アナリストが陥りやすい罠
視覚化推進アナリスト
UI改善でこんなことありませんか?
リクルートテクノロジーズでは、UXデザイナー・アートディレクター・ウェブアナリスト・リサーチャー・ブランドマネージャー・デジタルマーケターなど多種多様なプロフェッショナルが膝を突き合わせて、日々「リクルートのサービスをどうすべきか」を議論しサービスを改善しています。その中でもウェブアナリストは、データで戦略や施策の方向性を裏付ける重要な役割と責任を担っています。
ウェブアナリティクスグループでは、アナリストが陥りやすい失敗例なども内部で積極的に共有しあい、分析の質を上げていくことを積極的に行っています。今回はその中でもアナリストが陥りやすい代表的な失敗事例と解決策をご紹介します。
失敗事例
ウェブアナリストのAさん。
AさんのミッションはウェブディレクターのBさんにコンバージョン率を上げる施策を提案すること。
Aさんは、「閲覧履歴ページ経由のコンバージョン率が高いので、閲覧履歴ページへの動線を強化すべき」と提案。
Bさんは、提案通りに閲覧履歴ページへの導線を強化しました。
しかし、閲覧履歴ページへの遷移は増えたものの……、全体のコンバージョン数は下がってしまいました。
何がダメだったのでしょうか?
アナリストが陥りやすい典型的な原因を探ってみましょう。
原因:ツールが得意な分析に捕らわれていた!
分析ツールが得意な分析に流されていませんか?
フォールアウト分析が得意な分析ツールだったので、Aさんは、ページごとのコンバージョン率を見てコンバージョン率の高いページへの誘導を考えていたようです。
※ ユーザーではなく、ページだけを見てしまっています。
ポイント1
「フレーム志向ではなくイシュー志向になろう」
全ユーザーの全行動データのまま分析するとノイズが多く含まれています。
コンバージョン率改善の第一歩はベンチマーク分析です。
- 「コンバージョンしたユーザー:A群」と「コンバージョンしなかったユーザー:B群」の何が違うのか?
- コンバージョンしなかったユーザーがコンバージョンに至ってもらうためには何が必要なのか?
ポイント2
「同じ特性のユーザー同士で比較」
同じような特性のユーザー同士で比較することで、どうすればB群の人たちがA群のようにコンバージョンしてくれるのか、そのヒントを導くことができます。ユーザーのくくり方には以下のようなものがあります。
- 期間ではなくユーザーの時間軸で見る
- ユーザーの条件をなるべく同じにする
具体例:
- 同じ日に初回訪問したユーザー
- 同じ時間帯に訪問したユーザー
- 同じキャンペーンから流入したユーザー
※ 決定木分析なども有効です。
解決策
Step1. コンバージョンUPを図るターゲットユーザーを定義し抽出します
~~全てのユーザーで分析する~~
↓ターゲットユーザーを抽出
同じ特性(デモグラ/行動/ユーザー心理)のユーザーに絞って分析する
Step2. 抽出したユーザーを「コンバージョンした:A群」と「コンバージョンしなかった:B群」に分け行動を比較します
また、行動もユーザー時間軸に合わせて抽出して比較します。
「A群の行動全て」と~~「B群の行動全て」~~ 「B群のコンバージョン前までの行動」
Step3. 気づきを深堀します(ファインディングス)
気づきの例:
「コンバージョンしたユーザーは、コンバージョンする前にある機能ページ利用することが多い。そして、その機能ページからのコンバージョン率は高い」
~~全ユーザー向けに、その機能ページへの動線を強化する~~
↓気づきを深堀します
ある機能ページの利用する前の行動に振り返り「なぜその機能ページを利用しているのか」を深堀し、「その機能ページが本当に必要なユーザー」に向けて動線を強化する
対策:分析結果はわかりやすく伝えて視点を増やす
アナリストだけで考えるよりも、関係者の意見を引き出すことでより多くの視点を得られます。
「Aの後にBを訪れるユーザーはXXX人で、その後Cを訪れたユーザーはYY人、CTRはZ.ZZパーセント・・・。」
と口頭で述べてもなかなか伝わりません。
図解して分析結果を共有し、今はココのことを話していますと伝えると、
「このページはアレがあるからCTRが高いんじゃないか?」
などと話が拡がりやすく、アナリストだけの視点では漏れていたアイデアや視点も得られやすくなります。