小型複合機の相談からDX改善へ

はじめに

はじめまして、樽見朱美と申します。

リクルートと共に人生四半世紀を過ごしており、現在はコーポレートIT部に所属し、社内ICTサービスによる事業貢献をメインの業務としています。

社内ICT関連の施策を事業部門に伴走しながら推進し、事業内のICT課題の解決やDX推進に向けて取り組んでいます。

 

DX推進において、実際の事業部門の課題に対してどのように取り組むべきか、またどのようにDXに繋げていくのか悩むケースが少なくありません。

今回、事業部門からの相談をきっかけに、DX改善へどのようにアプローチしたかを取り上げますので、ぜひご覧ください。

 

まずは、データ分析

とある日、カウンター店舗を展開している事業から、接客スペースを増やし、新たな区画形状の検討を可能にするために、狭小店舗に設置されている複合機を小型化する検討を依頼されました。

 

複合機とは、コピー・プリンター・スキャナー・FAXなどの複合機能を持つ印刷機です。
以前、FAX廃止に向けた業務改善に取り組んだ際、データ分析の結果、社内でのFAXでのやりとりを廃止し改善に繋げたという過去経緯もあって、まずは利用実態調査を把握するためにデータ分析することにしました。


印刷ログがすぐにデータ取得できる環境にあるため、まずは店舗ごとにどの複合機の機種が設置されているのか、どの機能をどのくらい利用しているのか(利用頻度、印刷枚数、機能ごとの使用割合を把握)を調査、分析しました。

各店舗には大型複合機が設置されており、利用枚数は店舗ごとに異なるもののすべての機能が利用されている状況が確認でき、業務上紙印刷への依存度が高い傾向が見受けられます。

印刷機も単機能にすることで小型化は可能ですが、利用状況から複合機能を前提にしなければならないと感じました。

その結果をもとに、現状取り得る手段を事前確認し、背景や要件、要望をヒアリングしました。

 

このようにデータ分析を行い、事前確認をすることで、課題に対して具体的に掘り下げた議論が可能となります。



本質的な課題を見つけだす

今回の要望は、複合機の小型化により接客スペース確保につなげたいというものです。
要件、要望のヒアリングだけでは、複合機を小型化することでどのくらいスペースが確保でき、接客スペースの増加=商談数増加による売上の拡大につながるのか、イメージがつきませんでした。

そこで、リアルな感覚で課題を積極的に捉えるため、実態調査と業務課題のヒアリングを実施しました。

 

同じ社内ということもあり、事前に紙印刷削減に向けての業務改善目的をお伝えし、ヒアリングしたい内容を共有しておくことで、積極的に協力してもらえます。

実態調査では、店舗内に設置されている複合機だけでなく、

・インフラ環境

・業務フローや作業手順の確認

・印刷物の種類や量

・接客業務におけるカスタマーやクライアントへの影響

を確認しました。

 

その結果、店舗内は複雑なインフラ環境で、紙印刷が業務の中心になっていることから、単に複合機を小型化するだけでは接客スペースの確保への効果は見込めず、業務効率化や生産性の向上の観点からもペーパレス化をしないと、商談数を増やしての売上の拡大にはつながらないことがわかりました。

 

事業からの最初の相談内容であった複合機の問題は課題の氷山の一角であり、本質的な課題は複雑なインフラ環境と紙ベースの業務だったのです。

 

圧倒的な当事者意識でアプローチ

本質的な課題が特定できたら、それに対して「自分がどうしたいか」という視点で考えます。

自分事として捉えることで、より価値のある提案やソリューションを提供できるからです。

 

もし自分が事業担当者の立場に立ったら、店舗業務を担うとしたら、カスタマーやクライアントだったらと憑依して考え、可能な限り紙印刷を減らす業務プロセスの改善を行い、複雑なインフラ環境をシンプルにするだけでなく、接客スペースを増やし、店舗展開のスピードアップを目指しました。

これらは業務改善にとどまらず、事業や経営の視点で捉えた結果です。

 

現状の課題を解決し、これらを実現するには社内関係者の協力が不可欠です。

共感を得られれば、立場や役割を超えて積極的に協力してくれる社風を活かし、現状課題の共有とやりたいこと(インフラ環境のシンプル化やペーパレス化に向けて)協力を仰ぎました。

 

その結果、複合機を小型化するという表面的なアプローチだけでなく、事業の未来とICTの未来を見据えたDX改善を提案し、本質的な課題の改善に向けて現在も推進しています。

こうした取り組みにより、売上の向上や顧客満足度の改善が実現されることを目指しています。

 

最後に

DX推進に関する取り組みは、業務プロセスの効率化や生産性の向上、事業価値の最大化、さらに業務スピードの強化を通じて、非常に高い期待が寄せられています。

しかし、事業からの相談は氷山の一角として表出したものであり、本質的な問題を明らかにするためには、より深く掘り下げる必要があります。

そのため、圧倒的な当事者意識を持ち、改善に取り組むことが、DX推進において重要なアプローチだと考えます。





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