返ったうえで、システム・ビジネス関係なく膝を突き合わせて協議し、より良いものを作りたいという共通目標に向けて、ワンチームで走り抜きました。この経験はコンサル時代では絶対に味わえなかったと思います。
結果として、高品質かつ納期通りのリリースが実現し、MVPプロジェクト賞をいただくことができました。また、関係者全員が集まったリリース後のパーティで、「難しい課題は全部山根さんが解決してくれました」とご紹介いただけたことも、地道で泥臭いコミュニケーションが実を結んだ成果だったのかなと思います。こんな風に成果を互いに認め合う文化・風土は、リクルートの良いところですよね。
――大変なこともたくさんあったと思うのですが、なにがモチベーションの源泉になっていますか?
クサいかもしれないですが、やっぱり仲間の存在でしょうか。共通の目標に向かってハードルを乗り越えていくのが本当に楽しくて。例えて言うなら、文化祭のような感じ。仲間っていうのは、もちろん事業企画担当の人も入っています。
私たちの成し遂げたいことは、会社の売り上げを上げる、クライアントから良い評価をいただく、といった目先の目標だけじゃないんです。そもそもこのサービスが存在する意味を追求し、「幸せな個人や家族を増やしたい」「カスタマーにより良いものを届けたい」という思いに、本気で取り組む仲間がいることが頑張る原点にもなっています。
あと余談ですが、3歳の娘が『SUUMO』のキャラクターであるスーモくんが大好きなんですよね(笑) 販促グッズのポシェットをぶらさげてお散歩に行くこともありますし、街の不動産屋さんでスーモくんを見つけると「あっ、しゅーもくんだ!」と反応してくれたりするので、密かに誇らしく感じています。身近な娘や家族がファンでいてくれることは、心の支えになっています。
――最高の仲間と作り上げながら身近にいるファンが応援してくれる、素敵ですね。改めて、コンサルにいた時と今の仕事での、やりがいの違いはなんでしょうか?
主体者として自信をもってサービス提供できる、ことでしょうか。営業担当者や企画担当者と対等に議論をすることも多いので、ビジネスを動かしている手触り感がありますね。あとは実際にプロダクトを使っているカスタマーの反応も、コンサルにいた時よりダイレクトに見られます。
自分が直接カスタマーと対峙するわけではないものの、アクション数などのKPIがちゃんと数字として見ることができる。定性的にも、クライアントからのフィードバックなどは営業担当者を通して聞くことができますしね。自分で考え、自分で作り、自分で改善できる、この一気通貫な動きができることが何よりの醍醐味です。
――たしかに、お話の中から当初感じていた「モヤモヤ」が晴れた様子が伝わってきました。最後に、今後のキャリアビジョンを教えてください。
今はチームリーダーという立場ですが、将来的にはマネージャーやその先を目指したいと思っています。プレイヤーとして3つの領域を見て、失敗含めいろいろな経験を積ませてもらったと思っています。そのことを若手やメンバーに伝えながら、自分が得た以上の素晴らしい経験を積んでもらいたい。その結果として、より良いサービスを継続的に提供し、「幸せな個人や家族」をもっともっと増やしていきたいです。
――ありがとうございました。
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