【イベントレポート】TechCrunch Tokyo 2015 #2 : ブース紹介
若月厚志
こんにちは、UXデザイナーの若月です。現在私はリクルートマーケティングパートナーズで ゼクシィ のUXデザインを担当しています。
さて今回は、スタートアップの紹介やインターネット業界の最新情報を取り扱っている TechCrunch によるイベントTechCrunch Tokyo 2015の参加レポートをお送りします。
本イベントでは著名人の講演や対談はもちろん、数多くのスタートアップがデモブースを設けており、私はそちらの全ブースを回り話を伺ってきました。
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その中から特に面白かった3社を取り上げてご紹介します。
academist (アカデミスト)
最近ではもはや、資金調達で当たり前になってきたクラウドファンディング。READYFOR? や CAMPFIRE など有名サービスは数多くあります。
そういったクラウドファンディングの中でもacademistは日本で初めて研究費調達に特化したサービスとなっています。もちろん研究費を支援すると、金額に応じたリターンが届きます。
支援者は、プロジェクト主催者の想いに共感して応援する、そして一緒に実現した時の達成感を味わう、といったいわゆるクラウドファンディングの体験に加え、歴史的大発見ができるかも!というドキドキ/ワクワク感 を味わうことができそうです。
現在募集中のプロジェクトにも、〈新種のラプトル(小型肉食恐竜)に名前をつける〉や〈がん細胞のメカニズムを解明する〉といった大発見の予感がするものが多く存在しています。ぜひ皆さんも、歴史的瞬間に投資してみてはいかがでしょうか。
また、このacademistは先日の サイエンスアゴラ にてJST賞を受賞したそうで、社会が科学技術に興味を持つきっかけ、そして子供たちの科学教育としても期待されているようです。私も理系出身なので、このような科学への好奇心を喚起するサービスにはとても共感を覚えました。
Popcorn (ポップコーン)
皆さんはサロンやマッサージなどに行く際、どうやって予約していますか?もちろん電話の方も多いですが、HotPepper Beauty や 楽天ビューティー などのオンライン予約を使われる方も増えています。
こういったオンライン予約サービスの中でもPopcornはサロン・マッサージの当日/直前予約が可能なサービスとなっています。クライアントは当日空いている枠を使ってお客さんを獲得できるので利益最大化ができ、カスタマーは直前ならではの割引特典を利用することができます。
こういった金銭的なメリットに加え、事前決済をすることで 施術でリフレッシュした後に、決済という行為で現実に戻されることがない という新たなカスタマー体験がありそうです。
様々なユーザー価値を提供している Uber もクレジット決済によって、プレミアムな乗車体験を降りる際の「決済」という行為で損なわないのも一つの魅力ですよね。ぜひ皆さんも、スキマ時間にサロンやマッサージでリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
また、このPopcornは Coubic という自社のクラウド予約・顧客管理システムをベースにしており、今後はこのシステムを汎用してサロンやマッサージ以外の業種にも展開することを視野に入れているそうです。自社でサービスだけでなくシステムも持っている強みを今後どう活かしていくのか、楽しみに感じました。
WATCHA (ウォッチャ)
映画やドラマ、アニメといったエンタメ情報。映画.com といったメディアや antenna といったキュレーションマガジンで探している方も多いのではないでしょうか。でも自分好みの作品と出会うのは意外と難しいですよね。
WATCHAは自分の趣向を分析して、ぴったりな映画やドラマ、アニメをリコメンドしてくれるアプリです。観た映画などに評価を付けていくことで趣向を機械学習し、似た特徴を持った作品を紹介してくれる訳です。
このリコメンド機能は、ユーザーが多くの情報から取捨選択する手間から開放されるだけでなく、特定の分野(例えば映画)しか興味なかった人に他分野(例えばアニメ)との出会いを提供でき、趣味の幅が広がる というWATCHAならではのメリットもありそうです。ぜひ皆さんも、まだここにない趣味との出会いをしてみてはいかがでしょうか。
また、このWATCHAは日本よりもエンタメ感度の高い韓国で先に展開することで成功の兆しを見つけ、その後に今回日本に上陸してきたそうです。マーケットフィットをいかに作り出して展開するか、とても参考になりました。
まとめ
今回は3社のスタートアップについてご紹介してきましたが、このような新規サービスを創ることは 価値観の再定義をしてサービスにする ことだと思います。こうしたサービスが求められるのは、カスタマーを取り巻く環境が変化し、それによってカスタマーも変化しているからです。
ふと私の携わるゼクシィのような既存サービスを見ても、カスタマーは変わっています。では、どうすれば私も価値観の再定義ができ、ゼクシィをさらに育てられるでしょうか?
もちろん再定義するために、定性・定量調査は日々行っています。これによってカスタマーの平均像は掴めますが、それが芯にヒットするニーズなのかは検証が必要だと思います。
今回デモブースを回ってみて気付いたのは ブースでの会話がこの検証には非常に有効ではないか ということです。
定性調査として行われるグループインタビューやデプスインタビューでは、被験者はサービスに好意を抱いていることが多く、また 使った 感想であることも少なくありません。
一方ブースでは、来訪者から忌憚のない意見も出ますし、また 使うとしたら の感想が多いです。
現在のサービスについて社内外問わず様々な立場の人、使った人はもちろん、使ったことのない人にもヒアリングしてみる。価値観の再定義の兆しを掴むためにはとても大切な行動だと改めて感じました!
以上で今回の記事は終わります。ありがとうございました!