【図解】リクルートのプロダクトマネージャーってどんな仕事?
リクルート プロダクトデザイン室
(最後にPdMの仕事を1枚にまとめておりますので、お時間のない方は1番下のイラストをサクッとご覧ください。)
住宅、飲食、旅行、まなび、転職、結婚、ビジネス支援など、幅広い領域で、さまざまなプロダクトを持つリクルート。これらのプロダクトのグロースと推進の役割を担うのが、プロダクトマネージャー(PdM)です。
現在、リクルートのプロダクトデザイン室ではプロダクトマネージャーを募集中(※)。noteでもこれまで、その業務内容や仕事の魅力を発信してきました。※2024年11月時点
最近ではSIer (システム構築受託企業)のシステムエンジニアやITコンサルタント など、異なる職種からリクルートのプロダクトマネージャーに転身する人も増えています。ジョブチェンジとはいえSIerで培ったスキルを活かせる場面も多く、転職後ほどなくして力を発揮することも珍しくありません。
そこで本記事では、他職種からの転職を考えている人向けに、より具体的に、より分かりやすくプロダクトマネージャーの仕事について解説。特に、「リクルートにおけるプロダクトマネージャー」がどんなことをしているのか、図解やイラストを交えてお伝えします。
プロダクトマネージャーは何をする人?
そもそも、リクルートのプロダクトマネージャー(以下、PdM )は「何をする人」なのでしょうか?
一言でいえば、「プロダクトを成功(成長)に導く人」です。
具体的には、リクルートの「プロダクトデザイン室」に所属する企画職で、事業戦略を担う「プロダクトマネジメント室」や、エンジニアリング業務を担う「プロダクトディベロップメント室」と連携しながら、新しいプロダクトの開発、既存プロダクトの新機能開発などを進めています。
リクルートには、さまざまな領域に関わる数百のプロダクトがあり、一つひとつの規模やフェーズも様々。多種多様なプロダクト運営のなかで、各職能や役割に求められるものは多岐に渡ります。PdMも例外ではなく、どのプロダクトを担当するかによって業務の幅が変わってきます。
リクルートのPdMが携わる「プロダクト」(サービス)の一例
https://www.recruit.co.jp/service/
新規事業のプロダクトも続々!
https://www.recruit.co.jp/service/rd/
リクルートのプロダクト開発フローと「PdMの役割」をチェック
リクルートのプロダクト開発の中でPdMが携わる業務は、基本的に以下のようなフローで行われます。
まずは、大きな開発方針を決める「プロダクト戦略」。開発するシステムの企画をする「要求定義」。要求定義に沿ってシステムの仕様を決める「要件定義」。要件定義に従い、システムをつくる「開発」。開発したシステムを運用する「保守」。これが大まかな流れです。
このなかでPdMがメインで担当するのは「プロダクト戦略」と「要求定義」のフェーズ。ただし、プロジェクトによってはさらに上流の「事業戦略」から関わったり、要求定義の後工程である「要件定義」や「開発・保守」にまで役割が広がることも。前後のフェーズをメインで担う部署や職能は別にありますが(※)、お互いの領域に染み出しながらシナジーを生み、プロダクトの品質を高めていく。こうしたやり方は、リクルートのプロダクト開発の大きな特徴といえるかもしれません。
(※)事業戦略は「プロダクトマネジメント室」が、開発業務は「プロダクトディベロップメント室」がメインで担当。いずれもプロダクトデザイン室と同じ「プロダクト統括本部」に属している。
では、それぞれの業務フローをさらに細かく解説していきます。
<フェーズ① 大方針を決める「プロダクト戦略」>
まずはじめに「プロダクト戦略」。プロダクトマネジメント室の事業戦略を受けて、PdMがプロダクトの開発方針を決めていきます。このフェーズではマーケット分析やユーザー調査を行ったうえで、プロダクトのコンセプトやキーメッセージ、顧客価値、市場での優位性などを明確にします。ときには、このタイミングで主要な機能のプロトタイプを作成することも。そして、ターゲット層に対するプロダクトの訴求方法を固めていく。端的にいえば、「そのプロダクトを通じ、ユーザーにどういった価値を提供するか」を決めるフェーズといえます。
大きな方針が定まったら、次はこの戦略に基づいてプロダクトの開発ロードマップを設定し、開発する案件の優先順位付けを行います。
<フェーズ② 目的やニーズを把握し、システムの企画をする「要求定義」>
プロダクト戦略の次に行うのが「要求定義」。立てた戦略をふまえて開発の目的やニーズを把握し、システムの企画をするフェーズです。大きく分けると「現状分析・課題設定」「商品・提供価値を定義」「システム化の企画」「ROI(投資収益率)算出」という4つの工程があります。これらの工程を行き来しながら検討を進めていきます。
ー要求定義の4工程ー
「現状分析・課題設定」
プロダクト戦略に照らして、機能や課題を確認。リリース済みのプロダクトでは、現状のUI/UXや機能などを分析。あるべき姿とのギャップを明確にしていく。
「商品・提供価値を定義」
新たに取り組む開発や機能が、ユーザーのどんな課題を解決できるか定義する。
「システム化の企画」
どんなシステムやオペレーションでそれを実現するのか。メインの機能や必要な要素、ざっくりとした画面設計などを検討。
「ROI(投資収益率)算出」
上記の工程を経て要求定義が固まったら、実現にあたってかかる開発コストの概算を算出。コストに対してどれだけのユーザー数獲得、売り上げ増が見込めるかを算出する。 また、次の要件定義のフェーズでも改めて精緻なコストを試算する。
<フェーズ③ システムの仕様を決める「要件定義」>
要求定義をシステムに落とし込む際の、詳細な要件を決める「要件定義」。プロダクトのUI/UX(※)をデザイナーと設計したうえで、「どこにどんな機能を設け、どれくらいの性能を目指すのか」「それを、どんなシステムによって実現するのか」といったことをエンジニアや開発ディレクターと一緒に詰めていき、「要件定義書」と呼ばれる設計書をつくります。さらには、クラウドサービスなどのインフラの設定や、実装後に問題が生じた場合の対応の方法など「運用の業務設計」を決めるのもこのフェーズです。
(※)UI(User Interface:ユーザーインターフェース)とは、ユーザーがWebサービスやアプリなどで目にするすべてのものを指し、操作する画面などの接点のこと。一方、UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーが商品やサービスを通じて得る体験のこと。
リクルートにはより開発側に近い「開発ディレクター」という職種があり、要件定義書を作成する主体者がPdMである場合と、開発ディレクターである場合があります。後者の場合、PdMは企図した要求がその要件定義書に漏れなく落とし込まれているかをチェックする役割を担います。
<フェーズ④⑤ システムをつくる「開発」〜運用する「保守」>
作成した設計書に沿って、エンジニアが開発を行います。新しく追加した機能やシステム全体が正常に稼働するかのテストをエンジニアと開発ディレクターが行い、要求通りにシステムが動くかどうか確かめるためのユーザーテストをPdM主導で行います。問題がなければ、晴れてリリースという流れです。もちろん、前述のような「ウォーターフォール開発型」で進める場合もあれば、開発の特性によって「アジャイル開発型」で進めるケースもあります。(※)
※「ウォーターフォール開発」とは、上流工程から下流工程までの要件を固めてからプロジェクトの全体像を定める方式。作成した仕様書にもとづき、プロダクト内の全工程を「計画→設計→実装→テスト」の開発サイクルに分割した上で進める。一方で、「アジャイル開発」は工程ごとではなく、機能や段階ごとに小単位のプロジェクトを分割し、優先度順に開発を進める方法。詳細な要件は固めず、開発業務を進めながら細かに方針を定めることが基本。
また、実装後の保守に関しては、プロダクトKPIのモニタリングを、プロダクトマネジメント室とともに行います。クリック率やコンバージョン率などを確認し、期待した効果が得られているのか、プロダクトの成長をみていきます。
開発全般に関われるのが魅力。リクルートのプロダクトマネージャ―
最後に、リクルートのPdMの仕事を1枚にまとめました。
リクルートの開発案件は数週間から数か月。長い場合は2年におよぶことも。もちろん、その全てにPdMがフルでコミットするわけではなく、フェーズごとに、デザイナー、開発ディレクター、エンジニアなどへバトンを受け渡しながらゴールへと向かっていきます。とはいえリクルートでは、各部門が縦割りで職務を遂行するのではなく、プロジェクトに集ったメンバーそれぞれが強みを発揮し、ときに部門の垣根を越えて染み出しを進めるカルチャーです。
そのため、PdMには自身がメインで担当する領域だけではなく、開発全般にわたっての総合的な知識やスキルが求められます。たとえばPdMが開発のことを理解していればエンジニアとのコミュニケーションもスムーズですし、技術面も含めた実現可能性をふまえて要求定義を固められるため「絵に描いた餅」になることがありません。
実際、プロダクトデザイン室には前職のSlerなどで培った知識や経験を活かし、PdMとして入社後すぐに力を発揮している人が何人もいます。PdMとしては未経験でも心配ありません。むしろ、それまでの仕事をベースに、より主体的にプロジェクトを動かす楽しさを感じられるはずです。
プロダクトデザイン室では、新たなチャレンジを求める、あなたのご応募をお待ちしています。
イラスト/株式会社TAM えがこう!
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