【密着取材】第14弾 SIerから事業会社への転職(開発ディレクター)
宮﨑萌子
40歳を目前に、今までのキャリアの延長線上のコンサルの仕事をするか、本当にやりたい事業会社でサービスづくりをするか悩んだ柏倉。悩んだ末に出した結論と入社後ブレイクスルーをするまでの過程に迫ります。
40歳を前にキャリアについて考え直す
――前職ではどのような業務をされていたのでしょうか?
大学院卒業後、2006年に大手ITソリューションサービス企業に入社しました。主に大手コンビニエンスストアをクライアントとし、基幹システム領域の業務改革や、システムの企画~保守業務を行っていました。
クライアント、そしてさらにその先の取引先も巻き込んだ抜本的な業務改革に取り組むために5年も客先常駐をさせてもらったり、アメリカの大手コンビニエンスストアのシステム改革提案のために1年家族帯同で北米赴任する機会ももらったり。役職のようなもので言うと「上級専門職」というレイヤーで、日々やりがいを感じていました。
――そのような中で転職を考えようと思ったのはなぜだったのですか?
よりサービス側に行きたいと思ったこと、もともと10年で環境を変えようと思っていたこと、の2点です。
当時は、プロジェクト単位でアサインされ、比較的短期で成果を出していくことが常でした。さまざま検討した上での提案が受け入れられず、その後の追加提案も難しいことがありましたし、SEとしてシステム開発に携わった際にもプロジェクトの中で全体のごく一部を担うため、その前後の工程やリリース後の効果などが分からないこともありました。
もちろん私の力不足も多くありましたが、「自分は何の役に立っているのだろうか?」「誰がどんな風にこのシステムを使っているのだろうか」というような思いを抱き始めたのですよね。そんな中で長く常駐の機会をいただき、要件定義より一歩も二歩も踏み込んだ経験を重ね、より主体者として企画していく面白さも経験し、さらにサービス側に行きたいと思うようになりました。
そして就活時から元々、10年で区切って新しい環境に行く意識を持っていたので、このタイミングで社外を見てみることを考え始めました。10年という区切りを意識はしていたものの、正確に言うと12年ほど在籍させていただきましたが・・・。
在籍が長くなった理由としては、関わらせていただいた方々に恩返しをしなければならないという思いもあって、なかなか転職に踏み出せなかったという点が大きかったです。ただ、尊敬している先輩が「十分返しているから、その点は気負わないように。あとは自分がどうありたいかだよ」と言ってくれて、心がフッと軽くなったことを今でも覚えています。
加えて、当時37歳だったので、自分が40代もこの延長で働き続けるのだろうか?と思ったことにも起因します。
――そこからどうやって転職先を絞ったのですか?
いざ転職するとなってどうしても一番気になってしまったのは収入面でした。コンサルに行けばそれなりの額の昇給を狙える、という話もいただいていました。業種は違えども近い業界であれば今までの知見も活かせるでしょうし、実際に周りの同僚でコンサルに行った人も多い。そのためコンサルは当たり前のように選択肢として上がりました。ただ、やはりプロジェクト単位での参画が中心なはずで、これでは自分の転職の目的を叶えられないと思いました。
そこで「自分がありたい姿」に対する優先順位を上げました。40歳を目前にして、なぜ転職をしたいのか、自分はどうありたいのか。新しい会社に入社後、年収は自力で上げていくことを決意し、自分のありたい姿を第一にして転職活動を開始しました。
事業会社に絞って会社を選んでいく中で一番重視していたのは、IT投資が潤沢かどうか、という点です。そうでないと、コストカット要素が強くダイナミックな仕事ができないのでは、と漠然と思いまして。その観点で探しているうちに、あるアパレル製造小売業の会社とリクルートの求人のご提案をいただきました。
――転職までの過程、非常にイメージができました。そこからなぜ、入社しようと決められたのですか?
面接を通して志望度がだんだん上がっていった感じですね。面接自体が、自分を試すというよりも引き出してくれる質問が多く、人を活かそうとする社風がにじみ出ていたことが非常に印象に残っています。面接官からの質問もシャープで、面接を重ねるごとに自分が本当にやりたいことがより具体的になっていきました。
私の回答がシャープではなかったために、面接外での追加質問をもらったり、面接の中でより最適な配属部署が見つかり追加面接もしました(笑) そのうえで、現場のマネージャーや部長、役員から直接、具体的な仕事内容について聞くことができ、自分が何とか頑張れそうな場であることをイメージできましたし、この人たちと一緒に働きたいという思いに至りました。
あとは、面接のスピードが早い点も好感触でした。面接後すぐに合格連絡もいただけたので、そういうところから、自分が仕事をするときもスピード感をもって進められそうだな、と感じました。
リクルートでの再成長
――現在の仕事内容について教えていただけますか?
転職媒体『リクナビNEXT』において、カスタマー、クライアント向けのサービス戦略から始まり、それをどのように効率的に実現していくかといった手法の検討をミッションとしています。なぜやるのか?何をするのか?に対して、しっかり議論しながらサービスを作り上げることができるので、形になったときの感動はひとしおです。プロジェクトアサインではなく一貫してサービスに向き合うことができますし、自分で決定スイッチを押しながら進めることができる。まさにここは転職して叶えたい部分だったので、日々やりがいを感じています。
一方、日々裏側で起こる問題や抱えるリスクにおいて、適切に対処し安定運用していくことも求められています。安定運用の上にサービスが成り立っていると、前職で痛いほど学ばせていただいた点が活きています。
2018年4月に入社し2年半ほどが経ちましたが、最初のころはもう右往左往している状態でした。SE経験と客先常駐経験を併せ持つところが自分の強みだと考えていたのですが、HR業界は初だし、Web系サービスも初。異業種で半分異職種という状態だったのです。
社内に人脈があるわけでもない。まず何を求められているかが分からない、何をすれば良いかも分からない。自分の矜持として大切にしていることが違っていたり、使われている言葉が私の知っているものとは異なる意味で使われていたりもしました。
転職後において悩みやすいポイントに、見事にはまりました。ただそんな状況下でパフォーマンスの悪い私でも、当たり前のように人を活かそうとする上司や周りの方々は、切り捨てることなく見守ってくれて…。それどころか、フォローが凄まじかったです。厳しく、厳しく、優しく…。お節介な人が多いなという印象でした。良い意味でですよ!(笑)
――最初、特にどのあたりがギャップでしたか?
戦略からシステム化検討前に至るまでのところですね。前職ではその部分はSIerとしてもちろん提案はするものの、お客様に託して最終的にはジャッジしていただくことが主流でしたし、声すらかからないこともありました。こんなことやっていいのか、いやむしろやらなければならないのかと、色々悩んだのを覚えています。
転職以降は、その辺りの議論にしっかりと関わることができるようになりました。言われたことを鵜呑みにするのではなく、頭から否定することもないので、互いの意見をもとに建設的な議論が進みます。
もちろん私が間違っていることもあって、「もっと勉強してきて」とか「それにはこんな背景・前提があるんだよ」なんて言われることもあるのですが、そうした事も含め、フラットなコミュニケーションができているという感じがしますね。でもそれが本当に分かってきたのはここ一年ぐらいかも・・・。どうしても12年のSIer経験で培われた感覚が取れず、ずっとディレクターの役割がなんだか分からないまま、手探りで仕事をしていたのです。「あなたのその動きだと、事業会社のディレクターとしての価値が発揮できないよ」と言われ、ハッとしたこともありました。
――手探りで進めていく中、ブレイクスルーしたきっかけがあったのですか?
ひとつ自信につながったプロジェクトがあり、それがきっかけになったと思っています。入社して半年ほど経った時、パフォーマンスが最悪だと自覚していた私に、当時の上司がとある役員肝いりの新サービスの立ち上げを任せてくれまして。その中でもやはり基本的なところで悩み、足掻いていた中で上司に悩みを相談したところ、「大将さんスクラムマスターやってみる?」と言われました。
SIer時代は大規模開発中心でウォーターフォールばかりだったので、アジャイルは全くの未経験。そのうえ、もともとその立場を担っていたマネージャーが長期休暇で不在なので、その穴を埋めてみようか、頑張って!と。
――無茶ぶりですね(笑)
ほんとに(笑)でも結果としてそれがうまくいったんですよね。優秀なエンジニアを束ねながら1つのモノを作っていき、無事世の中に出したときは感動しました。メンバーは皆思いが強く、私なんかよりも経験も豊富なので、全くもって一筋縄ではいきません。正解もなく、誰かが決めるものでもなく、自分たちで作るものであるということを、言葉ではなく血肉として理解しました。
でもそれらを乗り越え、初めてサービス立ち上げに関わる戦略検討~カットオーバーまでやり遂げた実感を得られたのです。結果、休暇からマネージャーが戻ってきても、「うまく回っているみたいだからそのまま大将さんに任せるよ!」と言ってもらえて非常に嬉しかったです。カットオーバー前の一幕で、役員同士の「この件のMVPって誰かな?」という雑談の中に、私の名前を挙げていただいたことも、正直震えましたね。長い苦しみの末、初めて浮上した気がしました。
振り返ってみると上司は、役割は言葉で理解するものではなく実感として理解するもので、更に言えば自分で作るものである、ということを伝えたかったのではないかと思います。
――その成功体験が、自信につながりブレイクスルーにつながったのですね。
そうですね。少しは自信がついたものの、まだまだ、もっとやらなきゃ、という気持ちですけどね。どんどん任せてもらえるので(苦笑) 上記のプロジェクトが成功した後は、「次は『リクナビNEXT』任せるよ。システム開発組織のマネージャーやって!」と言われました。え、今度は大規模サービスのマネージャーですか!?と驚いたものの、結局は成果の積み上げが必要だと思っているので、一つひとつ愚直にやるのみだなと思っています。
※仕事中の様子を小学生の息子が撮影してくれました。在宅環境で仕事をするようになり子どもと関われる時間も増えました。
リクルートって常に成長を求められるじ ゃないですか?少し背伸び…もしかしたらジャンプかもくらいのミッションを任されるので、毎期成長痛が苦しいですが、こうしたら達成できるかもよ?と糸は垂らしてくれます。そこで、自分の限界は自分で決めてはいけないと気づかされるのですよね。課題が多い部分については「伸びしろしかないってことですね!」というコメントも良くいただきますし(笑)
それに皆当たり前のように、ミスをしても個人を責めず、しっかり学びにつなげるため論理的に考えて、前に進もうとします。意味のない後ろ向きな議論はしません。それにより、心理的安全性も感じます。会社として成長に対して前向きなので、もっとやってやろうって思えるんです。
いかにチャレンジして価値を出せたかが重要で、あわせて個人としても成長していく。40歳を前にリクルートの環境に来て、再成長している実感はあります。まだまだやりたいこと、やれることがあるので、より一層楽しんでいきたいと思っています。
――ありがとうございました。
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柏倉のようなSIerからの転職者が入社後どのような仕事をし、どのようなやりがいを感じているのか。また組織として中長期的に目指していること等、ざっくばらんにお話しできればと思っております。
仕事の詳細:攻めの姿勢でサービス開発を成功に導く、IT開発ディレクター
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