役割をちょっと超えて行動したら、システムへのオーナー意識が芽生えた話
はじめに
こんにちは、ICT統括室の手塚です。
基幹システム領域でデータウェアハウス(DWH)の担当をしています。
前回の西脇さんに続いて、ICT統括室でのお仕事について紹介します。
ICT統括室には様々な経歴を持つ方がいますが、特に多いのがSIerからのキャリア入社者で、私もその1人です。
情シスの立場で自社のシステムにじっくり向き合ってみたい!という理由で転職しましたが、実際にどのような形で案件に関わっているかの一例が紹介できればと思います。
担当DWHの概要
リクルートには複数のDWHが存在します。その中でも特に歴史の長い、基幹システムの持つ経営データを取り扱うDWHを担当しています。
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利用者は約6,000人
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初期構築は1999年
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プライベートクラウド上の、Oracle Databaseで稼働。
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ユーザは社内LAN接続+Access経由でのみ利用可能。
私は前職でインフラSEをしていたこともあり、このDWHのインフラ担当として各種案件対応や運用業務を行っていました。
新しい案件の発足
昨年(2023年)、ICT統括室で「DWHをクラウド環境(BigQuery、以降BQ)に複製する」という案件が動き出しました。
案件の主な背景・目的は以下2点です。
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クライアントアプリのAccessではなくブラウザベースのツールも使えるようにすることで、PCのOSに依存する要素を減らす。
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社内LAN接続を必須としない通信方式をとり、処理速度改善をはかる。
当初考えていたこと
案件の背景は理解しているものの、当初は「EOSLが迫っている訳でもないのに安定稼働しているシステムを改善して、どれほど意義や効果が出るものだろう?」という疑問が自分の中にありました。
もしかすると自分の今の目線からは気付けていない課題があるのかもしれない、ということで当初のインフラ担当としての役割に加えて以下の2点に取り組むことになりました。
①データ利活用を学び、ユーザ目線を身に付ける。
②ヒアリングを重ね、権限付与実態の全体像を明らかにする。
①データ利活用を学び、ユーザ目線を身に付ける
私はDWHの担当でありながらデータ分析業務の経験がなく、実はユーザがどのようにデータを使っているかがイメージできていない状況にありました。
この状況を相談したところ、ICT統括室内で募集していたデータ利活用人材の育成プログラムを紹介してもらえました。(詳細はhttps://techblog.recruit.co.jp/article-275/)
育成プログラムの中で実際に社内のデータを分析してみると、以下のことに気付くことができました。
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社内ではTableau、Looker、kintoneなどデータを活用するためのSaaSツールが提供されている。
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またID情報や端末情報など各種データがBQで提供されており、上記のSaaSツールに連携しやすい状態となっている。
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一方、経営データをSaaSツールで活用したり他基盤データと組み合わせたりするためには、一度データをAccessからダウンロードし手作業またはRPA等でアップロードする必要がある。
データがBQにあることで「データの取得→加工→共有」の一連の流れが快適かつ安全に行える事を体感でき、「経営データもBQに載せることでユーザにこの快適さを提供したい!」という意識が持てるようになりました。
またデータ分析のスキル自体は今回の案件推進には直接関係しないにもかかわらず、今回のプログラム参加を組織として後押ししてくれる環境にあることは、とてもありがたいことだなと思っています。
②ヒアリングを重ね、権限付与実態の全体像を明らかにする
担当しているDWHは、システムとしてはICT統括室が管理しているものの、データは各事業(HR、住まい、まなび等)や経理の持ち物であるという思想で長年運用されてきました。
そのため「どのユーザにどの権限を付与するか(どのデータを参照させて良いか)」は各事業の管理者が判断しており、ICT統括室としてはノータッチの領域でした。そこで権限やその申請フローを調べたところ、事業ごとに独立した仕組みとなっており、全容はブラックボックス化していることが分かりました。これによりユーザが権限申請に苦労している実態も見えてきました。
今回の案件はシステム構成の改善を目的としていましたが、これを受けて権限構成や申請フローの統合・シンプル化も行おう、ということになりました。
そこでまずはブラックボックス化している仕組みの全容を明らかにするべく、権限の管理業務を行っている13部署全てにヒアリングをし、現在の業務内容や権限の承認基準を一つひとつ確認していきました。
ヒアリング先は大半の方が初対面でしたが、どの部署にも好意的にヒアリングに応じてもらえました。
結果、権限管理に関する申請フローや考え方の全体像を整理することができました。
想像以上に事業ごとの仕組みはバラバラだったため、一度に全ての権限とフローを統合することはできませんでしたが、部分的な権限統合とユーザが迷わないような申請ガイド作成を実現できました。
今後は事業を跨いだ統合・シンプル化を行うために、上位組織も巻き込みながら権限のあり方を検討していく予定です。
結果どうなったか
2024年4月に無事BQ版DWHをリリースし、利用者数も順調に増えている状況です。
システムとしては以下のような反響・効果がありました。
- 処理が劇的に速くなったし使いやすくなった!という感想をもらえた。
- これを機に既存のRPAを廃止してデータ自動連携の仕組みを作りたい、といった前向きな問合せが多数寄せられるようになった。
また、私個人としてはこの案件を通して以下に気付くことができました。
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いろいろな立場の目線に立ってシステムに向き合ってみると、「システムを安定稼働させるため」に加えて「利用者により良いサービスを提供するため」に必要な課題が見えてくるようになる。こうしたオーナー意識が持てると仕事へのモチベーションも上がる。
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本来の自分の役割やスキルセットに捉われず、気になることがあれば学習したり現場を見に行ったりすることでシステムや案件への理解を深めることができる。リクルートはこうした動きがとてもしやすい環境や風土がある。
最後に
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