目次
はじめに
本記事は、先日開催された「RECRUIT TECH CONFERENCE 2026」より「和田卓人氏と語る、"開発現場"の未来予測 〜AIの進化はプロダクト開発をどう変えていくのか?〜」のセッションの模様を抜粋してお届けします。
ゲストには、テスト駆動開発(TDD)の第一人者であり、リクルートの技術顧問も務める和田卓人氏を招聘。データ推進室の鶴谷、プロダクトディベロップメント室の近藤とともに「"開発現場"の未来予測」について語り合いました。
※ RECRUIT TECH CONFERENCE 2026:2026年2月27日に開催したリクルートの技術カンファレンス。
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1. リクルートの開発現場が実践するAI活用の事例
はじめに鶴谷と近藤から、リクルートの開発現場が実践するAI活用の事例を共有しました。
1-1.エンジニアの役割の「増幅」と「拡張」(近藤)
プロダクトディベロップメント室で『スタディサプリ』などを手がける近藤は、以下の2軸でAI活用を推進しています。
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ナレッジ共有
進化し続けるAIに適応するため、チーム内での知見共有を強化しています。今後はチームの「AI習熟度レベル」の定義付けや、知見の共同所有化の動きを進める方針です。 -
他職種への貢献
デリバリーの質とスピードを向上させるため、エンジニアが開発以外(開発工程の前後)にも積極的に関与し、役割を拡張させています。具体的には、プロダクトマネージャーと顧客ヒアリングにプロトタイプを作って同伴したり、カスタマーサクセスへの問い合わせの一次回答作成を自動化したりといった動きをしています。
1-2.AIリテラシーを「文化」にする4つの施策(鶴谷)
データ推進室でプラットフォームの管理とデータエンジニアの育成の役割を担っている鶴谷は、AI活用人材を育てるために実施している施策について話しました。
AIに期待する役割は、大まかに分けると「コーディングの増幅器」「学習の加速器」「手動業務の代替器(自動化装置)」といったものが挙げられます。一方で、AI生成コードの確認・修正コストの発生や思考の停止、人間・システム・AIの境界線を見極める必要性といった懸念点にも言及。
これらを踏まえ「AI前提のエンジニアリング力」を養うために下記施策を推進しています。
- 新人研修「データスペシャリストブートキャンプ」の実施 :専門人材による内製講義により、LLMやプロンプトエンジニアリングに関するリテラシーを習得
- クラウドSandbox環境の整備 :自由度高く手を動かせる環境を提供し、スキル習得を支援
- エンジニア組織横断での、AIコーディングツール検証と知見共有LTの実施 :Cursor、Claude、GitHub Copilot、Devin等のツールの進化に追随し、組織の集合知化を目指す
- AIを活用した運用自動化による、AI導入の実践的育成 :アラート発報時、AIエージェントがランブックを参照して原因調査を行い、その結果を元に人間がドキュメントを改善する「Human-in-the-loop」の実践
2. ディスカッション「開発現場の未来予測」
続くパネルディスカッションでは、和田氏を交え、より踏み込んだ「開発現場の未来の展望」が語られました。
2-1. AI活用における“習熟度の差”をどう埋めるべきか
ここでは、チームや組織の中で上手くAIを活用している人の知見を「仕組み化」していくことの重要性が語られました。
和田氏:AIは能力の増幅器のため、個人戦に閉じていると格差は広がる一方。だからこそ「個人戦にしないこと」が大事です。個人の習熟度の差を「組織」として埋めていく取り組みが必要になるでしょう。
2-2.エンジニアの役割は今後どう変化していくか
AIが大量のコードを生成するようになり、近い将来、人間による全数検査は難しくなると予想されます。そうした状況下で、エンジニアには以下の変化が求められます。
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求められるケイパビリティの拡大
:「コードを書くこと」はプログラミングの一部分。今後は、より広範な領域での課題解決力が求められます。 -
「仕組み」への投資
:AIに24時間体制でリファクタリングを任せるなど、より質と量の両方を担保する仕組みを構築することで、人間はより本質的な「問題解決」に集中できるようになります。
上記のようなことが予想されるなか、これまで工数的に諦めていた課題に着手できるようになることは、エンジニアにとって幸せな変化だと言えます。
2-3.エンジニアとしてAI活用できるようになるためには?
ここでは二点の重要性が語られました。
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AIを触って、肌感覚をアップデートし続けること
AIの能力は日々更新されるため、継続的に触ることで、AIに任せられる境界線についての感覚を得られるようになります。短期間でのアンラーニングを続けることが重要です。 -
AIに「丸投げ」しないこと
AIはあくまで「増幅器」のため、本人の能力を高めるほど、できることが掛け算で増えていきます。分からないことをAIがやり始めても構わないので「分からないことを放置しない」ように心掛け、AIを「壁打ち相手」として活用することが大事です。
おわりに
セッションの締めくくりとして、登壇者三名がそれぞれの感想や決意を語りました。
近藤:AIの力で、顧客の問題解決という本質に集中できるようになったことを実感した。今後は組織力をさらに高めていきたい。
鶴谷:自分のエンジニア人生において、こんなに早い技術の潮流は初めて。「変化を楽しむこと」も大事だと思った。
和田氏:2026年の今考えていることは、1年後には古くなっているかもしれない。だからこそ、都度「今見えている景色を記録し続けること」が大切。
リクルートはこれからも「AI×開発」の新たな可能性を模索し、挑戦を続けていきます。
「RECRUIT TECH CONFERENCE 2026」
アーカイブ動画全編:
https://youtube.com/playlist?list=PL4yY3G_ooyLVM7Zns5NAgP7Tkc17oI-z6&si=3R26r3Q5XZJ-dw8t
登壇資料:
https://speakerdeck.com/recruitengineers/manabiling-yu-niokerusheng-cheng-aihuo-yong-shi-li
https://speakerdeck.com/recruitengineers/aishi-dai-nienziniahadoucheng-chang-surebaliang-inoka