良い音は、太陽電池の性能を上げる??~ Good Vibrations Boost Solar Cell Performance ~
ATL調査隊
こんにちわ。ATL調査隊です。
好きなバンドの音を聞いたとき、エネルギーをもらったような気になるのは、あなただけではありません。
太陽電池も同じような反応をするそうです。クイーン・メアリー(ロンドン大学)とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究によれば、音楽による振動は、ナノロッド(訳者注:棒状のナノ微粒子)を持つ太陽電池のエネルギー出力を高めるとか。
ポップ音楽やロック音楽の高周波は、ナノロッド群でできた太陽電池のエネルギー生成を促進する振動を作り出します。酸化亜鉛の物質が歪んだときに出力電圧が増加することは知られていましたが、それを拡張した太陽電池については効率的な検証がなされませんでした。現在では、太陽電池の効率を上げるため、ナノワイヤーなど他のナノ材料に注目する科学者もいます。
イギリスの研究者たちは、大量の酸化亜鉛ナノロッドを作り、太陽光を電気に変換する活性高分子でコーティングしました。これが音に曝されると、光電効果が45パーセントも向上するのです。
「私たちは、 音波はランダムな波動を作り出し、お互いに打ち消し合ってしまうと思っていました。ですから全体的な出力に顕著な効果があるとは思ってもいなかったのです。」
と、研究の共同主任であり、インペリアル・カレッジにおける光化学の教授であるJames Durrant氏は述べています。
「重要なことは、音によるランダムな波動は、お互いを打ち消し合うだけでなく、ある周波数が、太陽電池の出力を本当に増幅しているらしいということです。そのため、元々の音のエネルギーと比べて 、はるかに大きな効果が、太陽電池の出力に現れるのです。」
研究者たちによると、大きな道路の雑音と同じぐらい、およそ75デシベルで、太陽電池の性能に大きな改善が見られるとか。どのバンドがより効果を発揮するといったことはまだ検証されていないそうですが、すべてのジャンルで同じ効果が見られるわけではないそうです。
「異なるピッチの効果を調べるため、退屈で単純な音ではなく、音楽をかけてみたのです。すると一番大きな違いが、クラシック音楽よりも、ポップ音楽をかけたときに現れました。これは音響太陽電池が、ポップ音楽に含まれる高周波の音にもっとも反応するからだということが後に分かりました。」とDurrant氏。
実際にはソーラーパネルに音楽を流すという方向ではなく、車やエアコンのように、電源自体が高周波の音響振動に曝されるように改造する方法が研究されていくそうです。