「お前はどうしたいの?」ってすぐ詰められるってホント!? 中途入社メンバーとマネージャーが語る、世間のリクルート像とリアルのギャップ

「長時間ぶっ通しで働いていそう」「声が大きい人、圧が強めの人が多そう」「仕事も遊びもイケイケな人が多そう」
リクルートに対し、こんなイメージを抱いている人もいるかもしれません。また、一人ひとりの「Will(やりたいこと)」を尊重する文化であることから、上司から事あるごとに「お前はどうしたいの?」と詰められる、などという飛躍したウワサも流れているようです。実際、中途入社者へのヒアリングでは、「入社前に周囲の人から大丈夫?と聞かれた」「内心、不安だった」という声も聞かれます。しかし、本当にそうなのでしょうか?
これらのリクルート像は、いまの実態に合っているのかを探るべく、中途入社メンバーとその上長たちにインタビュー。「お前はどうしたいの?」の実態も含め、リアルな声を聞いてみました。


上野 実希子/新卒で入社した会社で2年間システムエンジニアとして社内システムの設計に従事。2018年、リクルートに転職しディレクターに職種変更。
現在美容領域のクライアント側のプロダクトのPdM。
趣味はお酒ならクラフトビールやジン、サウナやサバゲーまで幅広く楽しみたいタイプ。
牧 美希/2013年に新卒入社。営業、事業企画を経てプロダクトデザイン室へ。
1年の育休を経て現在は美容領域のクライアント側プロダクトを担当するチームのマネージャー。
大阪在住で元アイドル好きから現在は志摩スペイン村に夢中。
上野とは1年前から上司・部下の関係。


富田 千智/前職は通信系の研究所で、AIを活用したスマートシティの業務に従事。
「不確実な方向に舵を切りたい」と、2022年にリクルートへ転職。
現在はSaaS領域のチームでPdMとしてプロダクトの機能改善などを手がける。
マイブームは8歳と5歳の子どもの行動観察、フィルムカメラなど。
渡部 悠平/2012年に新卒で入社。飲食領域の営業からディレクターに転向し、以降はサロン管理システム『サロンボード』や、『Airレジ』といったプロダクトの開発に従事。UI/UXの設計から営業までを手がけた。現在は「Airビジネスツールズ」のマネージャーとしてグループをまとめる。
趣味はFPSゲームから登山まで(200山踏破)。
富田とは上司・部下の関係。


「起業はマスト?」「怖い?」入社前のリクルートのイメージ

――上野さんは2018年に、富田さんは2022年に転職されました。入社前はリクルートにどんなイメージを持っていましたか?

上野:入社前は「全社員が起業家精神を持っている会社」みたいなイメージでした。全員が起業したい人というか、むしろ起業しなきゃいけないみたいな空気があるんじゃないかと想像していましたね。でも、前職にたまたまリクルートに転職した先輩がいて、話を聞くと全くそんなことはないよと。その先輩は「個人プレーよりもチームプレーの動きが求められる会社だよ」とも教えてくれて、今の仕事について語る姿はすごく楽しそうでした。そういう職場なら、特に起業家精神のない私でも楽しく働けるかなと(笑)。

――ちなみに「怖そう……」みたいなイメージは?

上野:正直、ありましたね。前職の会社は完全にトップダウンな社風で「言われたことをきちんと遂行する」というタイプが多かったのですが、リクルートは真逆の印象がありました。自分の意志を持って働くということに慣れていない私が、いきなり「自分の意志しかない人たち」の中に飛び込んで大丈夫なのだろうか? そんな恐怖があって。でも、実際に働いてみたらすぐに慣れて、今はすごく楽しくやれています。

――富田さんは前職で通信系の研究所にいたということで、これまたリクルートと全く違う環境だったと思いますが。

富田:そうですね。前職はじっくりと基礎研究をやっていきたい職人気質の研究者が多く、どちらかと言えば保守的な風土でした。リクルートの雰囲気とは真逆だと思いますが、だからこそチャレンジしてみたいという気持ちが強かったです。当時は社会人を数年経験し、「自分は変化していく状態が好きなんだな」という自覚が芽生えてきた頃でした。そこで転職に際し、より変化が得られる環境はどこか考え、色々な人のアドバイスもふまえてリクルートに行くことを決めました。当時は「これからどんなことが起こるんだろう」と、どこか怖いもの見たさみたいな気持ちもありましたね。

――ちなみに、入社前はどんなイメージでしたか?

富田:入社前にリクルートの関連本やYouTubeの動画などをチェックする限り、かなり体育会系なのかなと想像していて、馴染めるか不安はありました。長時間労働は当たり前とか、とにかく気合で乗り切るとか、強い言葉を使う人が多いとか、そんなイメージでしたね。でも、いま思うと私がチェックしていた情報がちょっと偏っていたり古かったのかなと思います。たとえば、元リクルートの営業出身の方が書かれた本だったり、昔の出身者による座談会だったり、特に強い言葉で発信されているものを中心に見ていたから、そういうイメージが刷り込まれてしまったのかもしれません。

――実際に働き始めてからはイメージが変わったと。

富田:はい。少なくとも、本に書かれていたような「目標を達成できなかった時に、めちゃくちゃ詰められる」とか、「朝まで飲んで、そのまま出社する」といったことは全くなかったです。それでいて、私が望んでいたような変化を感じられるような環境でもあって、入社前に「こうであってほしい」と想像していたそのままの職場でしたね。

牧:私が入社した2013年頃は、営業以外のディレクター職でもオフィスで遅くまで働いたり、そのまま飲みに行ったりすることもありました。ただ、時代の変化やリモートワークの普及を受けて、今はワークライフバランスをとりながら働けるような環境に変わってきていると思います。

――上野さんは実際にリクルートで働いてみてどうでしたか?

上野:入社当初は、時間の流れがめちゃくちゃ早く感じて。体感としては、前の職場の倍速くらいありました。みんな話すスピードも速いし、社内用語みたいな謎のワードも飛び交っているから、理解できないまま会話がどんどん流れていってしまう。特に私は前職のシステムエンジニアからPdMに職種変更していることもあって、余計に暗号みたいに聞こえていたんだと思います。最初はかなりアタフタしていましたが、徐々に「わからないことは聞けばちゃんと教えてもらえる職場なんだ」と気づいて、どんどん質問するようになりました。質問して「こんなことも分からないの?」と言われたことは一度もなくて。自分から理解しよう、情報を得ようと思う人にはちゃんと対応してくれる環境なので、不安はすぐ解消できましたね。

上野:もう一つ、リクルートで働き始めて気づいたのは「ボトムアップで仕事を進めること」の楽しさです。先ほども言いましたが、前職は完全トップダウンで「これをやりなさい」と指示を受けて動くのが当たり前でした。今は、担当しているプロダクトについて自分から「私はここが課題だと思っていて、こういう理由で、こんなふうに改善したい」と理論立てて説明すれば、基本的に否定されることはありません。「これがボトムアップというやつか……」と感激しましたね(笑)。やりたいことをやれるって、こんなに楽しいのかと。

上司の牧さんも、私が本気でやりたいと相談すると、本気で返してくれます。私が勝手に悩んでいることなのに一緒に悩んでくれますし、「自分だったら、ここに気を付けると思う」みたいな建設的なアドバイスをどんどんしてくれる。一人で仕事をしているわけじゃないと思えるのも、充実感につながっていると思います。

――それは牧さんがたまたま良い人だったということではなくて?

上野:牧さんが良い人なのは間違いないけど、牧さんに限らずですね(笑)。以前の上司もそうでしたし、私より後輩のメンバーたちも、基本的に「この案件一緒にやらない?」とアプローチすると、同じ熱量で取り組んでくれます。多くの人が当事者意識を持っているから、そうやって一緒に盛り上がっていけるのだと思いますね。

本当に聞かれる?「お前はどうしたいの?」の実態


――今の上野さんの話にも通じますが、リクルートには一人ひとりが主体的にやりたいことを考え実行する文化があります。ただ、それゆえに時には、周囲から「お前はどうしたいの?」という強い言葉で詰められるようなイメージを持っている人もいるようです。実際のところはどうなんでしょう?
 

富田:私も「お前はどうしたいの?って言われるらしい」みたいなウワサは入社前から聞いていて、逆にいつ言われるんだろうと、むしろ待っていたようなところもありました(笑)。でも、実際にそういった直接的な言葉で圧をかけられるみたいなことは一切なかったですね。上司の渡部さんから言われたのは「もっと意見を言っていいんだよ」「どんなチームにしていきたいか、もっと自分で決める部分があってもいいよ」といった感じで、淡々とした言葉で徐々に腹落ちさせてもらえたと思います。最初の1〜2か月は私も様子見でおとなしくしていたんですけど、渡部さんの言葉もあってもっと自分を出してもいいんだなということが分かってきて、徐々に意見や主張を出していけるようになりました。後輩からもっと自分のキャラを出していきましょう!と言われたこともあります。

――渡部さんとしては、メンバーの富田さんがあまり自分の意見を言わないことが気になっていたのでしょうか?

渡部:富田さんの場合は採用時の面談の時点で、しっかり自分の意見や考え方がある人だということは分かっていたので、最初はあえて放置していたところもありました。ただ、基本的には自分の意思を持って働いたほうが楽しいと思っているので、それができていないと感じる人にはちょいちょい声をかけたりしますね。「お前はどうしたいの?」とは言いませんが。

――上野さんはどうでしょう? 牧さんや他の上司から、「お前はどうしたいの?」と詰められた記憶はありますか?

上野:いや、詰められたことは一切ないですね。ただ、こちらから「どうしたらいいですかね?」みたいに、ものすごくふわっと相談してしまったときに、牧さんからやんわり「上野さんはどうしたいと思ってるの?」と聞かれたことはあって。そう言われると、確かに自分のなかでこうしたいというものはあるし、最初からそれを伝えたうえで相談すればよかったなと思いました。世間でイメージされているような強い言葉ではないけど、折に触れて「あなたはどうしたいの?」が問われる場面は確かにあるような気がしますね。たとえば、上司との1on1や面談の場で自分の「Will(やりたいこと)」について話す機会があるのですが、そこで「私は今こう思っている」「こういうことをやっていきたい」みたいなことをしっかり伝えるようには意識しています。そこでも牧さんがちゃんと本気で向き合ってくれて、「だったら、ここが足りてないから強化していこう」といった具体的な言葉で引っ張ってくれるのがありがたいですね。

――牧さんや渡部さんはマネージャーの立場として、そうした面談の場でフィードバックをする際に、どんなことに気をつけているのでしょうか?

牧:当たり前ですが、Willは人によって全く違います。今後の自分のキャリアについて話す人もいれば、いま担当している仕事のなかでやりたいことを話す人もいる。どれが正解ということでもないし、逆に言えばどんなことでもWillになり得ると考えています。ですから、面談の場でマネージャーとしてメンバーと対峙するときはこちらから答えを誘導するのではなく、なるべく本人の内側からそれが出てくるようじっくり対話するように心がけています。

渡部:マネージャーとして注意して見ているポイントは、メンバーが自分らしくポジティブに働けているか。面談でも、ほとんどそこしか気にしていません。僕自身もそうですけど、Willを問われても、正直そんなにやりたいことがないっていう人もいるじゃないですか。ただ、「やりたいこと」はあまりなくても「大事にしたいこと」はあると思うんです。ですから、面談の場ではそれが何なのかをメンバーとすり合わせたうえで、その大事にしたい価値観を守れているのか、理想の自分になれているのか、みたいなことを話すようにしていますね。

富田:実際、渡部さんは私が前向きでいられているかどうか、みたいなことを常に気にしてくださっています。あとは、面談の際に「人に向かうのではなく、事に向かう」というキーワードがよく出てくるのですが、それは自分が担当しているプロダクトを使ってくださっている人のことをちゃんと見ているか、その人たちにどう価値提供していけるか、ひたすら考えているかどうかといった根本的な姿勢を確認してくださっているのだと捉えています。そこがブレてしまうと、段々と歯車が噛み合わなくなってしまうと思うので。面談の度に「最近、ちょっと足元ばかりを見ていたな」みたいな気づきがあって、進むべき方向に引き戻してもらえるのでありがたいです。

「自分はこうしたい」主体的であればこそ仕事は楽しい

――「お前はどうしたいの?」という高圧的な詰め方をすることはないにせよ、各メンバーが主体的になれるよう導くのはマネージャーの大事な仕事と言えるでしょうか?

牧:そう思います。メンバーにどうしたいかを問うのも、結局は自分が手がけるサービスやプロダクトに対して当事者意識を持ってほしいからです。何かの案件やテーマについての検討を任せた際に、クライアントやユーザーの課題を自分ごと化し、業界の動向なども理解したうえで考えるのと、表面上の数字だけで対処法を考えるのとでは、打ち手の内容や幅がまるで違ってきます。それができるかどうかってスキルの部分以上に、自分がその案件に対してどんな思いを持っているのか、当事者として向き合えているのかといったスタンスがかなり影響してくるんですよね。「どうしたいの」という問いは、そこを引き出すための手段なのかなと思います。

渡部:僕も同意見です。実際、リクルートには自分が担当する案件について、誰よりも真剣に考え、誰よりも詳しくなっていく人が多いように感じます。上司もそのことに対してリスペクトを持っていて、だからこそ「(この案件のことを一番考えている)あなたはどうしたいの?」という問いが出てくるのかなと。そこで、自分が進めている案件やテーマに対しては堂々と「自分はその道のプロで、一番の責任を負っている。だからこうしたい」と言い切れるくらいにならないと、本当の意味での仕事の楽しさは感じられないのかなと思います。

――ありがとうございます。では、最後に上野さん、富田さんにお伺いします。かつてのお二人のように、リクルートに対して「怖そう」「体育会系っぽい」「起業家精神はマスト」といったイメージを抱いている人も少なくないと思います。そうした、ややイメージが先行している方々に向けて、ご自身の経験を踏まえ一言ずつメッセージをいただけますか?

上野:過去の自分へのメッセージみたいになってしまいますが、とりあえず「必ず起業をしなくても大丈夫だよ」と(笑)。それから、最初は前職との文化の違いに戸惑うかもしれませんが、慣れさえすれば楽しく働ける環境なんじゃないかと思います。私自身、リクルートに来てからすごく世界が広がったんですよね。この会社には本当に色々な考え方を持った人、色々な働き方をしている人がいて、想像以上に世界は広いと気づきました。かつての私のように、何かしら今の状況を変えたいと感じている人には合う環境だと思います。

富田:先ほどから話に出ている通り、「お前はどうしたいの?」と強く詰められることはありませんが、何かしらの形で「自分はどうしたいのか?」が問われる会社ですし、そこは避けて通れないと思います。なぜかというと、リクルートには「上の人がこう言ったからやります」みたいなことが全くなくて。ただただクライアントやユーザーのためにどうすることが一番いいのか、上司もメンバーも一緒になって徹底的に考える。本当の意味でのボトムアップが染み付いているんです。ほとんどの人がそんなスタンスを持った環境に身を置いていれば、おのずと自分もそうなっていくと思います。

上司から言われたことを着実に遂行できるのもそれはそれで素晴らしいですが、キャリアを長い目で見た時には、自ら「こうしたい」とアクションを起こせるようになるほうがいいと思うし、リクルートはそれができるようになる環境なんじゃないかと思いますね。

編集後記
世間ではリクルートの「お前はどうしたいの?」という言葉の強さだけが(時として面白おかしく)一人歩きしてしまうこともあり、実際はどうなの?を現場の皆さんに伺ってみました。前提として、聞く・聞かれる相手に信頼関係ができた上で、あくまでも、「自分はこうしたい」を聞き出すフックでしかないこと、突き放すための問いではなく、協働して良い仕事をしていくための問いであることなどを語っていただきました。「なんだ、全然大丈夫そうじゃん!!」と思った方は、ぜひご応募お待ちしています!

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