CXデザイングループのご紹介~取り組みと、大切にしていること

CXデザイングループのご紹介~取り組みと、大切にしていること

こんにちは、CXデザイングループ(以下CXDG)のマネージャーの間宮です。

以前、WEBアナリストグループのマネージャーとしても寄稿しました。
その時の記事はこちらこちらです。

本日はCXDGが普段どのようなことに取り組んでいるのかと、大事にしている考え方についてご紹介します。

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目次

1.CXデザイングループとは?

CXデザイングループは
「カスタマーにサービスを選んで頂く理由を創り、伝える」
ことをMISSIONとした、今年4月より立ち上がった新しい組織です。

その為には「サービスの優位性となる価値を創り、認識してもらう」ことが必要であり、その「価値」とは機能価値(ファンクショナルベネフィット)と情緒価値(エモーショナルベネフィット)双方を指しています。

価値を創り上げるHOWは、ブランディングからサイトなどのプロダクトデザイン、プロモーションなどのコミュニケーションデザイン、CRMやコンテンツ開発など多岐に渡ります。

とはいえ、機能の専門性も追求しており、メンバーにはストラテジスト、UXデザイナー、コミュニケーションデザイナー、アートディレクター、CRMスペシャリスト、リサーチャー、アナリストなどが所属しています。

我々はひとつの職種を強みとしながらも、ゼネラリストとして幅広いケイパビリティを保有することで、特定のケイパビリティを制約条件とせず幅広い課題に柔軟に対応できることを目指しています。
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また、特定のタッチポイントにとらわれず横断的に課題解決にあたるため、各タッチポイントの全体最適化、つまりタッチポイント間の相乗効果を生み出す(バリューチェーンの効果を最大化する)ケイパビリティがあることもCXDGの特徴のひとつだと考えています。

2.CXデザインが求められる背景は?

【1】ネットサービスの特性から見るCXデザインの必要性

長らくネットサービスは「リアルからのリプレイス」という側面が強く、利便性が最大のベネフィットでした。

その「利便性」を武器にリアルからのリプレイスによって顧客を増やしてきたため、ネットの世界では「利便性志向」のサービス開発に主眼が置かれていたのではないかと思っています。

リクルートのようなマッチングメディアにおいても、大量且つ信頼性の高い情報をワンストップで探せる「価値」が顧客に支持され、成長してきたと言えるでしょう。

しかし、今ではネットサービスが当たり前となり、「ネットサービス同士で争うこと」に主眼が移ると利便性だけでの競争ではカスタマーの期待に応えづらくなってきました。

企業経営のコンセプトは、ものが足りない時代の「生産志向」、需給バランスが均衡した時代の「品質志向」、品質の過剰追求や誇大広告により消費者保護活動が盛んになった時代の「消費者志向」、CSRなど社会全体での意義を経営に組み込んだ「社会的責任志向」へと環境の変化に合わせて変化してきたと言われます。

ネットにおける価値づくりも、外部環境の変化によって、今まさにコンセプトが変化する過渡期なのではないかと感じることが多くなってきました。

ただし、ネットの世界では技術がフラット化し、ユーザビリティを含めたサービス機能が同質化しやすいという特徴もあります。良い機能はすぐに取り込まれてしまうため、「どのように持続的に優位性を創っていくのか」はネットサービスにおける大きな課題です。

その為、カスタマーにどのような体験を提供し、どのようなサービスへの知覚価値をストックするのか、といったCXデザインの必要性が高まってきたのだと思います。

また、CXデザインはサービスフェーズによっても、課題へのアプローチが異なります。

サービス導入期は、「ユーザーの声や行動」がサービスを磨いていくための源泉となるのでグロースハック的にサービスを磨いていくことが重視されます。

つまり、サービス導入期においては、スピード重視の各タッチポイントの「部分最適」が効率的なのですが、市場が成熟化してくるとユーザビリティや利便性などの機能価値に加えて、各タッチポイントの全体最適化も意識し、情緒的価値を創り上げていく必要性がでてきます。

サービス特性や市場の状態にもよりますが、あるサービスでは共分散構造分析によりフェーズごとにサービスに対するカスタマーへの潜在的期待価値を可視化し、フェーズに合わせてあるべき価値マネジメントの型を導きました。

【2】カスタマーの変化からみるCXデザインの必要性

CXDGでは「CXラボ」というグループメンバーや外部有識者から構成されるカスタマー動向の研究MISSIONも担っています。

ラボではカスタマー変化について仮説を立て、今後のサービスの在り方について有識者を交えて議論しているのですが、カスタマーの変化からも、CXデザインに着目することの重要性が高まっていることがうかがえます。

あくまで変化の一例ですが、情報量の増加により、カスタマーは自分で取得する情報を制限「固定化の進行」し始めている傾向が見て取れます(もちろん分散はあるのですが)。

その結果、SNS等、一定のコミュニティ内の情報源に依存傾向にあり、情報収集源がタコツボ化していると言われています(タコツボ化の進行)。

また、個人情報へのセキュリティ意識が高まる一方で、タコツボに入っている情報発信元に対しては個人情報を提供するハードルが低い傾向も見てとれ、今後、機械学習の精度が向上するとより「パーソナライズ」が最適化されていくため、情報源の固定化/タコツボ化は一層強まっていくと言われています。

こうした環境下において、ネットメディアは、能動的に選択してもらい固定化されつつある情報源に入り込むことと、その後、如何にパーソナライズ(モーメントを捉え、最適な情報を提供)していけるかが、より重要になってくると考えています。

3.CXDGが大切にしていること

【1】KPIに「WHY」を。

CXデザインの肝はPDCAだと考えています。その為、KPIの構造化は慎重に行います。

通常、KPIを構造化する際は、KPIに効く中間指標を探索していき、より現場でコントロール可能な変数にブレイクダウンしていきます(特にアプリの世界では3セッション以上とか、滞在時間15分以上とか、マジックナンバーとも言われます)。

ただ、こうして、少し強引に?定めた中間指標は徐々に中間指標としての働きが希薄になっていく(KPIとの関係性が希薄になっていく)ことも多いです。

以前、営業組織のマネジメントをしていたことがあるのですが、その時の事例が象徴的なので少しお話ししようと思います。

まず売上をKGIと設定し、KGIに対して営業組織のKPIと中間KPI(モニタリング指標)を設定していきました。

100名程度の営業人員の行動データとKGIとの関係性を分析していき、指標候補となるデータ同志が、同一のデータソースであれば共分散構造分析や回帰分析、異なるデータソースであれば状態空間モデルや相関分析を用いて指標構造を可視化していきました。

その結果、行動量(商談数)という変数が中間KPIとして抽出されました。

しかし、当初は良かったものの、徐々に売上と中間KPIとの相関が弱くなっていきました。つまり、行動量自体を追い続けた結果、商談の質が落ちKPIは達成するけどKGIが達成しないという状況に陥ったのです。

KPIマネジメントの良いところは、(良い意味で)思考停止させて数字を追い続けることができるため効率的に指標を(カロリー消費効率を最大化する)上げることができることだと思います。

その為、KPIマネジメントは、その利点を活かしながら、中長期的な影響も鑑みて如何に運用するかが重要だと考えています。特に「なぜその指標を追うのか?」といった「WHY」を強く意識して設計する必要があります。それはCVの定義など、当たり前に運用されている指標も同様です。

上記課題への対応としては、サブ指標としてクオリティを担保する指標を設定するか、施策のフェアウェイラインを定めるガイドラインを設定しなければいけません。

また、常時KPIとKGIとの相関関係をモニタリングし続け、相関が弱まったら他の変数を設定するなど、KPI構造自体もPDCAを回していくことが重要だと考えています。

また、WHY志向ではなくなると、本質的な顧客志向が損なわれどんな手を使ってもKPIを伸ばすという文化が浸透し、潜在的なレピュテーションリスクを抱えることになりかねません。

【2】 「見えない価値」こそ大切に。

CXDGでは「見えない価値」を大切にしています。
結局のところ、ロジックツリー(単純な因果関係)で描かれる着想は、遅かれ早かれ誰でも辿りつく、いや、もうすでに辿りつかれていることが多いのではないでしょうか。
つまり、本当の意味で競争優位性はなりづらいのです。これは良く言われていることですが、本当にそう思います。

例えば、リクルートには独特な組織文化があります。
その組織文化が、どの程度経営効果に結びついているのか?

数字で証明しないと前に進まないのも、企業の宿命です。
これもKPIマネジメントの功罪で、データドリブンな文化が根付くほど、数字ありきで文化を創るようなチャレンジブルな打ち手が出てきづらくなっているのではないでしょうか。

でも、そういう因果関係を導くことが困難な価値だからこそ、競合サービスは手を出しづらいのも事実です。こうしたものは経営者やマネジメント層の理念に依存してしまい、下手をすると代替わりによって失われかねません。その為、その価値が失われないよう、その効果を科学しマネジメントしていく必要があります。

サービスの価値、とりわけ「ブランド力」についても全く同様のことが言えます。短期的に効果が見えづらい価値だからこそ、慎重に扱わなければしなければならないのです。

我々CXDGはこうした見えない価値を可視化し、カスタマーに対して「本当に守り続けなければならない価値」「新たに創らないとならない価値」を提供し続けていきたいと思っています。

【3】横断組織としての「価値」を追求する。

CXDGはリクルートグループのサービスに横断的にかかわる組織です。そのため、CXDGのメンバーは、自身のスキル向上と合わせて、組織のナレッジ強化や「型化」に取り組んでいます。前述した「CXL」という取り組みもですが、各サービスの施策で得た知見をグループ内の別のサービスへ横展開するというMISSIONを担っています。

まだまだ仕組み自体、道半ばではありますが、メンバーひとりひとりが特定の領域を極め、そのナレッジを他のメンバーに還元しながら組織力を高めていきたいと考えています。

【4】課題に対して「柔軟性」を。

前述したとおり、CXDGでは「型化」へ取り組んでいるものの、CXやブランド戦略に万能の型や正解は存在しないのも事実です。

重要なのは如何なる新規課題にぶつかっても「型」をベースとしながらも、「型」にとらわれることなく、自らゴールを設定しゴールまでの道筋を描き、課題を解決できるフレキシビリティと納得性の高い(ロジカル&アイデアフルな)道筋を描けるか、だと考えています。冒頭でもお話しした通り、プロダクトやプロモなど「出口ありき」で課題を捉えません。

また、メンバー個々人は専門性を追求しながらも「多能工」であることを目指しています。

個々の職掌を細かく固定すると「リソース(組織)に戦略が従う」状況になりかねません。あるべきは、課題解決に向けた「戦略にリソース(組織)が従う」状態であり、CXDGのメンバーは如何なる状況でも本質的な課題に向き合える力を養っています。

4.さいごに

他にも、まだまだあるのですが、挙げ続けるとキリがないのです「4つ」に絞ってみました。

メンバー全員で作ってくれた組織スローガンは「Duel BX」です。
※Duelは「闘う」、BXは「Bad Experienceの略」です

我々CXDGは組織一丸となってBXと戦い続け、カスタマーにとって本当に価値ある体験を提供し続けたいと思っています。

とはいえ、組織自体立ち上がったばかりで、志を共にするメンバーも10名ほどの組織です。

一緒にリクルートのサービス価値を高めていく同志を大募集中なので、ご興味のある方はぜひ、弊社採用担当までお問い合わせください。

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