欧州最大級のテクノロジーカンファレンス Web Summit 2019 現地レポート第3回(展示会場編)
伊豆原大也
皆さん、こんにちは。アドバンスドテクノロジーラボの伊豆原です。
さて、最終回となる第3回は展示会場編として、スタートアップイベントを中心に欧州最大級のテクノロジーカンファレンス「Web Summit 2019」をご紹介したいと思います。
まず、下の写真をご覧下さい。
スタートアップは、企業のステージに応じていくつかの段階に分けられます。今回の「Web Summit」ではALPHA(アルファ)、BETA(ベータ)、GROWTH(グロース)という3段階に分類され、ブースが展開されています。
それ以外にも、メジャー企業別ブースと国別ブースが展開され、大きくはこれらのカテゴリーで会場が構成されていました。
この会場の構成ですが、世界最大級の家電・技術見本市「International Consumer Electronics Show (CES)」とはまったく異なる展開です。CESでは、メジャー企業別と国別の2つの区分で見ることができ、スタートアップ系は「エウレカパーク」というゾーンに集めて展示されています。Web Summitのようにステージごとの分類はなく、企業ごと・国ごとにまとめられています。本来、CESは商品化を前提とした展示に位置づけられるので、そういった区分がそぐわないこと、さらには展示会場を確保するのに代理店が介在し、CES事務局とは直接交渉できない構造になっていることが影響しているのかもしれません。
それでは、本題に戻ります。Web Summitのブースはさまざまなカテゴリー別にそれぞれ展開されています。そのため、相応に会場が広く、見て回るのはとても大変でした。
下の写真が、会場全体の案内図です。
それでは、各ブースを見ていきましょう。
メジャー企業別ブース
「メジャー企業がスタートアップって何?」と思うかもしれませんが、ここに出展している企業はスタートアップベンチャーを様々な形で支援しています。
特筆すべき点は、ベンチャー企業向けの講義が充実していたこと、そしてアパレルブランドが出展していたことです。
それでは、主なメジャー企業別ブースを紹介していきましょう。
●Microsoft
ここでは、AIによる画像認識が実演されていました。
人の顔を認識し、その顔がどの種類の犬のイメージに合うのかを判別します。
元々は、犬の顔画像をアップするとその種類を判別し、気質を説明した上で似たようなタイプの犬を紹介するといったサービスに使われている技術なのだそうですが、人の顔から犬の種類を特定するというのは、少しお遊びが入っているのだと思います。
●Google社
ここでは、スタートアップを支援するための様々な勉強会が開かれていました。
一日中、講演スケジュールがびっしりと組まれています。
●everis社(NTTデータのグループ会社)
こちらは、スペインのコンサルティング会社「everis」のブースです。everis社はNTTデータのグループ会社ですが、今回は"NTTデータグループ"であることは出さず、社名のみを掲げて出展しています。幅広いコンサルティング支援という内容で展示していました。
●HUAWEI社
最近なにかと話題のHUAWEI社。5Gでのサポートという内容から訴求していました。
●ACCENTURE社
ピッチ(投資家に対するプレゼン)の審査やメンタープログラムなどを行い、スタートアップベンチャーの展示を支援しています。
●PVH(CALVIN KLEINやTOMMY HILFIGERを保有するアメリカのアパレル企業)
こちらのブースでは、洋服の3Dデザインに関する技術が紹介されていました。
●CISCO社
こちらでは、ネットワーク及びインフラ系の相談を受付けていました。
●AWS
このブースでは、AWSに関する、スタートアップ向けの講義をしています。他のブースよりもかなり盛況で、常に立ち見の状態でした。
●コカコーラ社
こちらは、ドリンクのボトルをリサイクルさせる、エコシステムの宣伝をしていました。
●ポルシェ社
ポルシェ社のアテンダーが、他社のゲストを招いて講演をしていました。
例をあげると、以下のような企業による講演が行われていました。
How does AI influence our dairy life? (ROBORACE社)
Burn the maps; reinventing navigation again (HIGH MOBILITY社)
What if cars would be programmable? (HIGH MOBILITY社)
Looking at the new face of hypercars (RIMAC社)
●booking.com
こちらでは、昨年同様women in techのブースが展開されていました。
women in tech は、テック業界における女性のさらなる進出と活躍を支援する目的で、様々な国またはカンファレンスごとに開かれている活動です。今回booking.comは女性のみのスペースを設け、打ち合わせや相談の場、飲み物や電源などを提供していました。
国別ブース
政府系機関、あるいは民間会社が自国のブースを設置しています。
CESと比べると、次のような大きな違いが見られました。
・中東諸国が多くのブースを展開している
・中国、台湾、香港、シンガポールなどいわゆるアジア諸国のブースが少ない
・ロシアが頑張っている
これらの違いには、米国と欧州がどの方向を向いているのか、地勢的な関係が色濃く反映されているのかもしれません。
各ブースの様子を写真に収めてきましたので、ご覧ください。コメント等は省いておりますが、現地の雰囲気を感じ取っていただけると幸いです。
ドバイ、カタール
エジプト、サウジ
スペイン、EU
フランス(ご存じフレンチテック)、英国
ベルギー
イタリア、ポーランド、リスボン(ポルトガル)
韓国、日本
スタートアップの企業ステージ別ブース
ALPHA(アルファ)系ブースの様子です。
BETA(ベータ)系ブースの様子です。
GROWTH(グロース)系ブースの様子です。
ピッチ大会
会場内では、いたるところでピッチ大会が開かれています。
展示会場側をざっとご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
欧州最大級と謳うだけあって、見どころ、聞きどころは盛りだくさんという印象です。
日本では、家電・技術見本市「CES」の知名度が高いと思いますが、来年はWeb Summitも是非チェックしてみて下さい。