【密着取材】第9弾 リクルートの事業を成長させるUXデザイナー(制作会社からの転職編)
宮﨑萌子
今回は、プロダクトデザイン本部のUXデザイナー職においてマネージャーをしている舟見に密着です!Web制作会社からなぜ転職したのか、また仕事の進め方の違いについて聞いてみたいと思います。
※リクルートのUX組織の特徴はこちらをご覧ください
自分でゼロから生み出せる環境に行きたい
――前職はどんな仕事をしていたのでしょうか?
新卒で、Web制作会社に入社。約8年間、フロントエンドエンジニアとして自ら手を動かしながらWebサイト構築・運用をしていました。最初は、手を動かすことが中心だったのですが、途中から技術ディレクション、クライアントワークや画面設計など、上流の施策を生み出す側を任せてもらうようになりました。
――そこからなぜ転職しようと思ったのでしょうか?
理由はふたつあって、ひとつは単純に、リクルートの人・環境、それを内包するカルチャーに共感する部分が大きかったです。実は前職時代、リクルートとも仕事上で少し接点があったので、会社の雰囲気や仕事に対するイメージがついていたというのもあって。
特に魅力を感じたのは、ビジネスに携わる上での基礎体力が身につくと思えた点です。筋トレに近いというか。UXディレクターとしての基本的なスキルは、どんな環境であってもある程度の打席に立ち続けることで後天的に身につくと思うんです。
でも、物事の本質を捉えたり、問題解決能力や仮説思考といった、ビジネスを行う上でのベースの能力、どんな環境に行ってもスケールしやすい基礎体力の部分は、特定の環境で実践しながら身にしみこませる必要があります。当時は漠然と、リクルートならそれが鍛えられそうだと感じていました。
ふたつ目の理由としては、誰かが決めてきた施策をただ作るだけではなく、自分の頭でゼロから考えた施策を自分で作れるようになりたいと思うようになったためです。そうなった時に次に自分が行くべき環境は、そういったチャレンジがしやすい環境ではないか、つまりゼロから施策を生み出す機会の多い事業会社なのだと考えました。
よりビジネスを生み出す環境へ
――制作会社とリクルートで、仕事の進め方はどう変わりましたか?
お題から自分で設定しなければいけない点が大きく変わりました。今までは、ある程度クライアントの中で課題設定がなされていて、そこに対する解決策を提案するだけのことが多かった。でもリクルートに来てからは、課題設定から求められるようになったんです。そこは当初苦労しましたが、面白いポイントでもあります。
あと、自分のやった仕事が目に見えてフィードバックがもらえる点も、大きく違いますね。自分の仕事の"先"が見えやすいというか。今までだとクライアントに納品して終わりで、その先ビジネスにどう貢献したかが見えづらかったんです。
今は事業会社の中で、大小問わず沢山の施策のサイクルを回しながら、スピード感をもって仕事ができています。見たい成果や欲しい数字があった時は、秘匿性の高い情報を除けば、自分の足で見に行くことができます。
だから、自分の仕事がビジネスにどう影響しているのか、フィードバックを得やすいんです。「納品して終わり」より、自分にとって手触り感のある仕事ができていると感じています。
ただし今後のキャリアとしては、もう一度受託される側に戻るのも可能性としてはありえると思っています。井の中の蛙になってしまってはいけないと考えているので。その時には、事業会社を経験したからこそわかるクライアントのニーズを想像しながら、染み出して仕事ができると思っていて。だから、いずれにしても転職してよかったと心から思っています。
ちなみに、私は今、リクルートマーケティングパートナーズ(以下RMP)にも兼務しており、R-techとRMPふたつの名刺をもっています。RMPの人に「実はR-techが原籍なんですよ~」と言うと、驚かれることが多いですね。それぐらい、事業の主体者として働けているんです。
R-techって、組織の立ち位置としてはリクルートグループの機能会社なんですが、世の中一般的な機能会社のイメージとはけっこう違うと思います。「横断的な機能会社は社内外注のような扱いを受ける」という悩みを抱えていらっしゃる方は多いと思いますが、その点がリクルートでは異なるのでは、と考えています。
その一方で、全社横断の機能会社として得られたナレッジは共有される。まさにいいとこ取りだと思います。
――ナレッジシェアの仕組みについて、もう少し教えてください!
ナレッジシェアって、「やったほうがいいけど形骸化している・・・」というケースも多いと思うのですが、リクルートのUX組織では部の戦略のひとつとして、メンバーにミッションを与えながら仕組み化しているんです。そこでは全社のUXノウハウが集約され、質の高いコンテンツが共有されています。
前職でもナレッジシェアの取り組みはあったのですが、技術やデザインの勉強会など、良くも悪くも専門性の高いものとなっていました。それに対してリクルートにおいては、よりビジネスに近いナレッジが共有されていると思います。
リクルートの手掛けるプロダクトの多くは、カスタマーとクライアントを結ぶリボンモデルに基づいていますが、そのビジネス展開の上で根幹となる数字がどう動いたかというところまで含め共有されるんです。制作会社では、クライアントのそうした数字までたどり着くことは制約として難しいケースが多いというのも、社外の方とお話させていただく中でよく出てくるお話ですよね。
例えば、新しい言語やフレームワークを取り入れて生産性が上がった「その先」、デザイン勉強会でデザインスキルが磨かれた「その先」、つまり「どうビジネスに貢献できたか」というところを一次情報として知れるのは、面白い部分だと思います。
――ビジネスへの貢献というと、他にはどんなことをされているんですか?
例を挙げると、3か年の事業計画を考える際には、UXデザイン組織の人間でも一員としてちゃんと関わることができるんです。具体的には、予約数を増やすにはどうしたらよいか考える効果計画や、それを非連続で伸ばすにはどうしたらよいかといった課題について、ゼロベースで考えていける部分にはダイナミズムを感じます。
そうした事を考える際には、経営層の視座を垣間見ることができるんですよね。彼らが何を考えて事業を作っているか知ることができるのは、非常に面白い。売り上げとコスト、そこからの利益、リスクを考えつつ、ビジネスの根幹となる部分にUXデザインを通じて関われる点は、事業会社ならではの醍醐味だと思います。
ちなみにこうした動きはマネージャーだから行えているというわけではなく、情報共有の範囲に一定の制約はあるものの、メンバーも一緒に関わることができます。
30歳での転職。こんなにも成長できるとは思わなかった
――話の節々からリクルート愛が伝わってくるのですが、ズバリ、転職してよかったですか?
そうですね(笑) 30歳で転職し、リクルートにきて今7年経つのですが、転職に踏み切れたのは本当によかったと思っています。よく言う話で、「チャンスの神様は前髪しかない」というフレーズがありますが、要はそういう話だと思っています。
ある程度社会人経験も積んで、仕事のやり方も分かってくると、仕事のやり方や考え方が凝り固まってくることもありますよね。でもリクルートに来てから、「自分の限界を自分で決めない限りは成長できるんだ」と改めて気づくことができました。
30歳、社会人年次でいうと7年目からの挑戦でも、脳ミソの筋トレってできるんだなと。前職にいたままでは身につかなかった筋力がついたというか…。改めてこの7年を振り返ると、成長したと思いますね。
――成長できたのは、なぜだと思いますか?
思い当たる理由は、大きく分けるとふたつあります。
まず、マネージャーという役割を担ったことが大きいと思います。入社4年目、34歳の時に任せてもらったのですが、マネージャーになったことにより、初めて知る世界があったんですよね。ちなみに私は今、ふたつのグループを見ています。マネージャーとして、メンバーがやりたいことやチャレンジしたいことを後押しする環境を作ることが私の役割だと思ってます。
リクルートって、人の成長のためには、おせっかいなくらい機会創出のための環境を作ってくれる会社だと感じるんですよね。自分もマネージャーになるまでそれを享受してきたからこそ、今度は自分が作り出していく番だと思っています。
もうひとつの理由は、小手先で物事を進められない環境でしょうか。日々仕事をしていると、やっていることの理由を深く訊かれるし、そのプロセスも問われる。それは定量でも問われて、ROIをシビアに求められる環境なんです。
「なんとなくうまくいきそうなんでやらせてください」じゃ通らない。「ロマンとそろばん、どちらを大切にしていますか?」という質問がよくありますが、当然のようにどちらも大切にしなければいけない。
だからコミュニケーションひとつとっても、先々まで考えて行うようになりましたね。アウトプットを出す際も、相手の状況を理解して、相手が何を求めているか考え、どうボールを投げ返せばいいか…と、相手の想像力の範囲を超えた成果を出すべく心がけるようになりました。
このような日々の取り組みからも、先ほどお話しした、ビジネスをする上での基礎体力は徹底的に鍛えられたと思いますね。
――ありがとうございました!
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