WWDC18に参加してきました
段 文楓
はじめに
こんにちは、スマートデバイス基盤チームの段です。
(弊社におけるスマートデバイス基盤チームの役割についてはこちら)
今年のAppleのデベロッパー向けカンファレンス(WWDC)に初めて参加してきました。現地の雰囲気と気になったセッション内容をご紹介したいと思います。
現地の雰囲気
会場は例年と同じくMcEnery Convention Centerになっています。開催前日でチェックインすることができるので、Keynoteのいい座席を取るためにも事前にチェックインを済ませておく事をお勧めします。
Keynoteの為に前日から並ぶ参加者もいらっしゃいました。自分もあまり寝られなくて朝4時ぐらいで並ぶようにしました。ちなみに、自分が並ぶ時には既に長蛇の列になっていました。
Keynote開始前の会場の様子です。前面のスクリーンに映されたのはApp Storeに公開された人気アプリです。
こちらは参加者が自由に利用できるLoungeスペースです。食事や歓談の場だけではなく、無料wifi、コンセントも用意してくれていて、発表された新機能をその場で試す参加者も多くいらっしゃいました。
WWDCに参加するにあたり、Appleエンジニアと意見交換できるラボに行くことをお勧めします。ラボは開催期間内でいつでも参加できるラボと、事前予約必要なラボに分かれています。また、自由に参加できるラボも場所と開催時間が決められているので、事前に確認することが大切です。 自分もNotifications Lab, User Interface Design By Appointment Labなどいくつかのラボに行きまして、不明点を回答して頂くほか、自社サービスのデザインに関しても提案を頂き、とても有意義な時間を過ごしました。
また、周辺イベントとして、AltConf2018、The Loop Bash、Firebase Party、try! Swift San Joseなどもあり、興味のあるイベントを事前チェックして、チケットをゲットするなども重要です。
気になったセッション内容
ティム・クックさんがKeynoteで「Today is all for software」と宣言したように、今年の発表内容は開発周りの内容がメインになっています。開発者が喜ばれる改善や新機能発表が多く、その中に自分が気になったセッション内容を何点かご紹介させていただきたいと思います。
Automatic Strong Password and Security Code AutoFill
Password AutoFill機能自体は新機能ではなく、iOS11から既に提供されています。iOS12では強力なパスワードの自動生成やSecurityCodeの自動入力機能も加えていて、ユーザーサインアップ及びサインイン体験の改善に力を入れている印象を受けていました。公式ドキュメントにも全てのアプリが導入すべきと書かれていて、検討して良い機能とも言えるでしょう。
弊社サービスも常にユーザー認証周りの改善に取り組んでいるので、機能検証を進めて行きたいと思います。
Automatic Strong Passwords and Security Code AutoFill
User Notifications
Notificationsに関する機能発表も注目されています。その中に自分が気になったのは下記内容になっています。
通知をグルーピングできるようになる(Grouped Notifications)
通知を受け取る選択肢(Quiet Notifications)及び通知種類(Critical Alerts)が増える
通知設定画面へ行かなくてもユーザーが通知OFFを設定可能になる(Instant Tuning)
通知ON/OFF設定に関して、いままではアプリからの全ての通知が対象でしたが、今後グループごとの設定もできるようになります。また、今年発表されたInstant Tuningにより、ユーザーがより簡単に通知OFF設定ができるようになっています。通知におけるユーザー体験に注力している印象が強く、将来的にユーザーの本当にほしい情報を送る為にも通知内容及びターゲットの細分化検討は必要になるでしょう。
また、ユーザーが通知ON/OFFを設定する時のイベント検知に関してもラボで聞きましたが、残念なことに関連イベントが用意されていなく、リアルタイムの検知が不可能になっています。
What’s New in User Notifications
ちなみに、Android Oでは既にNotification Channels機能が提供されていて、比較してみるのも良いと思います。
Siri Shortcuts
今年で発表されたはショートカット及びサジェスト機能がメインになっていて、自分の気になった内容は下記の3点になります。
自社サービスの機能をSiri Shortcutsとして登録できる。
Siriがユーザー行動パターンを学習して、次に何をすべきかを提案してくれる。
提供されたShortcutsアプリ経由でユーザー独自のShortcutsも作成できる。例えば一連のユーザーアクション(自社サービス経由で生成したShortcuts含む)を纏めて実行するShortcutsなど
サービスにおける新しいユーザーエンゲージメント手段として、今後の展開も注目していきたいと思います。
Introduction to Siri Shortcuts
Building for Voice with Siri Shortcuts
What’s New in App Store Connect
App Store Connectでの作業を自動化できるRESTful APIが発表されています。プロビジョニング、メンバー管理、レポートのダウンロードなど幅広く機能提供されていて、プロジェクトの需要をもとに半自動化、自動化の取組みができるようになっています。リリースされたらぜひ検証・導入を進めていきたいと考えています。
What’s New in App Store Connect
他にもAR(Augmented Reality)、ML(Machine Learning)関連が発表されていますが、現在の業務とは関わりが大きくないので、ここでは割愛させていただきます。興味がある方は公開されているビデオをチェックしてください。
終わりに
セッションのビデオも公開されていて、現地に行かなくてもネット上で視聴できますが、やはり現地の雰囲気を味わいながら、集中してインプット・アウトプットすることは自分として貴重な経験となりました。また、現地参加者とのコミュニケーションやラボで自分が聞いた内容の振り返りを通して、現地にいる価値を最大限にするには、日々の開発課題の吸い上げ及び技術のチャレンジだけではなく、インプットされた内容を開発現場の改善、組織及び事業の価値提供に繋ぐ意識が重要であることを改めて認識しました。
今後も発表された内容を日々の業務に取り込んでいきたいと思います。