「人工知能が自動的にWebサイトを作るサービス」か人工知能と人間の知能の境目を考えてみる
萩原静厳
こんにちはビッグデータエバンジェリストの萩原静厳です。最近は社内外で「ビッグデータ、ビッグデータ」と発言する機会が多いので周囲からそんな人(データサイエンティスト?)に見えている部分もありますが、個人的にはUXデザイナーだと思っています(ってなんでここで言ってんだ?)。なので今日はUI/UXとビッグデータの掛けあわせネタを書きたいと思います。
人工知能(AI)でWebデザインを進化させるサービス
先週こんな記事がアップされていました。
- 人工知能が自動的にWebサイトを作ってくれるThe GridがシリーズAで$4.6Mを獲得(TechCrunch)
"自分で自分をデザインする人工知能Webサイト(AI Websites That Design Themselves)"をスローガンとするThe Gridは、ユーザが提供するコンテンツを人工知能が判断して自動的に新たなサイトを作るWebサイトビルダーだ。同社は今年の初めに、ソフトウェア製品としては珍しく、クラウドファンディングキャンペーンで大成功したが、このほどさらに大きな資金調達に踏み切った。
要は、WebサイトのUI改善やリニューアルにおいて今まで喧々諤々して時間のかかっていたデザインの部分を人工知能によるデータ解析で"最適化してしまおう"というわけです。
新規性は「コンテンツの配置だけでなくコンテンツ自体の評価を行う」エンジン
個人的には「来るべくして来た」サービスだと思っています。Webサイトの行動ログデータは他のどれよりも詳細なデータが取得できるわけで、それを使えば画面単位でなくWebサイト全体でパーソナライズ・最適化が行えることが想定できます。そういう意味で「来るべくして来た」サービスだとは思いました。ただ彼らのサービスの中でもう一つおもしろいものがあるのはコンテンツ自体を評価する「画像認識」を取り入れた上での最適化を図れるというところかと思います。
同社のソフトウェアは、ユーザが自分のサイトに載せたいと思っているすべてのコンテンツを詳細に分析する。たとえば、写真の中の人物が笑っているかどうかを判定し、それに合わせたフォントや色を使う。また、写真の中のコントラストの浅い部分を見つけて、そこにテキストを置けるか検討する。同社独自の顔検出アルゴリズムを使って、写真の不要部分をトリミングする。ユーザが提供した画像全体の色調から、サイトが用いるカラーパレットを決定する。
PR動画もありましたので、こちらもどうぞ。
人工知能の進化で働き方は間違いなく変わる
上記サービスを見ていると「データ解析による画面最適化」という考え方では人間の知能を超えて能力を発揮することが可能になると思います。そうすると昨今流行っている「人間の仕事がなくなる」という危機感が一層募っていくわけです。
- 知ってましたか これが2020年のニッポンだ(現代ビジネス)
ここにはUI/UXの領域が置き換わるとは書いていませんが、個人的には仕事のジャンルで考えるよりは"最適化"や"効率化"というキーワードが使えそうな部分においてはコンピュータの方が分があるなぁと感じています。とはいえ「自分の仕事が本当になくなる?」と考えることもなくはないと思います。そのためには、
- まずはこういう事実をきちんと把握する
- わかった上で自分の仕事が「最適化」「効率化」という目的だけでやっているか確認する
- そういう仕事が自分の仕事時間の100%を占めていたらそれ自体を効率化する
- 空いた時間をコンピュータの知能を「使いこなす」ために使う
というところを考えて働けば2016年くらいにはだいぶ働き方と仕事内容が変わっているのではないかと思います。
いずれにしても人工知能の進化により人の働き方は間違いなく変わっていくでしょう。すでに大手銀行のカスタマーサービス(電話対応)が人工知能で置き換わるようになっていますし、医療分野での人工知能活用も大きく進化しています。ここ1~2年で大きく変わるという状況ではないものの5~7年くらいのスパンではずいぶん違ったものになるはずです。テクノロジーの進化とともに自分達の考え方も進化していくことが必要なのだと思っています。
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